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22話 白の騎士団出撃決定

今日は21話を昼12時、22話を17時にアップしました。前話未読の方はそちらから読んで頂ければ幸いです(本話は22話)。

 エルフ女王国宮殿会議室。

『謎の巨塔』に関する重要情報が集まったため、急遽会議が開かれたのだ。


「『謎の巨塔』にレッドドラゴンが住み着いているじゃと!」


 上座に座るリーフ7世が、資料&報告を聞いて悲鳴のような声音をあげる。

 彼女同様に会議室がざわついた。


 女王リーフ7世から見て左にいる宰相が深刻そうな顔をしつつも胸中の喜びを隠し切れず、右にいる『白の騎士団』団長ハーディーが目を閉じ黙り込む。

 他官僚や騎士団団長達は『巨塔にドラゴン』の報告を聞いて、隣同士座る者達と意見を交換する。


 ざわつきが落ち着いた所で、宰相が切り出す。


「まさか巨塔にドラゴンが棲みついているとは……。首都から『謎の巨塔』まで地上を行くならそれなりの距離があります。ですが、ドラゴンの翼で空を駆けられたらその程度の距離などあっという間! 南と繋がる街道や我々が住む首都までいつ飛来し、焼き払われるか分かったものではありませんぞ!」

「そうであろうな……」

「…………」


 女王リーフ7世は苦々しく、ハーディーは目を閉じ黙り続ける。

 反対に宰相は表情こそ『愛する国の危機!』といった真剣な表情を作っているが、目の上のたんこぶであるハーディーに一矢報いるチャンスが到来したことに喜ぶ雰囲気を隠し切れていない。


 だが実際、宰相の指摘通り、地上を移動するなら『巨塔』とエルフ女王国首都の距離はそれなりに離れているが、ドラゴンなら話は別だ。

 ドラゴンの翼なら、『巨塔』とエルフ女王国首都間など目と鼻の先レベルである。


 例えるなら自宅の隣にいつ爆発するかも分からない爆弾が発見されたようなものだ。

 可及的速やかに対処しなければ、命に関わる案件である。

 つまり確実に高レベルのモンスターが跋扈する森を乗り越え、『巨塔』に潜むドラゴンを始末するためにはエルフ女王国最高戦力である『白の騎士団』を投入せざるを得ない。


「……宰相殿、情報の確度はどの程度か?」


 今まで黙り続けていた『白の騎士団』団長、『静かなるハーディー』が問う。

 宰相は資料をめくりつつ答えた。


「報告は2件。一番最初のものは、首都にある冒険者ギルド経由で人種冒険者達から持ち込まれたようですな。ドワーフ共のダンジョンで活躍した新進気鋭の『黒の道化師』というパーティーらしいですぞ。なんでもどこぞの騎士団から裏切ったエルフ種が『冒険者殺し』などという野蛮行為を繰り返していたのを発見、ギルドに報告したヒューマン(劣等種)にしてはなかなか優秀な者達だとか」


『どこぞの騎士団から裏切ったエルフ種云々』とは、元『白の騎士団団員』であるカイトのことだ。

 宰相は彼の一件も含めてリーフ7世、ハーディーに当て擦りする。

 リーフ7世は忌々しそうな表情を扇で隠し、ハーディーは表情を崩さない。

 宰相は気分良さげに話を続ける。


「もう一件はその人種から数日遅れで、『白の騎士団』副団長ミカエル殿の婚約者サーシャ殿が国を憂い、自費でエルフ種冒険者を雇い自ら調べたモノです。いやはやミカエル殿は素晴らしい婚約者をお持ちだ。お国のため自身を危険に晒し、自費まで投じて『謎の巨塔』について調べ、ドラゴンの情報まで持ち帰るとは! 彼女こそエルフ種の中のエルフ種女性ですな!」


 副団長ミカエルと宰相は裏で繋がっている。

 副団長は団長である『ハーディー』を追い越し自らが団長となるため、宰相は母権制を破壊し、男性有利な社会構造に変えるため。

 互いの思惑が現状は一致しているため手を取り合っているのだ。

 ドラゴンを近郊で発見したという国の危機にもかかわらず、今日も宮廷政治がおこなわれ、味方同士で足の引っ張り合いを繰り返す。


 当然、リーフ7世、ハーディー共に裏で繋がり、色々画策していることは知っているが、表だって非難もできず現在は黙っているしかなかった。

 ハーディーは宰相が副団長を持ち上げる話を聞き流し、出そろっている情報を吟味する。


ヒューマン(劣等種)冒険者に、エルフ種冒険者……2つの種から似たような情報が提出されているのなら確度は高いか……」


 仮に人種(ヒューマン)冒険者、エルフ種冒険者どちらか片方だけなら、『情報が不確かのためもう少し情報収集に注力すべきだ』と言えただろう。

 しかし、2つの種からそれぞれ似たような情報が上がってきたのだ。『謎の巨塔』にドラゴンが棲み着いているのはほぼ確実だ。


 さらに『謎の巨塔』にドラゴンと一緒に出入りする『尻尾が蛇で巨大な4足獣』についての特徴、体長、予想レベル(500以上は確実1000を超えているかも知れないとサーシャが情報を上げていた)、行動範囲などの詳細情報も記されていた。

『最低でも2種の高レベルモンスターが棲みついていることから、「謎の巨塔」は地上に出現した高レベルダンジョンではないか?』と情報をまとめた冒険者ギルド員が見解を資料に記していた。


 さらに森の奥から追い立てられたモンスターの種類、予想レベル、特徴、範囲、集まっている危険な場所等の情報、地図も用意されている。


 宰相は前回の会議でハーディーから嫌味を言われた。

 当時は反論できず、プライドは傷つけられ、歯噛みするしかな出来なかったが、今回は違う。

 衆目の面前でその意趣返しが出来る喜びを隠しきれず、ニヤニヤと笑みを浮かべながら正面に座るハーディーに問う。


「これだけの情報があれば団長殿も手にした名剣を敵に当てることが出来るはず。まさか『嫌だ』とは言いませんよね?」

「…………」


 ここまで揃って『情報が足りない』とはハーディーも言いようがない。

 リーフ7世は扇で隠した顔をますます顰め、ハーディーも珍しく顔を歪め絞り出すように告げる。


「是非も無し……ッ。我が『白の騎士団』によって、レッドドラゴンは倒されるだろう。必ずだ……ッ!」


 こうしてエルフ女王国最高戦力である『白の騎士団』による『謎の巨塔』攻略作戦が決定したのだった。


本作『【連載版】無限ガチャ』を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


明日も張って2話をアップするので、是非チェックしてください!

また今日は21話を12時に、22話を17時にアップしております!(本話は22話です)


では最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想もお待ちしております。


今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 句読点の使い方を知らない作家さんが多いように感じます。 -----------------------  当然、リーフ7世、ハーディー共に裏で繋がり、色々画策していることは知っているが…
[良い点] エルフも相当なクソっぷりがイイですね。ここらで国家の体がなせない程度に間引いておいたほうがいいのでは。
[良い点] 読んでいてワクワクします。 [気になる点] 種族によるレベルキャップに言及している事から、レベルが最も重要な世界観なのでしょうか。 しかし、人族から勇者や英雄が誕生することに危機感を持って…
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