ぐれいぷぐるーぷ
小説読んでたら、「展開が読まれた…」と作者さんが嘆いていました。
私も展開予想される小説を書きたい人生だった。
私は昔偏食だと色々説明した。
好き嫌いが多く、わがままも多く、環境にもこだわったりするので、我が親友二人にも呆れられる程だった。
そんな私だけど、別に食べれないワケじゃない。あくまでも好き嫌いである。私は嫌いだから、美味しく食べれる人にどーぞって感じ。
そう、神経質なだけなのだ。魚は食べれる小骨まで全部取るしみかんの皮は白いのまで30分かけて取るけど、それだけ。
しかし、そんな殆どの食べ物が食べれるけどできれば嫌だって私でも、もぅマジむりって食べ物が三種類存在する。
潮の匂いがするもの、味付けが極端なもの、そしてグレープフルーツがダメだ。最後だけ名指しで毛色が違うし、二個目の理由に含まれるんじゃないのって思うかもしれないけどまぁ一個一個理由を聞いて欲しい。
まず潮の匂いがするもの。これには海藻が主だ。というかそれしか対象に入らない。あの塩っ辛くて嫌い。初めて食べてからもう全然口にしてないからどんな表現すればいいか忘れちゃった。まいいやそれぐらい嫌い。
次、味付けが極端なもの。これはわかりやすいし、共感も得られやすいと思う。辛すぎたり、酸っぱすぎたり。「それが美味しい!」って料理があるのも勿論理解してるけど、私は一定以上の刺激物とかは絶対無理だ。胃が秒速で荒れる。
最後、グレープフルーツ。吐く。あなたにはわからないでしょうねぇ!酸っぱく苦く!ついでに種とかもあってそれだけで更にキツく!二個目の味付け極端の上位互換!死ねぇ!滅びろぉ!学校の給食で出るたびにちょっとずつ食べれる人が増えていく恐怖!あのじわじわと侵食していくようなっ!ああ忌まわしい!消しさttyる;おsrぽl:;
ふーっ!ふーっ!(威嚇)
…ふぅ。落ち着いた。まーこっちに転生してからもの凄い甘えた贅沢な食事してるから問題ないんだけどねー。栄養面とかも調整してくれてるみたいだし、不摂生に見えてパーフェクトな健康食品生活を送っているのだ。食事は日々のメンタルを安定させてくれる。そんな食事を毎日用意してくれてるなんて…愛してるぜキルっ!
さーて、今日のご飯は何かなー?私がリクエストしてもいいけど、キルが気まぐれで出してくれるご飯も美味しいしなー。
るんるん気分で用意されていた服(母校の学生服)食卓へと向かう。そして食堂には───肘をついて微笑んでいるキルと、拷問とかに使われそうなゴツいイスがテーブルと共にあった。やばい(やばい)
「…一応聞こうか。何を企んでいる?」
動揺し過ぎて変な口調になっちゃった。
「レイ、僕はね。レイの笑顔を見るのが好きなんだ」
「うん」
あなたのためにいっつもニコニコしてますもの私。今表情ストンと抜け落ちてるだろうけど。いっつも笑顔にしてくれてありがとね。だからその物騒なイスひっこめない?
「こうしてレイに美味しいと思ってくれる食事を用意したり、唐突な奇行に付き合ったり、我儘を受け入れてるのは、全てレイに笑顔でいて欲しいから」
キルが胸に手を当てて訴えかけるように演説をする。ひしひしとその様子から私の事を想う恋慕が伝わってくる。…キルにも奇行だと思われてたのですか(´・ω・` )。まあ私もそう思わないでもない。
「でも、僕はもう一つの事も知っているんだ」
キルがショートジャンプしてきて、両手で私の顔に手を添える。黒いローブから覗くキルの瞳はらんらんと輝いている。そして背後のテーブルの上には、グレープフルーツ。我が天敵。死。げっざっふぁっきやぁうと。
「レイは、泣き顔も最高に可愛い」
「ちくせうこの嫁最悪な事を知っちゃってる!」
まぁ待て。まぁ待て(必死)。いやね?確かにレイちゃんは泣き顔が可愛いかもしれませんよ?けどね、レイちゃんはどんな表情でも可愛いんですよ。それなら幸せそうにさいっこうな笑顔を見せるレイちゃんの可愛さのほうがよくありませんか?私は幸せなのでそれの方がいい。
キルのセリフの意味を理解すると同時に即座にUターンして逃亡を図る、が、当然そんな行動を嫁が見過ごす外がなく。
「っく、はっなっせ!何を食べさせる気だぁ!私は屈しないぞ!」
「好き嫌いは感心しないよ、レイ」
「好き嫌いは関心しなかったじゃん!?」
がっちり背後からホールドされて、そのままイスまで引きずられ、抵抗の余地なくイスに座らされて手足を魔力的な何かで拘束される。手は上でまとめられてるポーズ。これお姫様が敵国に落とされて拘束される奴だ!(錯乱)
「ちょっやめっ吐くよ!?私絶対吐くよ!?キルにはそんな趣味があるっていうの!?というか私がキルに吐く姿見せたくない!」
「嘔吐反応は魔法で消してあげるよ」
「そういうことじゃなくて!?」
動けない私にのしかかってきて、光のもやっぽいのを浮かばせた指で喉をくすぐってくる。いつもと違う恐怖、恋の方の恐怖じゃない…純粋たる生存を渇望する恐怖!いつもでも捕食される恐怖だったけど!
「ほら、口開けてー」
「んんんっ!んあっ…ぬぅあ~…えぅっ!」
座らされてる私の膝にのしかかったままキルは左手で私の口内を弄ってくる。口を犯されるのは割と今までのあれこれでか好きになってるんだけど、この後の事を考えると愉しんでられない。口の中弄られてる女の子ってえっちだよね。されたいわけでは───今されたいわけじゃないけど。
せめてもの抵抗とキっとジト目で睨むけど、お構いなく、むしろ瞳の中にハートが浮かんでいるように見える程勢いを増している。こわい。
「ぷはっ!はぁっ、はぁ…口ん中、弄られるの、普通に、疲れる…」
「抵抗を弱めるためにもしてるからね。ほら、そんなに嫌ならせめて口移ししてあげるから。んっ」
口に天敵を加えて、片目を瞑った姿勢で近寄ってくる嫁。加えている者がただのクッキーとかだったら、私はその姿か天使にでも見えただろう。でも違う。今見える姿は…悪魔だ。…いや小悪魔なのか?私にとっては拷問を受けるに等しいことだけど、ここで執行者がキルだとすればそれは脳内補正入りまくってギリギリ小悪魔に見ることができるのでは───
「ん」
「むぐ。───っっっっっ!?!?!?」
ごめんやっぱ悪魔だわ。
口に広がる、かつての苦い記憶。もちろん回想的なものだけじゃなく、リアルな味覚としてもくる。苦くて酸っぱくて今表現しようと思い出して吐きかけました。つまりそのぐらいやばい。
「んーーー」
「ひっぬぅぇっ…!るぅおぁっ!ぇお…」
果肉を潰し果汁をまき散らす物質を、更に下で押し込んでくるキル。愉悦を浮かべる瞳に、涙目を超え涙を流しガクガク震える私が映っていた。
「んっ。…ふぅ、ちゃんと飲み込んでね?」
「あぅ…えぅ…ぅ…」
おえってしたいけど、優しく口を押さえてくる優しくない嫁のせいでできない。なすすべがなく、私とキルの唾液が混ざり薄くなってもなお凶悪なソレを嚥下していく。
にがい…まずい…はきたい…はけない…。
流した涙が頬を伝い、口端から垂れた唾液と一緒になってのしかかるキルの膝に落ちる。キルはそれを気にすることもなく、嗜虐心が満たされたようなイイ笑顔で私を見下ろしていた。
その後。
あまりの仕打ちに怒った私だが(大きいもの要求するとわからせられる必要があるので)、全人類に分け与えてもなお溢れる優しさで添い寝だけのお詫びを要求、キルがそれを飲み、寝起き一時間もせず嫁の抱き枕付きで二度寝としゃれこんだ。
「私でも怒る時は怒る…今回の事はキルと一週間口を利かなくなってもおかしくない仕打ちだったよ?」
「こんなに甘えた姿で言われてもね」
ごろにゃーん。頭をキルの胸にこすりつけながら文句を言ってるとそういわれてしまった。だっていつもこうやって甘えてるとそのまま夜が始まるもの。普通に甘えれる状況は割と貴重。安心して甘えれる時に甘えていけ。
「はぁ~~~…。削れたSAN値が蘇ってくる…。何で女の子っていい匂いするんだろー」
「レイも女の子なんだけどねぇ」
胸に顔をうずめて吸うと、甘く心地よい薬のような中毒性がある匂いがする。キルにはこのままご主人様にお腹を押し付け吸われる猫の気分を味わってもらおう。
お?そうそう追加で頭を撫でると私のご機嫌がより回復ちょっとまてその服を掴む左手はなんだやめなさい私今おこてるやめれストップ!
「あ~~~~~やばい暇…」
やること思いつかなーい。濃くなかった日なんて数える程少ない異世界での日常だけど、何もやること思いつかなかった日は普通にのんびりだらだらしてて暇に殺されそうになってる日もできる。そうなんだよ。やることが思いつかないんだよ。やること思いつかな過ぎてシナリオ書いてシナリオやってる程思いつかないんだよねー。なーにしよっかなー…。
………迷ったら歴史を辿る!過去にこれしたーいとか言ってるでしょ多分。
えーとえーと…ラキ…最近あってないなぁ、じゃあこの娘でいいや。
よし、女子会しよう。
「レイさん…当日急に呼ばれても困るって事知りませんか?」
「呼ばれたことないからわかんない」
「あっ」
「その顔を止めろ」
急に呼び出した事への当てつけなのか、わざとらしいまでにリアクションを取るラキをジト目で睨む。ラキラキ言ってるからフルネーム忘れちゃったー。
貴族のお嬢様のような青いドレスを着てラキを招いた場所は写真館。私とキルの思い出のシーンが第三者視点で(勝手に)撮影された姿を飾っている場所である。
いや私もね?流石にこんな場所をね?ナルシストとか思われそうだしね?どうかと思ったんだよね?けどランダム部屋君がここがいいって言うから…私はランダム部屋君には弱いのだ。倍率250%ぐらいある。
「こうも写真に囲まれると、常に見られてるようで精神不安定になりそうです…」
「まぁレイちゃん美少女だから、見られてても美少女から見られてるわけだし私美少女だし、美少女に見られてるなら問題ないでしょ私美少女」
「隙あらば美少女自慢しますね。あのピンクの幕の奥にもパネルらしきものがちらっと見えるんですよね」
「流石にあの奥見られるのは私でも恥ずかしい」
この写真館の奥に、明らかに異質な空間あるんだよね。ちらっと覗く垂れ幕の奥には肌色の何かが見える。やばい(やばい)。
私も人の醜態なんて見たくないですよ、と嫌そうな顔をするラキになんだとと返しながら、念じたら出てきたイスに座る。同時に出てきたテーブルには紅茶(私のは冷えたの)やクッキー、ケーキなどが乗ってあり、お茶会の準備はバッチリ。流石ランダム部屋君!
「女子会しようとしてアレだけど、特に話す事ない…」
「主催者さん?私帰っていいですか?」
「それはダメです」
いいじゃんノープランでも。ほら美味しい紅茶と茶菓子類あるんだからそれ食べながらゆっくりしよ?おっこのチョコチップクッキーうまいな。よこせ。
「はぁ…レイさん、趣味の一つでもないんですか?毎日習慣としてすることが一つでもあれば、それなりに生活変わりますよ?」
「ないね!その日その日思いつくがままに行動してるしー今の状況も思いつくがままにした結果だしー」
「その行動力で人に迷惑かけないでください」
そんな事言われても。これで他人に配慮する行動しちゃったらそれ私と言えないし。私は私であるが故に自由にするのだ。
「まーまー。ほら今は楽しい女子会だよ女子会!恋バナしよ恋バナ。ラキちゃんって好きな人いるのー?」
「嫌いな人しかいませんね」
「うっわ寂しい人生送ってるなー」
「キレそうです」
ラキも恋しよ?好きな人がいるって人生一気に素敵になるよ?ほらこうやって恋愛マウントしてると気持ちよくなれるし。
しかしこれ以上この話題続けたらぶん殴られそうな雰囲気あるな。殴られる前に話題変えよう。んーでもやっぱり特に話す事…えーっと、「話題 異世界 女の子」はい検索。あダメだわ。ちゃんと自分で考えよう。んーんーんー…そうだっ!
「そうそう、前から気になってはなかったんだけど、ラキって天使って言ってたよね。どういう種族なの?悪魔とかの違いは?」
今のところ私はファブナーリンドでちらっと見た以外は、そこまで他種族というものを見たことがない。異世界人のたまり場の中にはいたりするのかもしれないしカンガルーの分類がどうなのか知らないしそもそもキルが人間かは知らないけど。私の周り詳細不明なの多いな!?今度嫁としっかり情報交換しよ。
「天使という種族は…正直悪魔とそう変わりません。どちらも生物の想いに反応して生まれた種族ですから。その想いが清ければ天使となりますし、穢れていれば悪魔になります」
「…守護霊と悪霊?」
「言ってる意味はわかりませんけど多分違うと思いますね」
そんな事言われてもレイちゃんIQ50だからむずかしいことわかんない。
「想いで生まれますけど、まぁ正確には生物じゃありませんしね。何もしなくても生きていける分、こうやってダラダラしてる個体も多いです。そう、種族柄って奴ですね」
「性格でしょラキのは」
この娘私が見かける時だいたい寝っ転がってダラダラしてるもん。睡眠は飽きることない安定した娯楽とは言え、私もあんなにダラダラできるとは思えない。大丈夫?天使堕落してない?
「ですから天使も悪魔も殆ど一緒ですよ。よく言うじゃないですか。天使は使命を、悪魔は試練を与えると。言い方違うだけで中身は一緒ですよ」
ふーむ、まぁ確かに?
「…ところでさ、こんな風に真面目にお勉強してるの違和感しかないからぶった切って普通のお話しない?ほら最近したこととか好きな食べ物とか」
「あなたが始めたことですよねぇ!?」




