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46話 人種絶対独立主義宣言

今日は45話を昼12時、46話を17時にアップしました。前話未読の方はそちらから読んで頂ければ幸いです(本話は46話)。

「ひぃ! い、いや、こ、来ないで!」

「あらあらあら、逃げては記憶が読めないですわよ? まったく悪い子ですわね。茨の束縛(ドルン・フェッセルン)


 エリーが魔術で創った鋼鉄色の茨が、即座にリーフ7世の体に絡みつく。

 女王は茨を振りほどこうとするが、戦略級(ストラテジー・クラス)茨の束縛(ドルン・フェッセルン)』を引きちぎるのは不可能だ。

 レベル9999のエリー達でさえ一時的に拘束できる束縛魔術である。

『白の騎士団』副団長のミカエルもこの魔術に拘束され暴れたが、抜け出すことは出来なかった。


 エリーがリーフ7世の頭を掴み、記憶を読み出す。


「や、止めて! 妾に何をするつも――うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「もう、ちょっと強引に記憶を読んでいるだけですのに、エルフ種はどうしてこうも堪え性がないのかしら……『サイレント』」

「――!」


 リーフ7世の悲鳴を耳にして五月蠅そうに眉根を寄せたエリーが『サイレント』を唱えて魔術で黙らせる。

 静かになったところで、早速、記憶調査を再開。

 前回、ミカエルの時は、ライトを散々こき下ろしたため記憶を読みつつ、苦痛を与えるやり方をした。

 そのせいで記憶を読み切った後はほぼ廃人同然になってしまったのだ。


 今回のリーフ7世はまだ役目があるため、廃人に追い込むようなマネはしない。

 それでも遠慮なく、記憶をガンガン漁っていった。

 庭の騒ぎに気付き、生き残ったエルフ種兵士達が集まるが、戦略級(ストラテジー・クラス)攻撃魔術『生け贄の木々(サクル・アルボル)』によって、『人面木』モンスター化した元仲間達によって足止めを受け近付くことさえできない。


「矢を放て! 魔術師は攻撃魔術を撃て! なんとしても女王陛下をお助けしろ!」

「だ、駄目です! 全て防がれてしまいます!」


 元々居た兵士、上層部を含めて200人以上居た全てのエルフ種が一瞬で魔術により倒され、さらに『人面木』モンスターが同程度の数出現しているのだ。

 数が多く、さらには剣、槍、矢などの物理攻撃、炎などの魔術攻撃にも耐性がある。

 さらに――。


『アアアアァァァァァアアァァァァァァァァアァッ』


 地獄の底から響く怨霊の雄叫びをあげて枝を槍のように高速で伸ばす。


「うぎゃぁあ!? え、枝が足にっ!? ぎゃあっぁぁっ!? 血を吸収して――」


 逃げ遅れ突き刺さった兵士から流れた血を吸収する。

 ある程度、吸収し尽くすと枝が自切し、その体をよりしろに新しい『人面木』を作り出す。

 エルフ種兵士達はその光景を目にして、悲鳴を上げて慌てて距離を取った。


 対物、対魔術に優れ、自動的に増殖もする。伊達に敵を足止めする戦略級(ストラテジー・クラス)攻撃魔術ではない――が、決して『人面木』も無敵ではない。


 生存時間は24時間で、その場から移動できないため迂回されれば意味が無かった。

 耐久性以上の攻撃を喰らえば折れるし、枝攻撃も刺さらなければ増殖もできない。


 とはいえ『人面木』を無事にクリアできても、エリーの背後にはレッドドラゴンが控えている。

 腕の一振りやブレス1発で、エルフ種兵士達など一掃できてしまう。

 単純にドラゴンが手を出さないのは、『人面木』が敵の足止めをしているからだ。


 エリーが苛立ちながら、視線を遠巻き騒ぐエルフ種兵士達に向ける。


「うるさいですわね……折角、この女の口を塞いでも回りが騒いだら意味がありませんわ。とりあえず周囲にも『サイレント』をかけて音を遮るべきですわね」


 決断した後、すぐに周囲の音を遮断するため『サイレント』をかける。

 ようやくの静寂を手に入れたエリーは再び、記憶調査に集中したのだった。




 1時間ほどで必要な情報を手に入れる。


「――なるほど確かにわたくしの『巨塔』にドラゴンが棲みついたと誤解して、あの野蛮人共を嗾けてきたようですわね。先程の女王の言葉と記憶は、矛盾も無いようですわ」


 実際は『ますたー』についての情報収集だが、素直に自分達の目的を明かす必要はない。

 記憶調査と『茨の束縛(ドルン・フェッセルン)』から解放されたリーフ7世は、ぐったりとその場に倒れた。

 倒れたリーフ7世に魔術で作った冷水をぶっかける。


 記憶調査の激痛で涙、鼻水、涎などの体液を全て吐き出し、魔術効果で気絶することもできなかった彼女は冷水を浴びても、驚きで叫ぶ気力すらなかった。

 リーフ7世は心底怯えた瞳だけで、見下ろすエリー……『巨塔の魔女』を見上げる。


『巨塔の魔女』を地面から倒れ見上げるが、顔を確認することは出来なかった。

 当然である。

 エリーが被っているフード付きマントは恩恵(ギフト)『無限ガチャ』から排出された『SSR、認識阻害フードマント』だ。

 このフードを被っている限り、覗き込まれても相手から顔を認識されることはない。


『巨塔の魔女』は一方的に、リーフ7世、生き残った兵士、首都のエルフ種達全員に告げた。


「わたくしは地下深くで魔術の研究をしていた人種(ヒューマン)ですわ。リーフ7世の記憶を読む限り、どうやらこの世界は人種(ヒューマン)にはとても厳しい世界のようですわね。同じ人種(ヒューマン)として非常に不愉快ですわ。なのでわたくし『人種(ヒューマン)絶対独立主義』を掲げさせて頂きますの」


 彼女は一度区切って、リーフ7世だけではなく庭で遠巻きにしている兵士達も一瞥してから続ける。


「今後、この国で人種(ヒューマン)の奴隷は認めませんわ。現在、所有している人種(ヒューマン)もわたくしが責任を持って引き取らせて頂きます。もし人種(ヒューマン)解放に逆らったり邪魔するエルフ種が居れば、老若男女問わずぶち殺してドラゴンのエサにしてやりますわ。わたくしの手の者を派遣するので、すぐに引き渡すよう準備しておいてくださいね?」


 エリーは『SSR、認識阻害フードマント』の力で第三者が見ることは出来ないが、地上の男性なら誰しもが一目惚れするほどの笑顔で断言する。


 こうして一方的な宣言が首都全域に広がった。


『巨塔の魔女』の宣言に逆らえる者は誰1人いない。


本作『【連載版】無限ガチャ』を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


明日も頑張って2話をアップするので、是非チェックしてください!

また今日は45話を12時に、46話を17時にアップしております!(本話は46話です)


では最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想もお待ちしております。


今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
制圧完了!
>>もし人種解放に逆らったり邪魔するエルフ種が居れば、 稀有なエルフ種が居て、人種を妻に迎えて大事にしているとか家族同然の扱いをしている場合はどうするんだ?いないって事はないだろう。人種の中で生活をす…
エリーさん、強引矢の如し(光陰矢の如し)な占領と解決ですね。 明鏡シスイさま、どうぞお身体ご自愛ください。 健康あっての作品ですので、末永く作品を創り上げで頂きたいです(^^)
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