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ドキドキアドベンチャー

誤字報告をもらいましたありがとうございます。


いやー天然明るいキルちゃんと鬼畜クールレイは印象が全く逆だから間違えちゃだめだと常々思ってたんだけどね。二度と間違えません。多分。


ちなみにこの更新速度は間違えた戒めで頑張っただけなので、更新遅くても「こいつサボってんな」とか思っちゃいけません。

そこはとなしにえっちな匂いが立ち込める、むっとした温度に薄暗いお部屋。

そんなお部屋でベットに寝転ぶ全裸の女と、椅子に腰かける同じく全裸の女。

何も知らない第三者が見たならば「事後だ」とかいいそうな光景だ。


実際あってる。


ふへへ…耐えきったぜ…今日は気絶しなかったぞぉ…私も成長してるんだ…。


汗ばんだ体でもう力が入らないとばかりにベットに四肢を投げ出す私に対し、キルは余裕飄々といった様子で静かに水を飲んでいる。

そんなキルに勝手に視線が吸われていくはキルの指。最近はキルの指を見るだけでお腹が疼くようになってきました。これがパブロフのレイですか…。その内名前呼ばれるだけで発情しそう。こわ。


「結局キルから嫉妬の感情を見ることはできなかったというのに、なんで私はこんな目にあってるんだろう…」

「気持ち良い目にあう事は「こんな」なのかい?」

「何事も限度って言うものがあるんですよ」


薬もキメ過ぎると毒になるっていうじゃないですか。こっちにも似たような格言ない?


「そもそも快感は堕落じゃないの?大罪に数えられてなかった?何かのご褒美で快感が与えられるならまだわかるけど、何も働いてない現状、ほんと堕落してるだけだと常々思います。私でさえ」

「僕は別に働いて欲しいとは思わないけどね。養うのも主人としての甲斐だろう?」

「私はへんな所で真面目で常識的なので、家事すらも結局してない今に心が苦しくなります」


若干回復してきた体力で、キルの方へとベットから上半身を投げ出すように移動する。この体勢お腹苦しい…。


「かと言ってレイに回す仕事がないのも事実だからね。ギルドに行って魔物退治でもしてくればどうかな。僕にとってはどうでもいいことだけど、その地域の人達にとっては助かる地域貢献な仕事だよ」

「おー…キル関連じゃないのはちょっと残念だけど、ラキに成り下がるよりかはマシか…」

「少なくともヒモからフリーターにはなるね」

「全身全霊で取り組まさせて頂きます!」


そうか…私の今ヒモだったのか…。

熊ちゃん、私ちゃんとペットじゃなくて、人間として見てもらえてたよ。ヒモとペットだったらまだペットの方がマシな気がするけど。


「さて、と」

「うぇっ」


冒険者となり、魑魅魍魎を三国志無双する妄想を繰り広げ始めた私を、椅子から立ったキルが抱えてベットに寝かし直す。


「休憩は終わりだよ。冒険者になるなら、体力もいるしね?」

「33-4…」


私の顔を挟むように手を置き視線をあわせ、股を開かせるように膝をねじ込み、顔を近づけてくるキルはやっぱり楽しそうな笑顔をしていた。


もう今日は終わりな雰囲気だったじゃん!平和なピロートークだったじゃん!(涙声)




フラつく体をKIAIの力で動かし、インベントリに仕舞ってたギルドカードを取り出し転移ボタンをぽちっとな。

一瞬体がふわっとする感覚がして、景色が即座に切り替わりそこは地球ギルドのテーブルの上。

お立ち台ですね。とりあえずかっこいいポーズしとこ。シャキーン(`・ω・´)。


「机に転移しちゃいけないって、お父さんちゃんと言ったでしょ」

「教えてもらった記憶も育ててもらった記憶もないね!」

「お前は橋の下に捨てたんだ」

「まさかの捨てた側!?」


近くのジクソーパズルをしてた宇宙服男と茶番をしながらお立ち台を降り、熊ちゃんを探す。ちなみに私はジクソーパズルって言ってるけど正しくはジ「グ」ソーらしい。どっちでもいいじゃんそんなの…。


相変わらずごちゃごちゃした格好が多くて見つけずらいし目にも悪いし時たまどこからか「グレネード!」って聞こえる空間だけど、探し人はちゃんと見つかった。


「やっほー熊ちゃん!冒険に行こうぜ」


こちらに背を向け本を読んでいる熊ちゃんに声を掛けるも沈黙。………いやさてはこれ寝てるな?


うーん流石に寝ているところを起こすのは悪い。睡眠は全生物に平等に与えられた安らぎの時間なのだ。邪魔することは許されない。


とはいえこっちも睡眠不足なのに目の前でこうもすやすやされるとムカつくので、本のカバーを性癖がヤバい奴に魔法ですり替えておく。起きたとき今までと違って距離を取られる人間関係に悩むが良い。


では次の犠牲者は~。辺りを見渡し目に付く人はいないかなっと、そうだごめんここ目に付く奴しかいなかったわ。もうさっきの奴でいいや。


ジクソーパズルが完成してないのにロボットダンスをし始めていた宇宙服男に近づき声をかける。ちなみに顔はバイザー(顔部分のガラスみたいなの)が蒼黒く色づいているせいで見えない。


「へーいお父さーん。うちのパーティーに入らなーい?将来性だけはあるよ!」

「なんだてめぇ、俺を誘ってんのかぁ?っは!まぁ暴れられるなら何でもいい!血がっ!闘争がっ!俺を呼んでいるんだよおぉぉぉおっ!」

「暴漢みたいな受け答えを止めなさい」


なんだこいつ。キャラブレブレじゃないか。というか周囲の人達も何の反応も返さないな。やっぱりこういう頭おかしいのが日常化してるんじゃないかなんだこいつら。


ねくすーと。さっきからグレネードグレネード叫んで自己主張してるグレネード君にしよう。描写面倒になったからしてなかったけど、10秒に一回は叫んでるからね。

話通じるかわかんないし人間性大丈夫かわかんないし戦闘技能にも不安が残るけど、それを考えなければ問題ないからね。それにその不安は宇宙服男にも言えるしなんなら私にもブーメランが刺さる。


「グレネード!」

「やぁグレネード君!君も仲間にならないかい?今なら未知なる冒険と無知なる暴漢付いてくる!」

「OK,Let's go」

「うわ急にイイ声で流暢に喋るな」


グレネード以外の言葉喋れたの君。まいいや言葉のバリエーションが増えることに異存はないこれで三人目。ギルドカード曰く「パーティーは四人まで」らしいので、次で最後ですわね。


ちなみに多分レギュラーにはならないであろうグレネード君は、迷彩服で各関節に…リフレクターだっけ?まぁなんか守るやつそうプロテクター!を付けて、上半身は防弾チョッキ、頭にはヘルメット。背中に無線機で腰に大振りナイフっぽいの。顔は覆面で見えないんだけど、何故か覆面の上からサングラスをしている。

ザ、軍人って恰好だね。中身はグレネード以外無さそうだけど。


というか今更だけど君たちどっからそんなコスプレ服仕入れてくるの。宇宙服のバイザーとかこの世界じゃ作れないでしょ。


ま突っ込んでもしょうがないか。


さてラストはっと…。


と、私が最後の人選をしようと天井の隅にハンモックかけて寝てる人と、映画館の上映前CMに出てくる映画泥棒の恰好で宙に浮いて座禅してる人、どっちに話しかけようかと考えていた時、お立ち台に新たな人影が現れる。


いや、現れたのは人影じゃなかった。

それは確かに二足歩行だけども、骨格が明らかに人間ではない。まずぴょこんとした耳が頭上にあり、太く長い尻尾が地面スレスレに保持されている臀部に付いてお立ち台に乗っかっている。そして頭は小さく、体型は臀部に向かうにつれて大きくなっていく。

そう、まるでカンガルーのようなシルエット───いやカンガルーだこれ。えっカンガルー何で?


混乱する私を置いて、サングラスをかけポージングしていたカンガルーがぴょんとお立ち台から飛び降り、地面に着地。目があう。


「…パーティー入ってくれない?」

「あ、いいですよ」


というわけで四人パーティーができた。


四人パーティー、メンバーは美少女奴隷、暴漢宇宙服、グレネード症候群、グラサンカンガルー。職業構成は未定、不明、不明、不明。


うーん最高なパーティーだな!


ではパーティー結成を祝してリーダーから挨拶でも。


ドラ〇エ方式で付いてきてたメンバーに移動してもらって、円を描くように固まる。


ごほんっ。


「皆!私たちは今日組まれたパーティーだ。だけど絆は?絆は他のどのパーティーよりも深いんだよ!私たちは同じ故郷の同胞なんだから!大日本帝国を心に!日章旗を掲げよ!友を信じ、背中を預けよ!一人は皆のために!皆は一人のために!パーティーは家族!パーティーは兄弟!いいねっ!?」

「嘘を言うな」

「グレネード!」

「カンガルーのために死ね」


ノリがいいとはいえ大丈夫なのかなこのパーティー。先行不安だ。


「さて、パーティー結成のご挨拶が終わった事ですし、何のクエ受けるか決めまーす」


そういやクエスト何受けるか決めてませんでした。こいつらも何するか知らされないでパーティー入ったのか豪胆だな。


先行不安だ。

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