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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
ニアワールド カジノ騒乱編

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118話 新たな販路の予感


 どうしてこうなった。


 なぜに俺は運転しながら助手席の肉感的な生足をチラ見しているんだ?

 そして気づかれないようにチラ見しているはずなのに、チラ見の度にゾワリと悪寒が走るのは『流石アデリー』とでも言ったらいいんだろうか?


 俺の運転する資材を乗せたバンにはアデリーと、なんとアニが乗っている。


 ちなみにエイミーは乗ると荷物を乗せれなくなるので留守番、そして本当はアニではなくアリアが乗る予定だったのだが。


「あ~そういえば今日はワイバーンのステーキ食べ放題のパーティがあるんだった~。ねぇ貴方。良かったら私の代わりに行く?」


 と、アニがアリアを餌で釣って席を奪っている。


 アニからされた『お願い』は『アデリーと1対1で話をする機会を作って欲しい』だった。


 内心ヒドイ事が起きない事を願いビクビクしながら、そしてアニがアデリーのハーレムに入る事をほんの少しだけ期待しながら二人を引きあわせた。


 二人が会った時、二人ともニッコリ笑顔で挨拶を交わしているのに、なんとも背筋に冷たいものが走ったような気がする不思議。


 そしてアイーシャやエイミーにアリアだけでなく、なんと俺までシャットアウトされた状態で二人のお話は20~30分ほど行われた。

 話し合いが終わって部屋から出てきた時の二人の表情は最初と変化は見られずニコニコ笑顔のまま。

 とうとう俺には何が話されたのかを知る事は出来なかったが二人の笑顔から悪寒はしなくなっていた。


 それから数日後にアデリーと砦跡に向かう事になったので車を用意して出発準備を進めていると、さも当然のようにアニが現れて、俺が戸惑っている間に助手席に座ったのだ。


 アデリーの方を向くと『問題ないからこの面子で行くわよ』と言わんばかりの顔だったので、首を捻りながらも出発しようとすると、アイーシャが「アニさんが行くなら私も行くわ」と珍しく名乗りを上げ乗り込んできたのだ。

 が、さらに珍しい事にアデリーがアイーシャの同行をやんわり拒否し、アイーシャが『ぐぬぬ』顔になっていた。


 アデリーは基本的に誰かが自発的に『やりたい』と言って動いている事に対して拒否反応を示す事は無かったので正直驚いた。


 車を走らせつつ、アニに何を企んでいるのかをぼかしながら探ると「内緒よ♪」とか「女の秘密♪」と言った具合な言葉で見事にはぐらかされるので正直に企みを問うてみる。


「あら? 企んでいるだなんてヒドイ。私って全然信用されていないのね。

 どうしたら……ナニをしたら信用してくれるのかしら?」


 と、アニが谷間を強調して潤んだ瞳でこっちを見てきたのでゲスな想像をしたら、ニッコリアデリーが後ろから「イ~チ?」と声をかけてきたので、即正気に戻されました。


 そんなこんなで砦跡に到着。


 砦跡の増改築は今もなお進行中だが、冒険者が寝泊りできる所を優先して改装改築したので、既に宿泊施設は完成している。


 ベッドが完備された個室。

 そして『被検体1号』であるサトがかなり優秀な魔法使いなので、サトが水魔法で出した水が飲み放題。さらにサトが火魔法で沸かした露天風呂『サトの湯(混浴)』にも入る事が出来、値は張るが日本から持ち込んだレトルト食品も味わうことができる特典付きの宿。


 お客さんはそこそこ入っているようで見回りをしているアトが車のエンジン音を聞きつけて、すぐにやってきて笑顔を見せてくれた。


 ムトゥと協力してオーファン達を助けている俺は、最初、出逢ったばかり頃と違ってアトやサトから尊敬の眼差しを集めるようになっていて、少年少女が慕ってくれる姿はとても可愛い。

 なので、つい甘やかしてしまい色々食べさせたくなり日本から持ってきてしまい、その餌付けの効果がいかんなく発揮されているのだ。


 ちなみにアトは最近ガムが気に入っているらしく、サトはミントタブレットが好き。

 サトが「スースーして気持ちいい」と、言った時に別に変な想像はしていない。

 全然していない。え? なんだって? って聞き直してない。


 もちろん作業をしてくれているドワーフ達にも4リットルのウイスキーや塩っ気の強いツマミは毎回差し入れしていて、それをとても喜んでくれている。


 やがてムトゥもやってきて同行していたアニを見て目礼をし、すぐに素性をアデリーに問うている。

 『俺には聞かないのね』なんて思わないよ。うん。


 アデリーがムトゥに返答し、その内容に合点がいったようでムトゥはすぐにアトに車に積んだ荷物を倉庫に運ぶように指示を出し俺達を部屋に案内した。


 ムトゥがすぐに部屋から出て行き不思議に思っていると、まさに美丈夫と言わんばかりの30代の男と、その護衛らしき男の二人を連れてきてムトゥは俺の隣に座り、そして見知らぬ顔の男達は対面に座る。


 俺の隣にアデリーとムトゥ。

 テーブルを挟んで、美丈夫のおっさんと護衛っぽい男、その隣にアニが座り、3対3の形で座っている。


 ……なにこれ?

 何がどうなってるの?

 この人誰なの?


 そんな事を思っていると男が口を開いた。


「初めましてイチ殿。 中々お話しする機会を作る事が出来ず、ようやく話をさせて頂ける機会を頂き感謝申し上げる。」

「あ、はい。 ……?」


 とりあえず返事をするが思い当たる節もなく首を捻ってしまう。


「あぁ、申し遅れました。

 私は王都にてアルマン商会という商会を営んでおります『ヴィンセント・アルマン』と申します。

 以降どうぞお見知りおきを。」

「ど、どうも。イチです。」

「さて、お忙しいかと存じますので、早速ではございますが本題に入らせて頂いても宜しいでしょうか?」


 思わずアデリーとムトゥを見ると、二人ともコクリと頷く。

 俺は流されるまま話を聞く事にした。


「我がアルマン商会は『王都一の商会』を自負しております。

 イチ殿。我が商会とも取引を行って頂けませんでしょうか。」


「……えっと……どゆこと?」


 ただ、ポカーンとする俺を見て、アデリーとアニがクスクスと楽しそうに笑うのだった。


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