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ゆき お ろしん

屋敷の庭。多分庭。その一角に私たち二人の姿があった。真っ白で膝まで埋まる程積もった雪の上で歩くのはしんどいが、それもまたいい。


「いぇーい!一度カマクラ作ってみたかったんだー!」

「僕は…城でも作ってみるかな。たまにはこういうのも良いだろう」


やっぱり冬と言えば雪遊びだよねー。この世界夏になったり冬になったりで忙しいな。いやでも天候変える魔法あったりするらしいし今更かー。

もっこもこのコートに包まれてる私に踏みしめられる初雪は、自然に降る分じゃ足りないからとキルが追加で降らせた分が多い。何か手を天に向けてぐるぐるして降らしてた。杖いらないじゃん。


しばらくふっかふかな雪にダイブして埋まったり、首筋に雪の欠片入れられたり、足が予想以上に埋まるのを楽しんだりで時間を過ごす。霜焼けとかにはならないようにしてもらったけど、雪の冷たさは感じれるようにしてもらってる。冷たくないと雪じゃないし。

一通り雪が降らない県で育った鬱憤を晴らした後、当初の目的通りカマクラを作り始める。そんな本格的な、ブロックを切り出して~って奴じゃなくて、雪を積み上げ固め、って方式で作る、不格好な奴。魔法で作った方が早いよ的なサムシングを悪魔なレイちゃんが囁いてきたけど、ロマンなレイちゃんによる侵食を受けた私にはそんな誘惑は効かないのだ。ロマンは全てに勝る。


30分後。5mぐらいの精密なフランスのお城みたいなのを作っているキルを尻目に、土が混ざらず綺麗で不格好なカマクラが出来た。うんうん。これでこそ子供が作るカマクラだよねー。中は入れるけど、崩れないように雪を厚くしたので狭く、キルと肩並べてくっつけば二人入るかなーって感じ。もちろん狙った。


さて、作ったからには中できりたんぽ食べないと。そういう使命感が私にはある。


使ってたスコップを雪に突き刺し、キルの方に駆け寄る。

キルはお城の装飾をしている最中で、塔の窓を作っていた。集中している横顔は怜悧でかっこいいけど、いつものフードと違う黒いニット帽には、雪がちょこんと乗っていて可愛らしい。


「キルー。こっちは出来たから一緒に入っておやつ(?)食べよー!」

「…ん。こっちも大方の装飾は終わったし、行こっか」


んー。どう考えても30分で完成するような作品じゃないんだよなー。もー私の嫁ったらあらゆる分野において最強なんだからー。


長時間雪に触れ冷たくなったキルの手を握り、カマクラへと誘導し中に入る。一応座れる段差も作ってあるのだ。


「えーっとね、ガスコンロと、きりたんぽって食材だしてー」

「了解」


入り口にガス(?)コンロで温められるきりたんぽが出現した。

きりたんぽって話に聞くだけで、実際どんなのか全然知らなかったけど、へーこんなのなんだねー。白いちくわみたいな…かまぼこみたいな…。


きりたんぽが温まるまでは雑談タイム。


「作ってたお城ってさーこの世界に実際ある奴?それとも私の記憶から?」

「実際に存在する城だよ。帝国トルガニスにおける王城さ」

「ふぉーん。いいねぇ行ってみたい見てみたいなぁチラッチラッ?」

「んー、まぁもうそろそろ新婚旅行でも行こうかなって思ってたし、丁度いいか。トルガニスは新婚旅行には向かないから、行くなら前に話したフォブナーリンドかな。近いうちに向かおうか」

「…まさか許可されるとは思ってなかった。いやでも新婚旅行かー。いいねいいね、私見るもの全てが新鮮だからね!」

「そうだねぇ。フォブナーリンドはレイが思う王道のファンタジーって感じで、隣国のミレーシャも中々にいいところだとは思うよ。スクランブルも面白いしね。種族毎で作られた国や街、村も、個性的で楽しいかな」

「わはっ一杯あるじゃん観光しがいありそう!転移もあって移動時間もないだろうし素敵な新婚旅行になりそうですわね!」

「レイが楽しんでくれるなら何よりだよ」


ファンタジー観光とか、モンスターとか、生活風景とか、私楽しみですよ!

あっきりたんぽは美味しかったです。




「そうだ鍛治しよう」(逃れられぬ業)


じゃあ明日いくからその心づもりで、とキルがカマクラとお城に永久保存魔法掛けてどっかに行ったので、暇な時間で何をしやっぱ生産しかねぇわ。無駄にする時間はないの。


鍛冶ならレイちゃんでも出来るでしょう多分。こう、…魔法で創造する感じでやればいいんじゃろ?(鍛冶モノを余り知らない)


実際やってみた。


日本刀ができた。


「…いやまぁ今回はある程度納得できるけど…刀ってたしかカンカンするだけじゃできないはずでは?全知なレイちゃんは知ってますよ」


しかも鞘とか装飾とかまで付いてるし。こんなのカンカンした記憶ないよ。名前は、えーと…一文字?何それ、レイ知らないよ。


んーまいっか。切ってみよう。


そこらへんの岩にカキンパキン。


「…日本刀は本来、叩き切る西洋剣とは違い流し切る事に特化した武具でして…」


想像以上に扱いにくいんだね刀って。こんなんじゃ「FBIopenup!!」な勢いにはついてけないよー。


「まずは何でこうなっちゃったからかなー。んー生粋の日本人である私の、内なるサムライソウルが刀を作ってしまったとかかなー」


でも余計な思考一切してないはずなんだよねー。深層心理汲み取って刀作ってるなら精神一到しなきゃならいし鍛冶難易度高すぎない?ってなるんだけど…。

いや、そうだな。むしろ漠然と武器作ろうとしたのが悪いのかもしれない。次はちゃんと武器種を想って指示しよう。

想うは…やっぱり剣。技なんていらずただただひたすらステータスでどうにかする感じでゴリ押しできる頭悪いの欲しい。


剣っぽいのできた。


「はーレイちゃんの才能が溢れすぎて辛いわー。コミケの人数ぐらい溢れすぎて辛いわー」


で、性能は?


「…草薙の剣?」


お前はヤマタノオロチ倒さなきゃダメなやつでは?

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