表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
命の価値 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/166

128話 捜索


 人探しの魔道具と魔法銃付きガントレットを取りに戻った『夢と欲望の園』で、アデリーとムトゥに日本で起きたトラブルを報告し、それを解決する為に数日留守にするかもしれない事を伝えると、やはりアデリーにとても心配された。


 というのもアデリーはサリーさんと毎週、画面越しに俺が変な行動をしてないかの確認の会議をしているのだが、怖い二人に釘を刺されまくっている俺は事前に確認を取ったりと、それはもう大人しくしている為、最近の会議内容はお互いの世界の紹介や流行りの話なんかの世間話が多くなってきている。

 その話の流れでサリーさんから地球における武器。銃やミサイルなんかの話も聞いている為、地球は魔法以上に危ない武器がある世界だと理解しているのだ。


 俺から見ればニアワールドの方が剣と魔法とモンスターが日常にある世界で、平和な日本と比べてもっと危ないと思っているのだが、話でしか聞けない世界というのは想像も相まって危険と感じてしまうようだ。


 あと、その会議の際には、俺が買い漁ってオーファン達の能力復活に使用できずに余ったスキルカードなんかもアデリーからサリーさんへと渡されているのだが、最近では、なぜか(・・・)オークション以外で手に入るスキルカードなんかも合わせて渡っている。


 二人曰く

 「「 念の為の備え 」」

 だと。


 この二人は、どちらか単体であっても俺が逆らう事ができない存在であるのに、その二人に声を揃えて言われれば断れるはずもない。

 一応サリーさんが責任を持って保管しているらしい。


 尚、俺は二人の会議の際に『通信機』の役割としてその場に居なくてはいけないのだが俺に聞こえないように二人でコソコソ話をすることがあったりもするので疎外感がひどい。その為もう本当に会議の時は話を振られない限りは『通信機』になりきっている。


 だって……サリーさんは母親代わりでもあったから俺の恥ずかしい過去の話も知ってたりする……中二病で無駄に包帯を使ったりした時期があるとか、エロい事に興味を持ち始めたのは何歳だの……そんな話をされたら白目を剥きながら『通信機』になりきるしかないだろう?


 少し話しは逸れたが、アデリーはたくさんの地球や日本の話をサリーさんから聞き、興味が出たことは俺に聞いたりもするので、かなり理解が深くなっている。

 だから日本に限らず地球には反社会的組織が存在していたりする事も知っているので心配しているのだろう。


 実際に政治家が絡んでいれば大金が絡む。

 大金が絡むところにはよくない影もある事が多いだろうし、今は『誘拐』という犯罪まで起きているのだから十分に警戒すべきだ。


 きっと実行犯は反社会的な人間と組織が担っているはずだ。


 そいつらに監禁されて丸一日以上経っているとしたら何をされているかわかったもんじゃない。

 だからすぐに助けに行かなきゃいけない。


 アデリーは心配はしても俺の気持ちを察して止めるような真似はしない。


 本当にいい女だ。

 蜘蛛だけど。


 アデリーとムトゥに見送られ、ニアワールドを後にする。


 新世界の風に小型パソコンを持ち込んでいたので、すぐに事務局に向かう。


 人探しの魔道具は『探す対象の持ち物』をセットすると、探す対象の位置へ針が向くという作りでセットする物が『思い入れが強い物』であればあるほど反応が強くなる。


 事務員達に伊藤さんの思い入れの強い持ち物が無いかを確認すると、伊藤さんと仲の良さそうな事務員が、少し躊躇ったような顔をした後に「心あたりがある」と、伊藤さんの机の鍵付きの引き出しをマスターキーを使って開けた。


 その引き出しの中にあったのは沢山の袋。

 袋を見てみると、中身はハンカチやら、爪、髪の毛なんかが入っている。


 袋に入っている物にドン引きし


「……こ…れは?」


 と、開けた事務員に問うと、どうやら俺が使った物や、俺の部屋のゴミ箱に入っていた物らしい。


 確かに『教祖様……汗が……』と、ハンカチで拭いてくれたり部屋掃除を豆にしてくれたりしていたけど……


 えっ?


 思わずサリーさんを見ると、それはもうヒドイ顔をしていて、なぜか俺と目が合った瞬間にすぐに目を逸らされた。

 とりあえず袋を破って俺の汗を拭いたであろう伊藤さんのハンカチを魔道具にセットすると、あっという間に針が一定方向を指した。


 俺は伊藤さんと仲の良さそうな事務員に、他にも保存してあったタオルやハンカチの洗濯と、諸々のゴミを俺が一切の責任を俺が持つから捨てるように指示したところ、かなり嫌そうな顔をされた。


 どうやら伊藤さんが怖いらしい。


 ……うん。

 俺、伊藤さんに崇められてる。

 そして愛されてるな。

 怖いくらい。


 なんて思っていると、事務員さんから伊藤さんの自宅にはさらに沢山のコレクションがあるらしい事も仄めかされたので問答無用で合わせて処理をお願いしておいた。


 いや……だって……


 ねぇ。


 意識が削がれかけたが、今はそんな些細な事にこだわっている場合じゃない。

 すぐに車を用意していた中村君と合流し示された方向に向けて運転してもらい伊藤結香子の捜索を開始する。

 中村君は何も知らされていなかったようで最初はいつも通りの雰囲気だったが、俺の様子から何かしらの異常事態であると、すぐに察してくれた。


 俺はただ針の指す方向とカーナビを基に進む方向を指示し、中村君はそれに従い続けてくれて2時間程移動した後、塀が高く監視カメラが設置され、外からはなぜか窓が確認できない大きな家に辿り着いた。


 少し離れた場所で中村君を車に待機させ、隠密を使ってその家の周りをグルグル歩いて回ると、間違いなくその家の斜め下を指していた。


 俺は外敵を想定した家の作りから間違いなくヤクザの家の作りだと感じ、恐怖を感じずにはいられない。


 ただ……伊藤さん……結香子が誘拐されたという怒り。

 そして、これまで散々使用してきたスキルに対する自信から、俺の体は感情より先に動き出していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ