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サブタイがどんどん適当になってきた

あけおめ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「VRゲームを作った」

「えらい」「よくやった」「最高」「お前がナンバーワンや」「一芸特化」「瞬足」「なぜそなたは美しい」「コーナーで差を付けろ」「ggwp」「私たち友達だよね」


ギルドの片隅に吊られているハンモックを先人から奪い、のんびりと「どんとこい、異世界転生」という本を読んでいると、何やら下界の住人が急に騒ぎ出した。

本を消して揺れるハンモックを制御しながら顔を向けると、頭にペストマスクという高防御な装備に他はふんどしとネクタイオンリーという布配分を間違えた変態が他の変態に囲まれていた。ペストマスクの左手には文字っぽいのが魔法っぽく走るメタリックなヘルメットがあり、言ってた事を信じるのなら恐らくVR機器の奴だろう。

もーいっつも世界観が揺らぐような物作ってくるんだからこいつらは。これは管理者(の嫁)として是が非でも現物を確保し危険性を私自ら先陣を切って精査しなければならない。うん、これは義務だから。義務としてしかたがなくね?ね?


「と、いうわけで君いいもの持ってるね。私に献上してね(はぁと)」


しゅたっと降りてジャイアニズム宣言。周囲からは「横暴だー!」「ひどいー!」「我々はこの革命において失う何物もないー!」と批判の声が届けられるが、私は一切気にせずペストマスクに手を伸ばす。


彼は私の言葉に返事をしない。だがゆっくりと首を振ると、ふんどしに手を突っ込む。そして手がゆっくりとふんどしから引き抜かれると、そこには左手に持っていたものと同じモノ、VR機器がたんまりと握られていた。


「案ずるな。全員分用意してある」

「「「しまう場所を案じろ」」」



と、いうわけでVR機器を手に入れた。もちろん受け取りはしたくなかったので見てからコピー余裕でしたwwって感じで量産した。これでキルも一緒にゲームできるね!


「キルー!VRゲームしよー!こっちでは何でもできるかもしれないけど不自由を楽しめるのはVRゲームだけだよー!後私のパーティーメンバーもマルチするよー!」

「できない事を克服した時、人は成長したと言える。久々に不自由な体を操ろうか」

「グレネード!」

「そもそもこれマルチできるもんなのか?というか何のゲームができるんだ?」

「あ、ペストマスクさん曰く、『欲望に従った結果産まれた物だから、欲望に従ったゲームができるのでは』らしいですよ。まぁ何か不備があってもここにはキルさんがいるのでどうにかなるでしょう」


カンガルーちゃん、何か不備があってもキルさんがいるから大丈夫、か。なんて汎用性が高い言葉なんだ。私も使っていこう。それと同時にキルをリペアツール扱いしているカンガルーちゃんはこの人間用の機器を付けれるのかが気になったけど、宇宙服がヘルメットの上から機器を引き延ばして装着しているのを見て大丈夫だろうと判断した。

固い素材でできていても必要に応じて伸縮する。そういうファンタジー物質があるんでしょう。


VR機器の内側に張り付けてあったアルミホイルを二度見してから頭に装着。


「どうキルー?似合ってる?」

「似合ってるけど、耳の所で髪が巻き込まれて跳ねてるよ」

「え」


固まる私にキルが近づいてきて、ちょいちょいっと治してくれた。髪は変な癖が付くと治すの面倒だからね。


私の髪を直し後ろに回ったキルに抱えられながら、私は拳を天井に突きあげる。この咆哮、天まで届けと言わんばかり。


「よぉおおおっしみんなあぁぁぁあっ!遊ぶぞおぉぉぉおっ!」

「「「おおおおおおおおっっっ!」」」



意識がちょっとこの世のどこかに飛んで行って、戻ってきたと思ったらそこは真っ暗な中世ヨーロッパの街並みだった。青光る月明かりでぼんやりと照らされる石の街並みに紙や草木が風で揺れるかさかさとした音、水路を走る水のせせらぎはどこか冷たい雰囲気を演出するが、これまたいつの間にか被っていた革のマントがそれを防ぐ。

そう、皆の希望を混ぜ合わせたVRゲーム。それは───


『Kill all players!』


わぁ…ステルスアサシンゲームだぁ…。

自分の恰好を改めて見てみると、腿や腰に上着の内側にと様々なナイフやらワイヤーやらの暗器が装着されている。

私はとりあえず目の前の壁をブリンクで登ると、姿勢を低くしながら屋根上で周囲を確認する。建物の高低差でそれなりに見づらいけど、少なくとも視界内にはプレイヤーはいなさそうだ。ふらふらとゾンビみたいに歩いてるNPCはいるけど。


えーっと自分が使える能力は…ブリンク、ステルス、NPCの乗っ取り、一定時間のプレイヤーNPC含む視線の把握…


『ペストマスク is dead!』

『包帯ドロイド sucked(血を) blood!(吸った)


早速死んでんじゃん主催者。

というかこの短時間でキルできてる辺り、こーいったゲームに詳しい奴いるなぁ。スキルセットとかはしっかり見るの後回しにして私も誰か殺しに行かなきゃ。

私はマントを深く被り、行動を開始した。


こういった対人ゲーっていうのは人が集まる場所は決まっている。まぁ中央とか広い場所とかの分かりやすい場所だ、ステルスアサシンとはいえどもそれは変わらない。悲鳴とか戦闘音で人がわらわら吸い寄せられるってのもあるしねぇ。


「っと」


あえて屋上でも地面でもなく、建物の二階という微妙なルートを辿っていると、窓から屋上に明らかに動きがプレイヤーの恰好な人がいた。慌てて体を引っ込めて視界を把握するスキルを使う。どうもがっちゃんごっとんと大騒ぎしている中央の戦場の様子をうかがっているようで、私の事には気づいてなさそう。


『幽霊 is dead!』

『カンガルー sucked(血を) blood!(吸った)

『ティラノ着ぐるみ defenes(窓から)tration!(投げられた)


キルログが流れていく中、ステルスを起動してこっそりと音を立てず忍び寄って背後を取る。きっとこの人はこのジャンルのゲームに慣れていないのだろう。ステルスアサシンは常に視界を大事に周りの注意を最大限にしなければならないんだから。


「っふ。よくわかんねーけど要は全員殺せばいいんだろう?人数減った時に突っ込んで強激でかたせば優勝よ…」

「残念だけど優勝するのは私なんだよねぇ」

「なっ!?」


ザクッ!

男は一気にブリンクで近寄った私に対応できず、致命打を受けて倒れた。


『入れ墨 is dead!』

『You sucked(血を) blood!(吸った)



「さて、と…」


脇に入れ墨の死体をごろりと転がしながら、私はさっきまで入れ墨が見ていた中央を観察する。戦闘は一通り終わったのか、もしくは協定を結んだのか。先ほどのおもちゃ箱をひっくり返した時の幼稚園児のような騒ぎは一応の終息を見せ、今や物言わぬ死体が転がっている広場となっていた。


「残りプレイヤーが何人かは知らないけど、キルログもまぁ落ち着いて来たかな…。キルするとちょっと能力が上がるっぽいし、中央の生き残りとはまだ戦いたくないね。できれば誰かと戦って疲弊したところを漁夫りたい。あとは~…キルを警戒しないと。性能が同等になってるとはいえ、プレイヤースキルは変わ───


『キル fell the(ヴォイドに) Void!(落ちた)


「キルさん!?嘘でしょキルさん!?」


ぴーっ、ぴーっ。(フレンド通信の音)


『キルっ!?なんでそんな…そんな雑魚死を!?』

『いやぁ。ちょっと穴に落ちたらどうなるか気になってね』

『そういう好奇心はランクじゃなくてノーマルでやろうよ…!』


いやわかるよ?そういったMAPのこれどうなるんだろ~とかこのコンボいけるのかな~とかふとした瞬間に思いついて試したくなるのは。でもランク(?)でやることじゃないんだよ!!!


『まぁまぁ。僕はレイの事観戦してるから頑張ってね』

『流石私が作ったゲームだ。遊戯に不慣れな私の代替えとなるデバッカーが多くいるのも良い』

『ゲームは一日一時間定期』

『海賊 is dead!』

『調律師 sucked(血を) blood!(吸った)

『どいつもこいつもアサシンに向いてなさそう』


「ものっすごいうるさい」


何だこいつら。観戦するのは自由でも最低限のマナーぐらい守って欲しい。


「………ん?っとぉ!?」


騒いでいる観戦勢にうんざりしながらも移動していると、ふと風切り音が聞こえた。なんだろうと軽い気持ちで顔を向けると軽い気持ちでは済まされない殺意で襲い掛かってくるアサシンがいてギリギリで回避した。やばい。


「っち!仕留めそこなったわ!」

「熊ちゃん!?やめようよこんな事!私を殺してもなんにもならないよ!?」

「いいえ!これが革命の一歩となるわ!あなたの命を犠牲となった娘に捧げる!」

「違うよ娘はまだ生きているよ!ほら、あそこのプロトタイプグールに見覚えない!?」


お互いがブリンクを駆使し逃げて追って躱して詰めて。ネズミが召喚されたり鍔迫り合いで弾かれたり怯みが少なかったりと、スキルをオールインしながらも寸劇は忘れない。


「こんっのぉナチュラルボーンサイコパスがっ!人のためじゃなく個人を思う感情を欠落させるなって話よねっ!」

「何を言ってるの!私は皆が望んだ事をしているだけ!私には感謝の言葉が聞こえてくる!」

「その反吐が出る言葉を止めろおおおぉぉぉっ!!!」

「何で分かり合えないのさあああぁぁぁっ!!!」


ガキィァンッ!!!

互いの刃がぶつかり合い、月に照らされきらきらと光る。ナイフに映る困惑顔な私に対し、熊ちゃんは純粋たる憎悪の感情を憎々しい顔で伝えてくる。ぴりりと指先から感じる緊張感。この戦いにおいて、一瞬の隙が死につなが───


「ひゃっはースピード上げてこそさいっっっこうだぜえええぇっっっ!!!」

「えっ!?ちょっ!?あああっ!?」


るのだけども、突然ロマンビルドで走り抜けつつ銃をぶっぱしてきた豆腐屋に対処した私は


「デル…これで私は一歩を進む事ができるわ…」

「声が…聞こえなくなった…?」


当然その隙を見逃さなかった熊ちゃんによって倒された。


『You are dead!』


『Winner...中二病!!!』



何かバグったっぽくてまともにゲームできねぇ!だから俺は死んだんだ!俺はもっとうまいはずだ!ログアウトして治したいけどログアウトできねぇ!だから俺の頭から取り外して来て欲しい。

そう言われたので私は一足先にログアウトしてきた。

意識が現世に戻ってきたので隣を見ると、宇宙服の上からVR機器を取り付けた宇宙服の姿が見える。

えーと、宇宙服が望んだのはログアウトじゃなくてバグが治る事。そして機械のバグはだいたい叩けば治る!ドリルを求める客は穴を求めている理論!


「そぉい!」


私は宇宙服の頭を思いっきり蹴った。


ごろり。


VR機器が覆う、白と青いバイザー。つまり頭部が転がった。


「………………」


私は無言で接着剤を取り出した。



「戻ってきたよー。どう?宇宙服治った?」

「おう。なんか体が軽いわ。いやVR(?)空間なのに体が軽いっていうのも変だと思うがな」

「そう。じゃあよかったー」




NPCグール君の出番が全くなかった試合を終えてインターバル。「真のオルヴォはこの私だ!」っと飛び出しナイフでパフォーマンスしている中二病を尻目に、皆は思い思いに感想戦を始めていた。


私?負けて悔しいからわら人形作ってるところ。これって相手の髪の毛入れなきゃダメなんだっけ?全部引っこ抜いてその髪で人形作ってやろうか。


「ここにいたんだねレイ。感知もできないこの身体は不便だね。下位種の日々を思うと少し同情してしまう程だよ」

「わぁ最初に好奇心で雑魚死したキルさんじゃないですかどうしまし待って待ってごめんって違うんだよほらイキれる時にイキらなきゃって風潮あるじゃんアイアンクローはダメだって私もほんとはやりたくなかったんだよ世界に命じられただけなんだよいたたたたっ!?!?!?」


VRでも腕力の差があることを私は知った。


「うぅ…。まだ掴まれたところズキズキする」

「自分の言動には責任を持つべきだよね」

「持つのと持たされるのはまた違うと思う」


キルに抱き着かれながらも私は不満を漏らす。何で抱き着かれているかっていうと、このVR世界ではいつものつおい体とは違って脆弱貧弱無知無能な人間の体(意訳)なので、手加減せず思いっきり抱きしめる事ができるかららしいです。

暖かい体温と愛する人との密着、流れ込んでくる安心する匂いにそもそもハグでじんわりと慈しみの感情が襲ってくる。それに加えて可愛い理由言ってくる嫁に対して私の理性は崩壊寸前ですよ。


「…最愛の人を全力で抱きしめられるっていいね」


崩壊寸前でしたよ。(過去形)



『さぁ始まりましたインド発祥スポーツのカバディ!実況解説はこの私、ジョン・ドゥと元日本代表プロカバディ選手───』

『西沢でお送りいたします。よろしくお願いします』

『はいお願いいたしますぅ』

「ちょっと待って」


実のところ。

端っこの方でイチャイチャしていたとはいえ、私とキルは主人公なポジションだ。目立っていた意識はある。

けどさぁ、その、女の子と女の子が、それも美少女が抱き合ってる姿を見て。

連想したゲームがよりにもよってカ バ デ ィって何なの!?そこはさーせめてさー恋愛ゲームとかヤンシュミレーターとか色々あるでしょほら!カバディが皆の総意ってマジで言ってるの!?


『スポンサーが少々うるさいですが実況に行きましょう。さぁ試合が開始されました───』



白熱のカバディ音が聞こえる中、私は別のサーバーへと飛んだ。

そもそもカバディは身体的接触が多く、男女共同でやるものではない。(動画少し見ただけだから知らんけど)。私は平和でほのぼのとしたゲームを求めて鯖を変えた。



平和でほのぼのを求めんとするならば、動く者全てを滅せばよい。この小説では散々言ってきたことですね。手にはP90、サイドにグレネードとナイフを持って敵を撃ちに行く。そうこの世界はFPS───


「グレネード!」

「デルタ拠点が奪還された! おいお前ら取り返しに行くぞ!」

「誰か弾をくれ!」

「グレネード!」

「裏切り者や腰抜け者に容赦せんぞ!」

「しゃがめ! 頭をぶち抜かれたいのか!」

「グレネード!」


「まー人気のジャンルだし、静かにさせなきゃいけない人もいっぱいいるよねぇ」


私はP90の安全装置を外しながらそう呟く。もちろん発砲音や爆発音が絶えずに鳴り響く戦場に私の小さな呟きはかき消されるが、別に誰に聞かせるべく呟いたわけじゃないので構わない。


スナイパーの射程にだけ入らないように物陰にかくれ、とりあえずはマップを開く。えーっと一般的な市街地がテーマのマップで、現在の戦況としてはナイフ凸してる奴がいるせいで若干不利と。

あっ今も目の前に沸いて笑顔でナイフ握って走ってった。


「……まぁロマンは認める」


トロールだって真面目にやるなら私は何も言わないよ。AFKは許さないけど。

さて、拠点でだべってるだけじゃなく私も確保しにいかないと。んっんぅ……Bかな? 多分取れそうな気配する。行こ。



やってきましたはB拠点。とりあえずフラッグの地面は踏んでるけど敵もいるから占拠できないね。(FPSでは特定地域で一定時間止まるとポイントが手に入るようになるが、敵がいると競合しあってしまう)

索敵こそしてるものも色々と警戒しながらだから効率が悪い事悪い事───


チュインッ


ほらこうやってスナイパーに狙われたりするしさぁ!


「あら、レイちゃんもこの拠点に来てたのね。一緒に突っ込む?」

「わぁ熊ちゃんか。先住民の徴兵かと思った」

「はったおすわよ」


様子をちらちら伺う私に近づいてきたのは熊ちゃん。恰好がそんなにいつもと変わらないので私の勘違いも責められないと思う。


「まだ私はいいよ。ここで分隊リスポ地点になっとくから」

「あらそう。私はゾン凸こそが至高と考えてるから行ってくるわ。この戦争が終わったら結婚式が控えてるから早く終わらせたいのよ」

「フラグ」


熊ちゃんは私の言葉を聞かずに飛び出していった。あれは多分死ぬだろう。


「ん? あぁレイさんですか。今日はいい裏どり日和ですね」

「わぁラキか。少年兵だと思った」

「はったおしますよ」


軽くクリアリングしながらも私に近づいてきたのはラキ。恰好がいつもと変わらないしこの戦場では幼さが目立つから私の勘違いも責められないと思う。


「裏どりするの? 気を付けてねー」

「戦争を速く終わらせようと思ったらやはり裏から壊滅させるのが一番手っ取り早いんですよ。故郷で待っている幼馴染のためにも早く終戦させないと」

「フラグ」


ラキは私の言葉を聞かずに飛び出していった。あれは多分死ぬだろう。


「おや? レイさん、こんな戦場で出会うとは奇遇ですね」

「わぁカンガルーちゃんか。軍用動物かと思った」

「はったおしますよ!?」


ぴょんぴょんと弾をドッジしながら近づいてきたのはカンガルーちゃん。恰好がカンガルー姿そのままに色々プロテクター張り付けた感じだから私の勘違いも責められないと思う。


「カンガルーちゃんもFPSやるんだねー」

「……まぁ、年齢的にちょうど憧れというか、好奇心が高まってくる歳ですから。しかし思ったより平和ですね。不安だったのでレイさんについて来てもらおうと思っていたのですが、これなら私一人でも占拠できそうですし行ってきます」

「フラグ」


カンガルーちゃんは私の言葉を聞かずに飛び出していった。あれは多分死ぬだろう。



「骨がぼきぼき折れる音ー♪肉がじうじう焼ける音ー♪それ燃せやれ燃せもっと燃せ!とろけるような、焼き肉だい!」


減るどころかどんどん増えて行くフラッグ地点内にいる人数の表示に、私はしびれを切らして焼夷弾を投げ込む仕事を始めた。ナイフ凸の人がリスポーンするたびに傍に置いてくれるので補給は心配ない。


燃え盛る音と悲鳴をBGMに、私は実績解除とかこんな作業の繰り返しだよねと呟いた。



(これは別世界線の何かだったけどキャラは使いまわしたからここに乗っけてもいいやろって思って供養。なんかこう、諜報員と軍人のあれこれが書きたかった)


敵陣地へと向かっていたら敵側に所属している恋人に見つかった。


「………」

「僕としては素直に吐いてくれたら助かるんだけどなぁ。悪いようにはしないよ?」


普段尻に敷かれている、とか関係なく、私の方がまぁ弱いので普通に捕まってしまった。というか弱いので尻に敷かれているまでもある。


「私は職務を貫く。何も喋らないよ」

「だよねぇ。そういうとこが好きで一緒にいるしねぇ」


現在、恋人が壁にもたれ掛かり、その恋人に後ろから抱えられている。背中痛くないんだろうか。私の方が小柄だし、手も縄で拘束され上に吊るされているので抵抗はもちろんできない。


「ところで僕、それなりの地位にいるんだよね。敵諜報員を見つけた時、生かすも殺すも僕次第ってぐらいには」


そういいながら、恋人は後ろから私のお腹に手を回してきて服をまくりあげる。時期的には冬なので、素肌が晒されたら流石に寒い。


「まぁつまり、捕虜は自由にしていいって事だね。憐れんで見逃すもよし、暇潰しに殺すもよし」


お腹を触っていた手が更に下に伸びる。ベルトを外されズボンのボタンも外される。左手で脇腹を撫でつつ、右手を下着に侵入させつつ恋人は耳元で囁いた。


───手慰みに苛めるのもよし。




私のすむ国、アミオニアは膨大な農地を持ち、穀倉が盛んな国だ。住人も仲間思いで助け合いな傾向が強く、昔から団結力を武器に繁栄してきた国だ。

私はそんな国の諜報員として身をとしており、孤児員卒業後、即入隊という経歴だが、そこそこの実力があり、19歳にして既に他国への潜入調査を任されるほどだ。自分で言ってると恥ずかしくなってきた。


さて、私の担当となった国、リクサスは私の国と正反対といっていい国だろう。実力主義。周りは全て敵だ蹴落とせ。資源なんざ侵略して奪え。作らせろ。といった国。

アミオニアはリクサスとそれなりに離れているので、そうすぐ侵略される心配は無いが、いざというときには国を畳逃げるためにも、侵略の兆しを探るために見張っている。抵抗するなんてことはしない。国力は歴然としているのだ。我が国の王は生きるためなら故郷も棄てろと仰せだ。


さて、そんな素敵な国に潜入し、一週間ほどたち、それなりに溶け込めてきた頃…。


情報を集めようと思ったら、やはり屋台というのは便利だ。人は何か食べなければ死ぬし、飯を食えば気分がよくなり口軽くなる。何より客層がいい。屋台ならばプライドが高く観察眼が鋭いお偉いさんは来ないし、安月給でそこそこの情報をもち、口も固くない兵士が来やすい。そのはず、なんだけど…。


じっと、胸元に勲章を着けた、そこらの兵士より明らかに上位のものだと判る軍服を来た少女がこちらを見ている。少女の近くにはお供なのかこれまたそこらの兵士よりかは上位そうな兵士が二人。少女だからと侮ってはいけない。この国は実力主義。…いやでも、じっと見た程度では流石に他国だとはバレまい…。


「ねぇ、君」

「はっはい」


平常心を保とうとしつつ、怪しまれないようにいつも通りの呼び込みをしながら材料の準備をしていると、少女がやって来た。お供は待たせているようだ。まさかバレてるんじゃないか、という焦りから声が上ずる。


「美味しそうな匂いだね。一つ頂けるかな?」

「っはい、少々お待ちください」


どうやら普通の客なようだ。少女だからプライドとか無いのかもしれない。でもこれで私を燻しだすための罠だったら泣けるな。


材料は準備していたし、鉄板も温めていたのでそう時間は掛からない。売っているのは肉ありサンドイッチのようなモノ。安パイだからこれにしとけって先輩から言われてる。潜入調査、お金かかるからね。材料とかは国から提供してもらって、ちょっとでも節約してる。


「できましたっ。熱いのでお気をつけください」

「ありがとう。いくらかな?」

「いっいえ、お代は結構です。頑張ってください」

「ん?すまないね。ありがとう」


だから早くどっか行ってくれ。使った材料と売り上げが一致しなかったら怒られるんだぞ。いや今回は見逃してくれると思うけど…。

だが私の祈りは届かない。少女はお供が待っているにも関わらず、屋台前で食べ始めた。あむあむと溢さないように食べる姿は大変可愛らしいが、私を気が変わったとかいって殺してもいい階級なので大変禍々しくもある。というか普通に迷惑行為ではこれ。


「うんうん。香りの通り美味しいね。特に野菜が美味しい。どこの使ってるの?」


ボロが出る前にどっかいって欲しいと私が切に祈っていると、お気に召したらしい少女が野菜の産出国を聞いてきた。ここはもちろん我が国アミオニアと言うわけにはいかない。


「北のフレヨフドから仕入れています。あそこのお野菜は私も気に入っていまして…」


フレヨフドは少数民族がいっぱい連なった国で極寒の地だ。そこで何故か育つ野菜は厳しい環境で育つせいかなかなかに美味しい。まぁアミオニアには敵わないけどね。


「あぁ、なるほどフレヨフド。そこなら美味しいのも納得だ」


納得してくれましたか。じゃあ帰ってくれませんかね。冷や汗いっぱいかいちゃったのでお風呂入りたいんですよ。


「僕はあんまり食には拘らないほうなんだけど、ここまで美味しいなら定期購入も考えた方が良いかもね」


少女は残りのサンドイッチモドキを食べながら喋ってくる。こんな1店員にそんな話して何が楽しいんだろう。ああもう、早くどっかいってよ。ストレスで胃に穴空いちゃうよ。


「さて、ごちそうさま。美味しかったよ、ありがとう」


あぁ、やっと終わった。もう今日は疲れたから店じまいにしよう。店も変えて変装も変えよう。ここでの店は畳もう。


「じゃあ、またくるよ。これからもよろしくね───」


次は何のお店にしようかな。野菜とか使わないと折角持ってきたんだし勿体ないよね。えーと他の候補メニューは…。


「───アミオニアの諜報員さん」


私は逃げた。




「何もそう逃げることはないじゃないか」

「………っ!」


一週間程度の土地勘だと撒くことも叶わず、普通に路地裏に追い詰められた。

路地裏の壁は高く、登れない事は無いが登りきるまでには妨害が入るだろう。私を追い詰めている少女は必死な顔をして色々考えている私をうっすら笑いつつ見ている。狩りを楽しんでいる強者みたいだ。いや、実際狩りを楽しんでいるんだろう。追いかけられてた時、少女はまだ余裕がありそうだったし。

マイクラ lol Pso2 アモンガス ディスオナ 自然癒 ダケダン ラチェクラ ARK DeepRockG GTFO Noita RoR2 スライムランチャー CSO2 エタリタ BF


以上よりサイコロを振りました



どんとこい、異世界転生

どんとこい、超常現象


我々はこの革命において失う何物もないー!

プロレタリア革命


実況解説はこの私、ジョン・ドゥと元日本代表プロカバディ選手───』『西沢でお送りいたします。

ktzwカビラさん!?


P90

マイクラの銃鯖でお世話になったから好き。ガンゲイルで更に好きになった


「骨がぼきぼき折れる音ー♪肉がじうじう焼ける音ー♪それ燃せやれ燃せもっと燃せ!とろけるような、焼き肉だい!」

デルトラクエストより


その下の別世界線の奴

全体的にlol

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