10話 『奈落』ダンジョン、約2年目
今日は9話を昼12時、10話を17時にアップしました。前話未読の方はそちらから読んで頂ければ幸いです(本話は10話)。
エリーの極限級魔術、『悪夢召喚』の力によって僕は順調にレベルを上げていった。
レベル9000台のモンスターや悪魔などを、メイ、アオユキ、ナズナと協力して倒していく。
お陰で無事に僕もレベル9999へと至った。
さらに朗報がエリーから伝えられる。
「ついに『奈落』の転移阻害を解除! コントロールすることに成功しましたわ!」
「さすがエリー! 本当に凄いよ!」
「おめでとうございます、エリー」
『奈落』ダンジョンの執務室。
僕とメイが事務仕事をしていると、エリーが笑顔で報告してくる。
――『奈落』ダンジョンに落とされて、約2年が経過する。
エリーが転移阻害の解除、コントロールの研究を始めて約1年、ようやく『禁忌の魔女』エリーは『奈落』ダンジョンコアの全てを掌握した。
彼女がダンジョンコア掌握をしている間、僕達も遊んでいた訳ではない。
僕自身はレベルを上げ、メイ達も『奈落』最下層を住みやすいように改造したり、恩恵『無限ガチャ』カードを整理、戦力を整え、今後地上での活動についての計画を立てていた。
他にもネムム、ゴールドなどレベル5000クラスの者達を集め、『奈落』ダンジョンの逆攻略を開始させていた。
逆侵攻――つまり、『奈落』最下層から地上へ向けてダンジョンを攻略してもらっていたのだが、正直、芳しくなかった。
モンスターのレベルは階層を上がる事に下がっていく。さらにエリーのお陰でモンスターの再発生、罠などが停止。一度倒したり、罠を破れば再び戻ることはない。
だが、単純に広くて階層を望む速度で更新できずにいた。
『種族の集い』時代、僕達が『奈落中層』と言っていた場所がまだまだ浅い部分だったとは……。
予想外である。
しかし、エリーが転移阻害の解除、コントロールを得たことで話は変わる。
「これで『SSR、転移』を使えば、僕が『種族の集い』メンバーに裏切られた場所まで転移できる。あそこからなら出口まで把握しているから地上へ出られるよ」
「ライト神様……」
エリーがしんみりとした表情で言葉を漏らす。
『種族の集い』メンバーに裏切られ云々――という部分で、悲しみと怒りを覚えたのだろう。
僕としては裏切られた過去を思い出し、怒りはともかく、今更悲しみを覚えることはない。裏切られた直後や数ヶ月は、夢に視て叫び、夜中に起きて側に居るメイに慰められることもあったが。
本当に今更の話だ。
そんな事より、転移が使えて地上へ出られる方が大事である。
「これでようやく地上での活動が出来るね」
「はい、これでようやく商人カード、人種カードなどで地上の情報収集をおこなうことができます」
メイの言葉に僕は頷く。
『種族の集い』メンバーへの復讐、そして『ますたー』とは、なぜ僕が殺されそうになったのかの真実を知るために、世界中の国家とやりあう可能性がある。
必ず復讐と真実を得るためには、まず『情報』が必要だ。
そのために地上へ出て、『無限ガチャ』カードから商人や冒険者として登録し活動する人種を召喚する予定だった。
地上での活動資金となるお金も、メイの主導で偽金を製造済みだ。
恩恵『無限ガチャ』で出た金銀の延べ棒を偽造専門の部下に任せて各国の金貨、銀貨を製造。偽造専門特化の上に貴金属も同量使用しているため、まったく見分けの付かない金貨、銀貨を作り出す事に成功した。
このお金を元手にそれぞれ活動してもらう予定である。
(『種族の集い』時代は『情報に価値がある』と知ってはいたけど正直実感がなかったな……。情報も大事だけど、当時はお金やご飯を確保する方に必死だったからな)
メイの諫言に従い勉強に時間を割いたお陰で、『情報の価値』というものをより深く理解できるようになった。
本当にあの時、彼女の進言を受けて勉強しておいてよかった。
故に情報収集は大切だと理解しているが……。
「我が儘を一つだけ言ってもいいかな?」
「我が儘ですか?」
突然のお願いにメイ、エリーがきょとんとした表情を作る。
僕はおずおずと声に出した。
「復讐や真実を探ることもおこなうけど……地上に出られるようになったら、一度田舎の様子を見ておきたいんだ。とうちゃん、かあちゃん、にぃちゃん、ユメ……家族が今どうしているのか……」
「ライト様……それは我が儘などではありません。人として当然の思いです。何よりライト様の願いは私の願いです」
「そうですわ! むしろ、お義父様、お義母様、お義兄様、義妹様と是非お会いしてご挨拶をしませんと!」
エリーの『お父様云々』のニュアンスが若干違和感を感じるが、指摘するより先に釘を刺す。
「とうちゃん達と顔を合わせるつもりはないよ。下手に顔を合わせて、復讐や真実を探すのを止められたら困るからね」
なので『SSR、存在隠蔽』で姿を見られることがなく村や家族の様子を窺うつもりだ。
この提案にメイ、エリー共々同意の声をあげた。
「ではなおさらお気になさらず。姿を見られず、様子だけ窺うだけなら何の問題もありません。念のため護衛として私をお側に付けて頂ければと」
「お父様方にご挨拶できないのは残念ですが、ライト神様の故郷を是非わたくしも見てみたいですわ!」
「ありがとう、2人とも。それじゃ一度地上に出て村の様子をうかがおうか」
こうして僕の田舎に顔を出すことが決定したのだった。
本作『【連載版】無限ガチャ』を読んで頂きまして誠にありがとうございます。
やったね、ライトくん! ついに地上に出て故郷に戻ることが出来るよ!
まぁ故郷に関しては1章冒頭状態なんですけどね……。
明日も頑張って2話をアップするので、是非チェックしてください!
また今日は9話を12時に、10話を17時にアップしております!(本話は8話です)
では最後に――【明鏡からのお願い】
『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。
感想もお待ちしております。
今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!




