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19話 冒険者A級の首

『暗殺結社処刑人(ブロー)』のトップ5『死剣(モルテ・スパーダ)』が号令も無しに珍しく全員『社交場』に集まってしまった。

 皆、タイミング良く仕事が終わって、魔人国首都に居たのと、ボスである魔人国『マスター』であるギラが来ていると耳にしたからだ。


 結果、慕っているボスや他『死剣(モルテ・スパーダ)』達への見栄もあり、『誰が一番なのか』の言い争いに発展する。

 話を聞いていたギラは、皆の殺気が高まるのを楽しみつつ提案する。


「口で誇っても無駄。なら、実力、示せばいい」


 ギラの視線がゴブリン顔青年に向き、声をかける。


「仕事ないか? なるべく、強い獲物が」

「は、はいでやんす! なるべく強い獲物でやんすね! だとすると――」


 突然、声をかけられたゴブリン顔青年が冷や汗を掻きつつ、脳内を検索する。

 彼が依頼を受けて既に入っている暗殺仕事は、ライバル商人の暗殺、貴族の家督争いを避けるため弟の殺害などはあるがどれも『強い獲物』ではない。

 唯一あるとすれば……。


「冒険者A級、『黒の道化師』パーティーリーダーで、人種、ダークの暗殺でやんす。依頼内容として『なるべく惨く、産まれてきた事を後悔するほど残虐に殺して欲しい』とのことでやんす」


 先程、酒場でディアブロから依頼を受けた内容を口にする。

 冒険者A級なら十分『強い獲物』と言えるだろう。

 この依頼内容に『暗殺結社処刑人(ブロー)』のトップ5『死剣(モルテ・スパーダ)』は別々の反応を示す。


「冒険者A級とはいえ相手はヒューマン(劣等種)だと!? それが一番手強い獲物とは! このごろ獲物の質まで下がっているのではないか!」

「ヒヒヒヒキ、ンマーュヒ! ンマーュヒ!」


 四つ目の筋肉、腹が異常に大きいガマガエルのような魔人種が『強い獲物』が人種(ヒューマン)だと聞かされあからさまに見下し、馬鹿にする。


「あらぁあの『黒の道化師』パーティー、ついに暗殺が依頼されるようになったのぉ。ヒューマン(劣等種)の分際で身の程も弁えず色々目立つようなマネをしたから当然といえば当然よねぇ」

「対象はリーダーだけ~? パーティーメンバーの『黄金騎士』や『妖精姫』は対象じゃないのかしら~。個人的にはお伽話に出てくる『妖精の御姫様』のように美しいなんて吹聴されてる身の程知らずの『妖精姫』をぶち殺してあげたいのに~」

「…………」


 反対にピエロ、サキュバス、一度も口を開いていない魔人種は、『黒の道化師』パーティーを知っており、最初の2人とは違って見下してはいるが、『人種パーティーでありながら最速で冒険者A級になった』ダーク達の情報を頭に入れていた。

 一流上位の暗殺者として、実力者の情報をマメにチェックし頭に叩き込んでいるのだ。


 またギラも密かに目を細める。


(『黒の道化師』。『巨塔の魔女』の協力者。現地の人種(ゴミ)に関わらず『最速で冒険者A級』。マスター、可能性あるか? ……いや、ありえない)


 ギラも『黒の道化師』パーティーの存在は耳にしていた。

 しかし、彼自身、『黒の道化師』パーティーがマスターの可能性は低いと考えている。

 理由は……『最速で冒険者A級』になったとはいえパーティーメンバー全員が人種(ヒューマン)なのだ。

 しかも全員が強者で、ドワーフダンジョン、エルフ女王国巨塔作戦囮役、『獣人種大虐殺』の際、3人が3人とも人種(ヒューマン)とは思えない活躍をしたとか。

 では『黒の道化師』パーティーが3人全員とも偶然にも合流した『マスター』で、それ故に人種(ヒューマン)とは思えない規格外の力を持っているのか?


(それ、どんな確率か。まだドクが、『研究成功させた』方が可能性、高い)


 ギラとしては、『巨塔の魔女』が『黒の道化師』パーティーに手を貸し、裏から支援しているか、操っていると考えている。


(経験値しか興味ない馬鹿、ダイゴ、殺した。恐らく魔女がマスター)


 常識的に考えれば一番怪しいのは『巨塔の魔女』だ。


(『死剣(モルテ・スパーダ)』、ぶつけて、揺さぶる、あり)


 本来は部下達を競わせる意図で『強い獲物』と条件を付けたが、『ダーク』の名前が上がり別の目的も増えてしまうが、こちらは別に彼らに聞かせる必要はない。

 またギラにとって部下などいくらお気に入りでも『また作ればいい』という消耗品以下の認識しかない。

 最初の意図に従いギラが口を開く。


「なら、このダーク。『死剣(モルテ・スパーダ)』、誰、一番早いか、勝負する」


 ギラが挑発的な笑みを作る。


「誰、一番早く、首、取る。『死剣(モルテ・スパーダ)』で一番」

「さすがボス、冴えているわぁ!」

「スボがすさ!」

「強い獲物の首を最初に誰が取るのか~。シンプルで分かりやすいわ~」

「然り然り! さすがボスであるな!」

「…………」


 この提案に『死剣(モルテ・スパーダ)』達は称賛の声をあげる。


 ディアブロの依頼は意外な形で、『死剣(モルテ・スパーダ)』達の競争に使用されることになった。

死剣(モルテ・スパーダ)』の誰もが、ダークに警戒心など抱かず、『自分が最初に首を落としてボスに献上する』と息巻いていた。


 ボスであるギラは、今回の依頼に裏の意図として『死剣(モルテ・スパーダ)をダークにぶつけて、魔女を揺さぶる』という狙いを作る。

 もしギラの予想が正しければ、『巨塔の魔女』が『マスター』の可能性が高い。だから『巨塔の魔女』のお気に入りだろうダークに『死剣(モルテ・スパーダ)』をぶつけることで魔女を揺さぶろうとしているのだ。

 ……まさか恩恵(ギフト)からレベル9999、レベル7777、レベル5000クラスがぽんぽん出てくるなどギラの頭では予想すら出来ない。


 こうして『死剣(モルテ・スパーダ)』は自身の力をボスに示す遊びとして、ダークの首を狙うことになる。


 ☆ ☆ ☆


 ――数日後。


『奈落』最下層廊下。


「ひぃぇ……ッ」


 廊下を掃除していた妖精メイド達が、怯えて壁際に背を密着させる。


 その間をアオユキがパーカーの縁で視線を隠しつつ、妖精メイド達に目もくれず怒りを露わにして通り抜けていた。


 なぜ彼女はこれほどまで怒りを露わにしているのか?


 原因は『死剣(モルテ・スパーダ)』がダーク――ライトの首を狙っているという情報を得たからだ。


 彼女が敬愛するライトの首をだ。

本作『【連載版】無限ガチャ』を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


引き続き頑張って書いていきますので、何卒宜しくお願い致します!


また最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想もお待ちしております。


今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
ライトのギフトから出現した異常に高いレベルのメンバー達を考えてみればライトはマスターよりも上位に居るのでは?LV9999だけど何かの切っ掛けでさらにLVアップするんじゃないかな~ なによりもグングニー…
[一言] おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい 死んだわ、アイツら。
[気になる点] 逆再生の人、最後のセリフはどうなるのかな〜
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