百合とはどういうものだったか
朝起きて、昨日も着込んだスタイリッシュ戦闘服(白衣着てたアレ)を着込んで、こういう外でも白衣着ちゃう人ってクレカしか使わなそうで現金持って無さそうって思って、小銭から催眠を連想してキルにやったら効いてしまった。効いてしまった?…効いてしまった。
「効いちゃったよ…」
目の前には無表情になって目からハイライトを消したキル。試したい事あるからとイスに座らせた格好で微動だにしない。背筋をピンと伸ばしたお行儀のいい姿勢で私をボーっと見上げている。
率直に私の今の心の内を言おう。「やらかした」、だ。
「ああああこれ解けた時お仕置きやばいよねきっといや絶対やばいよねというか5円玉振っただけで催眠されるとかおかしいよねじゃあ不可抗力だなよし許される」
いや多分許されないな(冷静)。
…いや、逆に考えるんだ。どうせ今キルが元に戻ろうと、催眠したという事実は変わらず、絶対にお仕置きはされる。ならばもういっそ好きにやるべきだと。
なるほど…!これが覚悟…!覚悟を決めるということ…!
寝起きテンション上がっているのもあって私の興奮は高まっていく。おいおいそんなに興奮してどうするよボブ。今からもっと凄いこと、するんだぜ?
とりあえずイスに座らせてるなんて、一部にはこのシチュがいいのかもしれないけど私はそんな良く思わないので、キルをお姫様抱っこしてベットに運ぶ。いつもと立場逆だけど、する側もいいものだね。キルを見下ろすとかいうレアかつ冒涜的な悦びを噛みしめていけ。というかこの娘かっる。
ぽすんとベットに優しく下ろし、崩した女の座りをベットでさせる。この時点で、無表情とか綺麗な顔とか微動だにしない事とかが混ざりあって、お人形を好きにしようとしている感覚に陥ってとてもえっちぃ。この娘私の嫁なんですよ。
「…あー…左手上げて?」
キルの正面に同じく座って、顔を赤くしながら何故か疑問形になりつつも、催眠に本当にかかってるかの確認も兼ねて軽い要求。
───キルはゆっくりと言われた通り左手を上げた。
…ごくり。
「ゃっっっばいこれで興奮するなって方が無理でしょ!」
私は吠えた。この咆哮天へと届けとばかりに。くっそニヤけた顔で。
わかる?いつもいつも私をいいように好き勝手やってる絶対君主なクールっ娘が私の言葉一つで何でもしてくれるって状況で得られる興奮!濡れるぜ。
「ーーーっ!ふぅーーー…」
小躍りしたくなる体を律して、いや律しきれてなくてうずうずしてるけどとりあえず正座して瞑想する。
コスプレ…ポーズ…表情…ボイス…シチュ…そしてえっち…これ瞑想じゃなくて妄想では?
「よっし!あ、とりあえず腕下ろして正座して?」
キルは言われた通りにキレイな佇まいで正座した。
ぐへへ…これからこの娘にどんなえっちな事してやろうか…。
「あぁでも、キャラが崩れるからあれな表情指定は止めてね」
「えー?あへったのダメ?やっぱり?ううむ…まぁしょうがないか。それ以外で楽しむとしよう」
表情はめってされてしまった。本当に嫌な事はお互いしないという暗黙の了解があるので無理強いはできない。ここで認めてしまうと大変なのは主に私だしな…!
いつ解けるかわからない催眠にかけている現状、じっくり楽しむよりかは巻きで数をこなす方が私は好き。というわけでやっていこう。
「はい、ぎゅ~ってして?」
「ぎゅー」
とりあえずのハグ。えっちが絡まないハグは割と珍しかったりします我が夫婦。
「頭撫でて?」
なでなで。えっちが絡まない以下略。
「愛してるって囁いてみて?」
「愛してる」
「うわ凄い棒読み」
まさに僕操られてますって感じの無感情で平坦な声だった。こんな声で愛してるって言われてもそんなに嬉しくないよ私。
追加でにゃんってポーズ(わかりやすいにゃんポーズ.img)させたり黒と水色を基調とした学生服に着替えてもらったり(学生服女子って検索したら出たの.img)大樹の根本で木漏れ日に目を細めながらのシチュ(種子島に行った時の.img)を加えてみたけど、やはり無表情な点がやはり目立つ。
催眠っていっぱい種類あるじゃないですか。いや私純愛大好きな人なんでそんな催眠の事しらないんですけど、まぁ種類あるじゃないですか。でその中でこれは…あー、感情も消されてるパターン?分けるとしたらそんなのかな?まぁそれとすると、私あんまり好きじゃないね。一切抵抗しないっていうのもそりゃぁ興奮するけど(特に普段尻に敷かれるのもあるし)、純愛が好きな私としては感情がないのは微妙となる。
さてどうしたものか…あぁいや催眠解けばいいんじゃん原因それなんだし簡単じゃん。
指ぱっちーん!
「さぁキル!感情を取り戻した声で私に愛してるって囁いてみて?」
「いや催眠を解かれたとなると僕も好き勝手やったお仕置きをせざるを得ないんだけど」
………あ。
すぅー………(息を吸う音)
「最近はお花を植えてる量が増えたね」
「…一緒にガーデニングしてこのお屋敷を飾ろうよキル、今から」
「一緒にもっと愛しくなるように調教してあげるよレイ、今から」
目つきがいやらしいっていうじゃないですか。ほら、小説に限らずSNSとかでも表現で。あれ私は逆に完璧過ぎて恐縮でもしてるのか感じた事ないんだけど、だから目だけで本当にわかるのかって疑ってるんだけど、それはこっちでも同じなの。
でもね顔全体で、特に表情とか全部ひっくるめて「あ、これはいやらしい視線向けられてるな」ってわかる事は最近あるんですよね。でも本当にいやらしいときはもう雰囲気がそうだしなんならこれ逃げられそうにないしあ助けてこれ私はんあああああああ!
ある日。武器(杖とか槍とかの刃がそんなないの)をぐるぐるびゅんびゅんしてるのかっこいいと先日のキルとのバトルに影響を受けまくった思考で、そこらへんで拾ったエクスカリバー(木の棒)をびゅんびゅんしていた。言ったっけ?外出許可貰ったんだよね。
「うーむ、思ってたよりできるもんだなぁ。バトンマーチって言うんだっけこれ?」(※バトントワリング)
ぐるぐる、びゅんびゅん。細かい描写なんて誰も求めてないだろって思って書こうとして止めました。はい。
「異世界のテンプレ…テンプレをやらねば…私の生活は全てテンプレなのだ…言うほどそうか?」
やることが無くなってくると、私の体はテンプレを求めだす。だって暇なんだもーんキルは世界を救うお仕事してるから積極的には(夜を除き)構ってくれないしー何も考えずにそんな設定付け足すからだぞー。
「あっあれだ。看病してもらってない」
お人形?いやあれは別だから…。
看病、いいよねぇ。意識あやふやになって心細くなって涙目になりながらも体温上がった体から流れ落ちる汗とかえっちですよね。まぁ私がその看病される側になろうとしてるんだけど。
「いや、しかし…病気ってどうすればなれるっけ」
私転生前も病気なった記憶ないんだけど。あっバカは風邪引かないとかそんなんじゃないぞ!これでも(暗記科目を除いて)80点未満は取ったことないんだからね!学力と頭の良さは関係ないのー。単純な体の強さですー。
で、病気、病気になるにはっと…。
醤油一気飲みしたら熱出るんだっけ?味覚死にそうだしあんまりやりたくないな。裸で寒風に吹かれるとか…いや、止めとこう。最近人間として尊厳を守れてるかも怪しいんだ。守れる時は人として文化的な生活をしていこう。そもそも私のステータスぶち抜いて病気になれるかも怪しい。
…いや、そうだな。別に看病してもらうのに病気である必要はないんだ。怪我でもすれば一瞬でああもう面倒になってきた。
「キルー、病気になったんですよ。何の病気かはわからないけど病気になったんですよ。看病してください」
「いいよ」
了承の声が聞こえると共に私はベットに横になっていた。改めて考えてみると私かなりめんどくさいお嫁さんだね。わがままだね!
キルは寝ている私の前髪をかき上げ、私のおでこと自身のおでこを合わせると、平熱だねと呟いて私の手を握りながらベットに腰掛けた。
「キル…体熱い…苦しいよ…私、死ぬのかな…」
「死んで生き返らせれば体調不良は消えてるね」
「ボケに対し冗談かわからない怖い事言うの止めて?」
死んで蘇生すればデバフは消えてる理論。キルの冗談は心臓に悪いなぁ。冗談であってほしい。
「そう…この弱り切った体に体温が上がり上気した顔、寝やすく肌が見えやすい薄いパジャマに見上げる涙目な瞳!これでキルも悩殺ってもんですよふふん」
「流石に僕も体調不良なレイを襲いはしないよ」
「意外な優しさだ…」
キルは何も言わず「こいつ元気になったら覚えとけよ」的な視線を向けてきた。ぞくっとします。
朝(11時くらい)。起きたはいいけどお布団から出る事もせず私はダラダラとスマホを弄っていた。
相変わらず大体のネット小説ってすーぐ体の関係持つよね。出会って即合体!って。はー、身持ちの硬い私じゃそうはいきませんよ。
「…おースケートかー。最後やったのいつだろ…学校の行事とかで行った気がするけど…」
頭にたまに落ちてくるスマホと戦いながらもネット小説を読み進めていると、ヒロインとヒロインがアイススケートしてるシーンが出てきた。
読んでたら私もスケートしたくなってきたな。よしやろう。導入はわかりやすく短いほうが好き。
「リンクは…まー半径50mぐらいに凍らせて…靴は確かこんな感じだった気が…やっぱりこの靴見れば見るほど人蹴り殺せそうだよね」
とりあえずスケートシューズを履いて、作り出した壁に掴まりながらもリンクに立つ。なんでかわからないけど寒いな。今の服装がパジャマ(もこもこしてるパーカーショートパンツ)っていうのは多分関係ないはずなんだけど…。
「ん…ぬっにゅあ!っと…」
と、いうわけで手を放し久々のスケート開始。感覚を忘れているので立っている事さえおぼつかない。そんな私をいつのまにか来ていたキルは直立不動で微笑みながら見ていた。体幹やば。
歩くだけなら何とかなるぐらいには慣れてきたので、小さく歩いてキルの元へーーー目の前で止まろうとしたら滑って越しそうになったところを引き寄せられた。
「わぷ」
「手のかかる子供をフォローする親ペンギンって感じだね」
「そこは親子関係じゃなく恋人関係を持ち出してよ~」
全く。自分の事を子ペンギンと表現するキルも可愛くて困る。
「キルって競技であるような、飛んで三回転するようなのできる?トリプルサルコウ(?)とか」
「百回転でもできるよ。というかレイもできるよ」
「何でお遊びでそんな目が回りそうな事しなきゃならないの?」
「お遊びだからこそやるんだろう?」
「わかる!」
無駄な事にこそ全力で。それでこそ人生は面白くなるってもんだよね!一回きりの人生、好き勝手やったもん勝ち!
漲ってくる力の溢れ出るがままに勢いを付け、見よう見まねで百回転を目指そうと飛び出す。
一歩目の時点ですっころんで臀部を打ち付け、芯に響く痛みに耐えれず仰向けに倒れた。お尻打った時って何で吐き気もセットで来るんだろうね。
「ふふっ、相変わらず愉快な動きをするね」
吐き気を紛らわすためにこの世の諸行無常を考えていると、私の頭を挟んで脚が来るようにキルが滑ってきた。もちろんキルの股が眼前である。
「見え…見えっ…!」
「僕ズボンだよ」
スケートと言えばデート。デートと言えば動物園。
「わーあのスロース可愛いー一匹だけ群れに馴染めなくて端っこにいるのが可哀そうでかーわーいーいー!」
「可哀そうなのは可愛いよねぇ」
「頑張れ君は馴染めるよスロース君行けるよ!私努力できる子好きだよ!その健気な姿勢こそが真にいいんだよ!」
キルから意味ありげな目で見られたので前言撤回。自分の発言に責任は持たない。
鉄格子を挟んで見るスロース君は、騒ぐ私たちに構わずのんびりと大木をがりむっしゃしていた。5匹ほど見えるスロース君は基本カラーであろう緑に混じり、アルビノ個体なのか白い子もいる。
大きいなぁ。エンゲル係数やばそうだなぁ。痒いとこ掻くの大変そう。
「ちなみにスロースは魔法を使えるよ。水陸空全対応な中々強いモンスターだよ」
「水…空…?????」
あの巨体が空を飛ぶのか…まほーすごい。
次の動物が見たくなったのでポーズを決めながら指ぱっちん。すると周りの景色が切り替わり次の動物が見れるという仕組みです。
お次の動物…ファンタジーでお馴染み!スライム!
「さぁ二体目から動物か怪しくなってきたぞぉ」
「生命があって動いているんだから動物さ」
「分裂生殖する生命は動物カテゴリに入れていいものか…」
突如始まる、草木を体内に入れてぷかぷかさせてるスライム君目の前に動物講義。本日の議題はスライムについてです。
「はいスライム君。君は分裂で数を増やしていく生命体だよね?意思はあるの?」
『ありますよ』
「うわ急に喋らないで」
この世界なんでスライムを喋らせてるの狂ってるの?
『まぁそう驚かないでくださいよ。そうだ、親交を深めるためにもカードでもしません?1000セレル(久々に出てくる通貨単位)までなら賭けれますよ』
「あぁすまないね。この娘の財布は僕が管理してるからダメなんだ。賭け事はさせないようにしていてね」
『おっとそうなのですか。いえ、これは出会って直ぐ賭けようとした私も悪いですからね。常識がありませんでした』
喋るスライムが常識を語ってる…。
スライム君と嫁と人数合わせで呼び出したラキとのゲーム内容は大富豪。結果はキル1位スライム君2位私3位ラキ4位。罰ゲームでラキは2pカラーとか言って全身青色に染め上げられた。人数合わせで急に呼ばれた上に罰ゲームって可哀そう。かわいい。
スライム君とはメアドを交換して(アイコンは熊のぬいぐるみだった)、指ぱっちんして次の動物へ。
ライオンだった。
「…喋る?」
『発声器官無いのに喋るわけないでしょ』
「だよね。安心した」
「そもそも同族としかコミュニケーションを取らない方が自然界では普通だからね」
確かに。とすると私はスライムと同族なのかもしれない。スライムは私で私がスライム。私はスライム…?トートロジーに陥りそう。
「確かにカッコいいし、もふもふだし、肉球がギャップ萌えするけど、隣にも似たようなのいるしなぁ」
『キレそう』
「肉食獣らしく組み敷いてもいいんだけどね」
こわ。
小説の書き方忘れた。
ストーリーが無く、ネタ切れが速いこの小説の寿命はそりゃ短いよね。
ということで暫く更新は止まります。新しいの書きたくなってプロット初めて作ってるのでそっちやる。
なんかネタいくつか思いついたら投稿します。このシチュ見たいってネタあるんなら言ってね書くから。
ちなみに現時点で残ってるネタは「レイとキル、宇宙へ」です。




