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17話 アイスヒートとスズ

今日は17話を昼12時、18話を17時にアップする予定です(本話は17話)。

 スズを先頭に『巨塔』へ向けて移動を開始する。

 ネムムが続き、僕がその後を歩き斜め後ろにアイスヒートが、さらに後ろにメラ、ゴールドが移動する。


「アイスヒートは『奈落』だと普段メイド服だけど、今日は地上だから鎧なんだね。久しぶりにその恰好を見たよ」

「アイスヒート自身、日頃は『奈落』でメイ様からメイド道のなんたるかを学んでおりますので、久しぶりに鎧を身に着けた時は違和感を覚えてしまいました」


 真面目で皆に『規律、規律』と注意を飛ばすアイスヒートだが、僕との雑談は楽しいのか目尻を下げて嬉しそうに微笑みを浮かべる。


 彼女の言葉通り、普段は『奈落』でメイの下についてメイド道――メイドの仕事をこなし、極めようとしている。

 僕が『奈落』内部を移動する際、よく護衛として付くのがアイスヒートだ。


 なので今身に付けている鎧――ナズナのように全身をガチガチに固めているのではなく、要所要所を護った軽鎧に、両拳をごついガントレットで纏ったのが本来の姿なのだが、いつもはメイド服を身につけているイメージが強い。

 とはいえ、アイスヒートの最も特徴的な容姿は髪の毛だろう。


 彼女は長い髪をツインテールに結んでいる。

 頭部を中心に右半分が炎のような真っ赤な色、左半分が氷のように冷たい真っ青な色をしているのだ。

 髪色も特徴的だが、容姿だって負けていない。


 身長は170cm前後ぐらいで、胸もあり腰もくびれて足も長い。まるで一流の戦士として鍛えて絞り込んだような体型をしているのだ。

 目が大きく、切れ長で、鼻筋も通っていた。

 非常に容姿が整った美人だが、美しいより先に『凛々しい』という印象を受ける顔立ちをしている。


 それ故か男性より、女性にもてそうなイメージがあった。


 メラがからかい口調で、アイスヒートにちょっかいをかける。


「ケケケケケケケ! ならここでストリップよろしく鎧なんざ脱いでメイド服に着替えたらどうだい?」

「ご主人様の前でそんな破廉恥で、規律違反なマネ出来るわけないでしょうが……ッ。今回の一件が片づいて、落ち着いたらメラには規律のなんたるかを叩き込んであげましょうか?」

「ケケケケケケケ! いいね! アイスヒートが遊んでくれるならアタシはいつでも大歓迎だよ!」

「遊びじゃないわよ!」


 一見すると真面目なアイスヒート、不真面目そうなメラは相性が悪そうに思えるが実は『奈落』でも2人は仲が良い。

 食堂などでもよく一緒にご飯を食べていると聞いた。


(性格が正反対だから逆に仲が良いのかな?)とつい考察してしまう。


 逆に現在、黙々と先頭を歩き『巨塔』まで案内をするスズはよく1人でご飯を食べていると聞く。

 正確には手に持っている長い槍のような『マスケット銃』と呼ばれる武器と一緒に食べているらしい。


 スズは『ガンナー』と呼ばれる少々変わった力を持っている。

 手にしている『マスケット銃』から弓で矢を飛ばすように、弾を高速で発射する。

『ガンナー』にはレンジャーの力も含まれているため、現在一番前を歩いているのだ。


 身長は僕より少しだけ高く、髪は短く切り揃えてマントを羽織っている。

 上着に腰をギュッと締めるようなコルセットを身に付け、丈の短いスカートに黒いタイツ。臑まで覆ったブーツを履いている。

 顔立ちも非常に整っており『奈落』でも見た目がかなり高レベルだと妖精メイド達の間ではもっぱらの噂である。

 菫色の瞳に、唇は薔薇色で時折覗く歯は真珠のように艶々している。黒髪も合わさって非常に神秘的な雰囲気を持つ容姿をしていた。

 見た目は完全に美少女だが――スズの性別は女性でもあり男性でもあるらしい。


(カードのテキストには『両性具有』って書いてあったけど、どういう意味なんだろう? 本人に聞いたけど恥ずかしそうに俯いちゃったから詳しく聞けなかったし……)


 ふと、正面を歩くスズの背中を見て思い出す。


 昔に一度、スズとロックに尋ねたことがあった。


「ねぇ、スズ、ロック、『両性具有』ってどういう意味なの? それとどうして男でもあるのにスズは女性の恰好だけしているの?」

「…………」

『アー、らいと様、詳シク聞カナイデ頂ケルト……』


 スズがさらに『マスケット銃』のロックにぼそぼそと話し伝える。


『服ニツイテハらいと様ノゴ命令ナラ男装ニモ着替エルソウデスガ、出来レバ落チ着カナイノデコノママデイサセテ欲シイソウデスワ。スミマセン、うちノ相方ガ我ガ儘ヲ言ッテ』

「謝る必要はないよ。僕もただちょっと気になったから聞いただけだし。むしろ変なことを聞いてごめんね」


 本当にあくまで気になっただけだ。

 本人がそのままの服装でいたいのなら別に強制するつもりは無い。


「…………ありがとうございます、ライトさま」


 スズは嬉しそうにはにかんだ笑みで、ギリギリ聞こえるか、聞こえないかの声量でお礼を告げてきた。

 彼がロック以外で、声を聞かせてくれるのは僕だけだ。


 それだけ忠誠心を示してくれるのは嬉しいが、出来れば他の皆とも仲良くして欲しい――と思うのは僕の我が儘だろうか?

 一応、妖精メイド達にメイを通して『仲良くしてあげて欲しい』とは伝えているが……現状あまり進展はない。


『らいと様、巨塔ニ着キマシタ』


 過去の出来事を思い出していると、目的地の『巨塔』に到着する。


『巨塔』を中心にぐるっと半径数十mに渡って木々は伐採され、地ならしもされており、そこだけぽっかりと森に穴が空いてしまったようになっていた。

 その中心に見上げるほど大きい白い『巨塔』がドンとそびえ立っている。


 4つとも円形で、土台部分が一番大きく、上に行くに連れて小さくなっていった。


(観光地になったら人が集まりそう。お金を払って上まで昇ったり出来たら良い商売になりそうだな……)とついどうでも良いことを考えてしまう。


 ぼんやり『巨塔』を眺めていると一段目に座って足をブラブラとしていたアオユキ、うろうろと歩き落ち着かない様子だったエリー、ナズナは地面に立って手持ち無沙汰(ぶさた)に木の枝を振り回していた。

 僕達に気付くと飛び降り、枝を捨てて駆け寄ってくる。


「ライト神様! ようこそおいで下さいましたわ!」

「にゃー!」

「ご主人様待ってたぜ!」


 僕は3人の笑顔の出迎えに、笑顔で返す。


 エリーが賛辞の言葉を並べ、ナズナが手を取りブンブンと上下させて、アオユキが本物の猫のように体を擦りつけてくる。


 一通りの歓迎を受けた後、安全性を考えて『巨塔』内部に入り、エリーから今回の作戦について色々話を聞くことにしたのだった。


本作『【連載版】無限ガチャ』を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


レビューを書いてくださって誠にありがとうございます!

毎日2話アップしているので、これ以上増やすのは物理的にはなかなか難しいですが、これから続けられるだけ毎日2話をアップする所存なので、それでどうかお許しを願えればと(笑)。


また感想返答を書きましたので、そちらも是非チェックして頂ければと思います!


今日も頑張って2話をアップするので、是非チェックしてください!

17話を12時に、18話を17時にアップする予定です!(本話は17話です)


では最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想もお待ちしております。


今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!


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