なんかこう…閑話?
友達にこの小説を見せたところ、これは小説じゃないと言われました。
私もそう思う。
「違う違う。いいか?人間は死ぬ瞬間その時こそが一番輝いていて美しいんだ。今まで燃えてきた魂、それが燃え尽きるとき、一つの素晴らしい人生が終わりに向かう時、生が、新たなる生を歩まんとする時…。その「儚さ」こそが死っていうもんなんだ。最後の時なんだぞ?もっと強い感情が出てもいいはずだ。深く暗い絶望であろうと、満たされ安らぎの安心だろうと、無気力で何も考えれない諦念だろうと、後悔なく生を満足した充実であろうと、死のその瞬間には強い感情が吹き荒れる。それを身体全身を使って表現するんだ!四肢を伸ばせ!表情を歪めろ!そうっ!もっと手を空に!渇望するように!諦めきれない表情で!怨嗟の声を漏らせっ!」
「グレ…ネード…!」
キルさんに失礼があってはアレだからと、急に男二人が死に方を練習し始めた。
なんでこいつら命乞いの練習の前に死に方の練習してるんだろう。もっと他にやることあると思うんですけど。
なんやかんやあってちゃんとキルのお屋敷前に着きました。ふぇーあんま外からお屋敷見る機会無かったけどこんなんだったんだ。青色のでっかい人食い鬼とか出そうだな。
なお宇宙服はあの後無事合流できました。薄々そんな気はしてた。彼ギャグ世界に生きてるからね。これが住む世界が違うって奴ですか。
遂には演技への情熱が高ぶり過ぎてお腹に穴開け始めたんだけどこれタグにグロ描写入れたほうがいいんですかね。最後のシーンで爆死しても次のお話で不通に生き返ってくるギャグ漫画みたいなアレなんだけど。
そんな私がどうでもよさそうで世界の命運をわけそうな事を考えていると、お屋敷の扉が音を立てて開けられる。見てみると案の定キルが出てくるところだった。特に争いそうな雰囲気ではない。君たちの死に方練習無駄になったねぇ(煽)。いや無駄になったほうがいいんだけどね?
「キル…私男の人の友達お家に招くの初めてだよぉ~どうしよう…」
「唐突だけど僕はレイは泣き顔が一番可愛いと思ってるよ」
「紹介するね、頭おかしいパーティーメンバー達だよ。今チンパンジーと一緒にクエストを受けても問題ないかって実験をしているんだ」
カンガルーちゃんが「!?」って顔をしているけど背に腹は変えれない。許せ。
ままっともあれこうして無事にお屋敷には着いたんだしはじめてのくえすとはクリアって事で…あれ?
「…もしかしてこれ、調査ってことは内部まで見て回らなきゃならないの?」
「あ~…キルさんのお屋敷って事は判明したんだし大丈夫だろ。ウチのギルマスが何とかしてくれるさ」
「グレネード」
「責任は上に押し付けるものですしね。誰だって虎の尾は踏みたくないものです」
「はい」
全員キルが恐ろしいのか距離を取って近づくのも嫌な雰囲気を醸し出していた。
というわけでクエストは達成らしい。お疲れ様でした。
宇宙服、グレネード、カンガルーと別れて帰宅(所要時間2秒)。服がベンチコート一枚になりつつも、一般リビングのような部屋でソファーに寝転ぶ。やっぱり自宅が一番ですね。
ぐでーっとソファーに溶けていると、キルがそばに来たので頭を腹筋の要領であげる。すると頭の位置にキルが座るので腹筋解除で膝枕されるって寸法ですよ。
キルーベンチコート一枚は酷くない?お腹冷えちゃうんだけど…正露丸(甘いのでコーティングされた子供用)を出して欲しいってワケじゃなくてね?
「今日はどうだった?楽しく過ごせたかい?」
「新しい人との出会いはいつだって人生を豊かにしてくれるね!顔見知りから顔馴染みにはなれたかな」
顔馴染みの三名の内二名は顔見えないし残り一名は人間の顔じゃないけど。
「僕と会えなくて手とか震えたり精神に異常をきたしたりは?」
「キルは私を裏切らないという不変の信頼の元、そういうことはありません」
ちょっと待ってて言われて100年待たされても信じ続けるよ。疑わないし不安にもならない。信頼ってそういうもんだし、私はそうキルを信頼して依存してる。メロリンティウスじゃないし我が信頼は絶対なのだ。
「新しく同性の友達もできたし、収穫はあったよ」
「そっか。それはよかった」
同性、かっこ同種族とは言ってないかっことじ。まぁ女の子同士だからね。心が通じ合ってるんですよ。指折りで異世界フレンドを数える。えーっと猫巫女熊ちゃんラキカンガルーで四人か。今度集めてパーティーでもするかー。
…?女の子…女の子…女の子の日…?
私、こっち飛んできてから来たか…?
記憶にないんだけど…。
ぴしり、と私の体が固まり、記憶を漁ろうと視線が虚空へと向く。キルが何かを察したのか、横になる私を持ち上げて膝の上に乗せ、拘束するように後ろから抱きしめ、私の肩に顔に顎を置く。ちらりと視界端に映るキルの顔は微笑まれている。
えーっと…この前一か月記念で、それから半月は立って…?
…えへへ。
「ちなみになんだけどキル。生活魔法的なヤツで無くしてたり?」
「…ふふっ」
「凄くいい笑みしてらっしゃる!?」
「キルがやることなら大丈夫。キルが私が嫌がることをするはずがない。キルがすることは全て私のため…よし立ち直った」
何も答えてくれないキルに若干不安になりましたが、自己暗示をすればほら元通り。私が信じるキルを信じろ。
そうだよキルが私に不利益になることなんかしないしない。今までしたことあるー?ないねー?じゃあそういうことだって。知らんけど。
猫扱いなのか喉をくすぐってくるキルを見てみろ私。ほらこんな可愛い娘なんだぞ。しかもこの娘私のこと愛してるんだぜ?そんな娘を信じれないとか恥を知れ!この娘の瞳を見てみろ。純粋無垢なひとお腹空いてきた。
「キル、お腹空いてきたしご飯食べよ?今日は合鴨とユリ根とグリーンカレーがいい」
「そういえばお昼時だったね。ラインナップはいつも通りよくわからないけどすぐ用意しよう」
ふんっと身を起こし、キルに並ぶように座りなおせば即転移発動、今回はソファーごと転移。目の前にはさっき言った通りの食事が用意されていて、キルの目の前にはアメリカンサイズなハンバーガーがあった。たぶん女の子一人で食べれる量じゃないと思うんですけど。
ナイフとフォークを使い、お上品に食べはじめたキルを隣に私も食べつつ話しかける。私はご飯中に喋ることを忌避しない人類。
「んー、クエストって言ったら、一日とか時間かけたり、泊りがけとかするもんだと思ってたけど、想像以上にあっさり終わっちゃったなぁ。クエスト内容が自宅だったのもあるけど…」
「少なくとも、泊りがけになる内容だったら、僕が許さなかったけどね」
「だろうね」
というか何でまだお昼なんだろう。朝の内にメンバー収集したり夢見たり一時間まったりバスツアーしたりしてたはずなんだけどなぁ。時間軸壊れる。
「午後の時間何しよ…キルは何か予定ある?仕事とか」
「いやないね。何かするなら付き合うよ」
「ふむ」
お仕事でお疲れだろうに、家族サービス精神凄いわね。この家庭はきっと上手くいくわ。
やりたいこと…やりたいことかぁ…こっち来てから自由に毎日したいことしてきたけど、それは一人でという事が多い。
呼べば本当にお仕事してるのってレベルで即飛びしてくるキルだけど、それは呼ばなかったら一緒に行動していないということを意味する。相手が迷惑かなって心配に思っちゃうレイちゃんには、大したことない用でキルを呼び出すことなんてできないのだ。
私のことなら全部大したことだよってキルは言うだろうけど、そうであるがゆえに尚更躊躇しちゃうぜ。
じゃあ何をするか。迷ったら過去をヒントに選びましょう。歴史はそのためにあるのだ。
………………。(過去を振り返り中)
よし。
そうだギャンブルしよう。
「ギャンブルといえばバニーガールだけど、それはこの前やった気がするので面白くない、それ以外の衣装を募集します!さぁキル!君の性癖の服を言うがよい!」
「何も希望はないから服着なくていいよ」
「バニーガールでいいです」
賭け事、小さいころに憧れたことないですか?儲けたいとかそんなんじゃなく、純粋にスロットが心躍る音を鳴らしつつ周り、歓声が沸く真ん中でルーレットが光を反射しつつ周り、小気味いいシャッフルがリズムを奏でる。煌びやかに照らされ一夜の夢と輝くそれはカジノ!
破産はしたくないけどやってみたい、そんな感じ。キルとなら何かペナが課されるかもしれないけど破産はないので安心してベットできるね、やったね。夢のアールオアナッシングだ!
「じゃあ僕はディーラー側をやるから、好きなゲームを選んでね。初期コインは100枚。…そうだね、二倍の200枚になったら、僕がレイの望むコスプレ服を一日してあげよう」
マジですか!キルにもミニスカ着物とか旧スク片足白ニーソうさ耳付きとか拘束衣とか着てもらえるの!?
………いい!
「レイのコインがなくなったら、服をコインと交換可とするよ。各50枚の価値としようかな。最後の砦までは寒いだろうし脱がなくてもいいよ」
「同化してるこのうさ耳は?」
「うさ耳ヘアバンドとして換算しよう。僕は優しいからね」
「いたぶりの猶予期間と純粋な優しさは違うと思う」
ふむ、つまり私の今の恰好、うさ耳ヘアバンド(同化済み)、蝶ネクタイ、カフス、レオタードにニーソが私の資金となるんですね!…これパンプス(私のためを思われたヒールが高くないやつ)も服も入るのかな。日本人基準なら靴も性癖つまり服だし入るでしょ。合計六点の300枚が私の追加戦闘力になるわけか。っふ、余裕だな。
余裕ということは勝てそうな勝率イーブンなルーレットをせず、楽しそうなゲームしてもいいってことだよねつまり。
「よっしゃフルハウスとかロイヤルストレートフラッシュとか言う奴最初にしよー!名前なんだっけそうブラックジャック!」
「フルハウスとかの方はポーカーだね」
「…私は最初っからそう言ってたよ?」
「そういうことにしといてあげよう」
自分に自信を持つ方法とは自分の過ちを認めないこと。失敗したことないなら自信しか現れません。フォローしてくれる嫁がいるからいいのいいの。
Pokerと書かれた看板の下に行くと、背後にいたはずのキルがディーラー席にいてカードを開けているところだった。キルの服装も場所に合わせてか、カジノディーラーといった感じの、スーツっぽいあれになってる。調べても名前でなかったんで各自想像するか調べてください。
ここで女性用のドレスっぽいのを選ばず男性用のを選ぶ当たりキルっぽいなぁって思ったり。カッコいいから好きだけどね男性用も。いやいや、今日はそんないつも男前なキルに可愛い女の子の服装をさせるために来たんだ。気合いれろー!




