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施し絆し

自由に生きたかった我が人生とは言え、美少女に拘束されるのも悪くない気がするというかむしろいい気がするのでとりあえず私は納得することにした。人生、切り替えが大事。のぼせるのは嫌なのでキルと一緒に浴槽から出てなんか気づいたら頭に置いてあったタオルを体に巻きドアを開ける。学校の教室が現れた。


「どういうことなの…」

「着替えるといったらこれってレイの記憶が言ってたからね」


確かに10年近く教室で着替えたりしてるし無意識に刷り込まれてるかもしれない。教室の窓から見える景色はグラデーションが掛かったSAN値が減りそうな色さいのぼうりょくだった。うん。そとはみないようにしよう。


私は机の横に引っかけてあった袋を手に取り、机の上にぶちまける。体操服でも入ってるのかな?


ドサッ←着ぐるみパジャマ(犬)


「どういうことなの!?」

「そういうことだよ」


キルの方を見てみると白シャツに黒スーツをビシッっとキメていた。訳がわからないよ。でも女の子のスーツ姿っていいよね。ネクタイ引っ張りたい。


どうせ足掻いても無駄なので、諦めて犬パジャマを着る。前面のチャックを生地が噛まないように引き上げるとチャックは消え脱げれなくなった。もう吹っ切れてるのでフードを被り犬耳も生やす。いつのまにか目の前あった鏡を見ると自分ながら割と可愛い。


「で、何でスーツ?」

「だけど似合っているでしょ?」

「戦場でその格好だったら舐めてるね」

「僕は似合ってると思うんだけどなぁ…。あ、そのパジャマの尻尾と耳、感覚共有されるからね」

「?????」

「パジャマの尻尾を握るとまるで自分が尻尾という機関を持ってて握られたような感覚になるってことだよ」


そう言ってキルは私のパジャマの臀部に付いてる犬モフ尻尾をぎゅっと握った。

私は唐突な臀部に与えられた強力な電撃のような刺激に、打ち上げられた魚の様にビクンビクンした。あー犬耳撫でられる感覚すごい気持ちいい。


「さてご飯しようか」

「ナスを薄くきって油で焼いたのを醤油付けて食べたい」

「いいよ」

「いいの!?」


ワガママがあっさり受け入れられびっくりし、がばっと顔を上げると、景色がいつのまにか切り替わっていてテーブルの上で私は突っ伏していた。お行儀が悪いので下りて椅子に座るとキルがナスを以下略持ってきてくれた。醤油は既に付いてたので置いてあったフォークをぶっさして食べる。至福。


「神は他人の幸福を許せと仰せだ」

「今まで君の神は許していなかったのかい?」


笑顔でナス以下略を噛み締めこの世の理を説いていると、頬杖を付いたキルが呆れた笑みを浮かべつつ突っ込んできた。私は他人の幸福が心底ムカつく人類。お前ら私の許可なく幸せになろうとしてんじゃねーぞ。(人間の屑)


「さて、今後の予定を行っておこうか。現在地はレイが降りたとこより更に人気のない森…未開拓領域だね。家の外出たらレイがちょっと静電気でばちってする程度のモンスターがいるよ。暫くはここ動く気はないかな。日中は読書や研究で過ごして、夜はにゃんにゃんする予定さ」

「私の意思は?」

「ちなみにレイ、結構寝てたから今食べてるのは夕飯だよ。今晩はその格好でしよっか」

「やだこの娘私の話聞いてない」

「ある程度僕好み(調教)になったら適当な国にいって冒険者でもしよっか。確か犬は散歩させないとストレスになるらしいからね」

「ケアするべきとこそこじゃないと思うんだよ私は」


まぁ別に不満とかは無いけどね。予定決めてくれるならありがたい。従うだけって楽じゃないか。誰かの敷いたレールを行くのってサイコー!これだから指示待ち現代っ子は…。(他人事)

まっそれに、キルなら本当に嫌な事はしないだろうって信頼はあるしね。


「無理やりは趣味じゃないんだよね」


こわ。




ご飯食べ終わってごちそうさましてるとキルにお姫様だっこされた。食器は直さなくていいらしい。どうせならと首に手を回しキルの端正な顔を見つめてみる。ニコッとされた。かわいいとかっこいい両立してるのずるい…。


自然と赤面になってたのを隠すためうつむいてると、部屋移動していたらしくベットに優しく寝かされた。ベットは一時間ぐらい前起きたのと一緒だと思うけど、壁は水色から緑色になっていた。目とSAN値に優しくない。


キルは私の両手を取って、優しく恋人繋ぎして覆い被さって来た。吐息が掛かるくらいの距離でじっと見つめてくる。


「キルって、そんなに性欲に飢えてたの?」

「いいや。僕は快楽は感じても、性欲というものはないね。ただ単に好きな人に幸せになってほしいからしてるだけだよ」

「でもこの快楽を与える幸せってキルの押し付けだよね。私は自由に冒険していい男の人と結婚したほうが幸せだったかも知れない」

「確かにこれは僕の押し付けかもしれない。でもレイにそれ以外の幸せを知らせなかったら、これは一番の幸せになるからね。僕がこれ以上の幸せを見つからせなければいい。というかレイが男性と結婚しても幸せにはなれないよ。これは断言できる」

「わー独占欲強いね。まぁ確かに男性とは上手くいく自信ないけどさ…。けど、好きな人には知らない一番の幸せになって欲しくない?」

「うん。好きになった人には一番の幸せになってほしいよ。だからその幸せは僕が絶対に与えて見せる。好きになったからこそ、全身全霊で一番の幸せをレイに与えて見せるさ」

「…普通に照れるじゃんかぁそこまで言われたら。………うん。わかった。私の全てをキルに預けるよ。絶対幸せにしてね?」

「もちろんだよ。絶対に幸せにするし、守るし、寂しくさせないよ、僕のお嫁さん」

「うん…」

「あと絶対に逃がさないから」

「うん?」

「さて、精神的に許された事だし、お楽しみといこうか」

「うぅん…。…優しくしてね。わんわん」

「やだ」

「!?」

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