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【ネトコン13受賞!2/6書籍発売】私は悪役令嬢らしいので、ラスボスを愛でる係になることにしました  作者: 新 星緒


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おまけのお話・シルヴァンの秘密《後編》

「アロイスが園遊会のときのシルヴァンは、私のために着飾っていたと言うの。本当かしら」 


 帰宅して、晩餐までののんびりタイム。

 いつものようにシルヴァンは、私を膝の上に乗せている。


 いい加減、飽きないのかしらと思うけど、大丈夫らしい。

 幸せそうな顔をしながらあちこちにキスを落としたり、私の髪をいじったりしていたけれど、私がそう尋ねるとピタリと動きを止めて視線を合わせた。


「どうしてあいつが気がついているんだ」と、眉を寄せるシルヴァン。

「本当だったの!」

 シルヴァンは私を抱き寄せると、肩に顔をうずめた。


「はっきりそう考えていたわけじゃないが。ロクサーヌを好きだとは信じたくなかったからな」

 そっと彼の頭をなでる。


 お母様を亡くしたトラウマで、大切な人を持つことを恐れていたシルヴァン。きっと私には想像がつかない葛藤があったのね。


「だが腹も立っていたし、目に見ものを見せてやろうとは思った」

「どういうこと?」

「園遊会で邪魔されないようオラスを排除したのに、ロクサーヌは文句ばかり」

 排除? それって、前日の事件よね。小説どおりにならないよう、シルヴァンが手を回した一件。


「あれはピアが気に入らないからじゃなかったの?」

「それもある。どうしてロクサーヌがあんな奴らのせいで評判を落とさなくちゃいけない。ムカつくだろうが」

「そうだったの。嬉しい」


 シルヴァンの頭に口づける。


「あの時は怒ってごめんなさい。あなたは私のことなんて、どうでもいいのだと思ったのだもの」

 体に回された腕に力が入る。


「どうでもいいと思いたかったがな」

 でも、そうは思えなかったということね。嬉しいので、もう一度彼の頭にキスをした。


「夜会では邪魔されたから、園遊会では絶対に排除したかった」

 んん?

「夜会ってなんのこと?」

「俺と話していたのに、オラスがダンスに連れ出したじゃないか」


 新任大使の歓迎会のときのことかしら。


「あのクソ野郎!」

 シルヴァンは強い口調でそう言うと、私の首筋をちゅっと吸った。ピリリとした痛みが走る。

 これ、絶対にキスマークをつけたわ。


 あんなつまらない男に嫉妬するなんて、シルヴァンって可愛いのね。

 彼をぎゅっと抱きしめる。


「私が好きなのは、いつだってあなただけよ」

「知っている。だが、それとこれは別だ」


 シルヴァンは頭を上げると、視線を合わせたままキスをした。


「ロクサーヌは俺を好き好き言うわりには、鈍いし」

「ええ? そんなことはないわ」

「鈍い! いや、アホなのか? 変なところで自己評価が低くなる。自分より摘んだ花を守ったり。命がけで俺を助けようとしたり。ああ、ろ過を無理して完遂させたこともあったな」


 確かにそんなことはあったけれど……


「あなたはいつも、怒っていたわ」

「怒るに決まっているだろうが! 惚れた女が俺のせいで自分を大切にしないんだぞ!」

「惚れた……」


 サッとシルヴァンの顔が赤くなる。

 自分でもわかったのか、彼はまた私の肩に顔をうずめた。


「俺のために、必死の形相で元魔術師の元に飛び込んだんだぞ。惹かれないはずがないだろうが」

 そうなの?

 あれって雑用係になってまだ日が浅いころの出来事だったけど。


 そんなに前から私を思ってくれていたの?

 シルヴァンてば、意外にもチョロかったのね。

 でも確かに私も、鈍かったのかもしれない。


「全然、気づかなかったわ。あなたはいつも私に辛辣だったもの。そんなところも大好きだったけど」

 くすりと笑う声がした。シルヴァンが私を見る。

「変な女だ」

「あなたもね」


 トラウマもちのラスボスと。

 そんなラスボスが大好きな転生悪役令嬢と。


「私たちって最高に相性がいいと思わない?」


 


 


《おしまい》

  


面白かったら、☆をいれていただけると嬉しいです。

活動報告にシルヴァン視点のSSを掲載しているので、よかったら覗いてみてください。

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1449451/blogkey/3426832/

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― 新着の感想 ―
完結おめでとうございます! 長編化されてお話の広がりもキャラクターの深まりも共にマシマシ。 ラストのおまけも御馳走さまという感じですね(^^
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