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19話 ナズナ

今日は19話を昼12時、20話を17時にアップする予定です(本話は19話)。

 僕達は無限ストーンゴーレム階層から下りて、広大な海に浮かぶ小島へと到着し、『SR、飛行』で南方へと移動。

 途中、約30mある巨大な魚、空を飛んだり、頭がノコギリになっている魚などに襲われたが無事に島へと到着。


 島には上の階層でも見た巨大な二重螺旋の建物が建っており、無理矢理蓋を破壊され、穴が空いている。

 すぐには下りず、この島で一泊してから穴へと下ることになったが……。

『奈落』最強のナズナが鼻をひくひくと動かし、断言した。


『ご主人様……次のこの穴は今まで以上に警戒した方がいい気がする。危険な匂いがするぞ』と。


 ドワーフ種のマネをして海水を飲んで涙目になったり、巨大な魚シロナガスオオクジラを見て子供のようにはしゃいでいたが、ナズナはこと戦闘に関しては『奈落』随一だ。

 レベル9999のエリーとアオユキが手を組んだとしても、2対1でも戦える。メイなど謙遜もあるだろうが、『(わたくし)が参戦しても足を引っ張るだけ』というほどだ。

 実際、ナズナは強い。

 彼女の指摘を無碍にしないほうが無難だろう。


 島で宿泊用に使用したコテージを『アイテムボックス』に回収後、いつも通りメイが『魔力糸(マジック・ストリング)』で作り出す糸箱で穴を降下する。


「…………」


 皆には既にナズナの注意を聞かせているため、今まで以上にピリピリとした緊張感が漂っていた。


「――ライト様、穴の終わりが近いです」


 メイが最初に穴の終わりに気付き、その旨を伝えてくる。

 皆、彼女の言葉により一段と緊張感を強める。


 穴を抜ける――糸箱が窓を作り、外を確認することが出来たが……。


「……ナズナが警戒するだけはあるね」


 天井から降り注ぐ太陽光にも似た光はいつも通りだった。

 この光は一日中光リ続けている。

 その光に照らされ、眼下に広がる光景を確認することができた。


 乱立する黒い長方形の壁。

 地面は工場出入口で見た黒い粒が混じった灰色の壁で作られている。

 ドワーフ種が長年懸けても破壊できず、ナズナが力任せに毟って初めて壊れたほどの素材だ。

 その黒い粒が混じった灰色地面が抉れ、溶けて、切断され、クレーターすら作られていた。黒い長方形の壁も一部上部分が消し飛び、脇が抉れて、根本から粉々に壊れて地面に落ちていた。

 戦闘痕が大量に残されている。


 つまり、粒が混じった灰色の地面を楽に壊せる存在がこの空間には存在するということだ。

 ナズナが危険を感じて警戒するのも理解できる。


 糸箱が地面に降り立つ。

 僕達が最初に下りて辺りを警戒し、後からドワーフ種達が続く。

 3度目のため慣れたモノだ。


「……メラ、無限ストーンゴーレム階層の時のように空、地上から調査を頼む。分体には敵の存在に注意するようにちゃんと言うんだよ」

「ケケケケケケケ! もちろんです、ご主人さま。お気遣い頂きありがとうございます!」


 僕に気遣われたのが嬉しかったのか、周囲への気配りも忘れず嬉しそうな声音でメラが返答する。

 彼女は無限ストーンゴーレム階層の時と同じように、両腕から鳥、スカートの下から狼の分体を作り出し、調査のため解き放つ。

 メラの分体を見送った後、ダガンが好奇心を抑えつつも、緊張気味に要求してくる。


「ライト殿……あれらが戻ってくるまでの間で構わぬから、この階層の調査をさせてもらっても良いだろうか?」

「……単独行動は禁止で、皆で移動するなら許可します。もちろん行動は慎重にお願いします」

「忝い!」


 探求心の強いドワーフ種に、これだけのものを目の前にして『我慢しろ』というのは無理な話だろう。

 何より僕もこの階層は気になる点が多い。


 敵がいないか注意しつつ、皆で固まって動く。

 最初に向かったのはクレーター痕だ。


「あの素材をここまで綺麗に抉るとは……いったいどういう攻撃をしたのじゃ? 魔術か?」

「攻撃魔術であのクソ硬い素材をここまで綺麗にえぐるのは、不可能ではないか?」

「ならば幻想級(ファンタズマ・クラス)の魔術武器を用いたとかでどうじゃろう?」

「薬品などではどうだ? 酸を吐き出すモンスターが鎧を溶かしたのを見たことがあるぞ」


 クレーター痕を前にドワーフ種が会話を始める。

 僕自身、膝を突きクレーターを撫でた。


(まるでバターを熱したスプーンで抉ったように綺麗に削られている。これほど硬い素材を、いったいどうやったらここまで綺麗に削れるんだろう?)


 ドワーフ種ではないがついつい、考察してしまう。

 僕自身、『無限ガチャ』カードを使ってもこうまで綺麗に抉るのは難しい。

 神葬(しんそう)グングニールを完全解放すれば、話は別だろうが……。


創世級(ジェネシス・クラス)はありえないが、それに近いクラスの武器でやれば似たようなことができるんじゃないかな? 例えば神話級(ミトロジー・クラス)なら――ッ!?)

「? ライト殿どうして――」

「伏せて!」


 ドワーフ種以外、僕達全員が気付き即座に反応する。


 白色の砲弾のようなモノが高速で発射される!

 敵からの攻撃にメイが『魔力糸(マジック・ストリング)』で壁を編み上げ進路上に設置。本来であればこれで完璧に防ぐことが出来る筈だが……なぜか消し飛ぶ。

 まるで地面のクレーター痕のように綺麗に抉れるように消失したのだ。


「ご主人さま! アタシの後ろに!」

「メラ、手を出しちゃ駄目だ! あたいに任せろ!」


 メラが両腕の裾から巨大なドラゴンの腕を出して、前衛に咄嗟に立つ。

 ドラゴンの腕は鋼鉄色でメラの中でも最も硬度の高い鱗で覆われているが、ナズナが『それでは防げない』と本能的に察して、大剣を手に割って入る。


「ゃぁぁあッ!」


 気合一閃!

 白色砲弾を叩き軌道を逸らす。

 砲弾は黒い長方形の建造物と黒い粒が混じった灰色の地面を抉り、爆発もせず消失した。

 どうやら今の一撃が、目の前にあるクレーターを作り出した攻撃のようだ。


 白色砲弾が発射された先、150mほど先に約10mはある『下半身と両腕が蛇の怪物』が突然姿を現す。


(レベル9999の僕やメイ、ナズナの警戒網を抜いてこれだけ近付いてくるとは……)


 クレーター痕を確認し、考察している間も気を抜いたことはなかった。

 にもかかわらず、ここまで接近されるとは。

 約10mの巨体が、まるで空間を転移したかのように突然姿を現したのだ。


 上半身を甲冑で纏い、下半身が蛇で黒い長方形の建造物に巻き付く姿勢を取り、蛇の形をした両腕から微かに空気が揺らいでいる。

 先程の一撃はその両腕から発射されたようだ。

 人の顔に当たる部分はフルフェイスの兜を被っているため、表情は認識できない。


 スズがすぐさまロックを構え、応戦する。

「!」

『サッキノオ返シダ! アリガタク受ケ取レ、蛇擬キ!』


 長い槍のような『マスケット銃』の銃口から、無数の魔弾が発射される。

『蛇擬き』は反応できなかったのか、微動だにせずシャワーを浴びるように全身に魔弾を浴びたが――。


「!?」

『当タッテイナイ!? イヤ、ハズレタノカ!? 馬鹿ナ、アリ得ナイ!』


 スズ&ロックが驚愕の声音を上げる。

 当然だ。

 ヒットしたと思った魔弾が全て外れたのだ。

 正確には……まるで『蛇擬き』を素通りし、その後方へと着弾したのだ。

 あり得ない現象に一同驚愕してしまう。


 そんな中、1人冷静にメイが『鑑定』で相手の名前やレベルなどを確認するが……いつまで経っても彼女からの返事はこなかった。

 僕は杖を構えつつもメイに視線、声をかける。


「メイ、あの『蛇擬き』のレベルは? スズの魔弾を回避しきるなんてただ者じゃないぞ」

「……ライト様、お気を付けて下さい。あれにはレベルがありません」


 彼女の予想外の返答に僕だけではなく、その場にいる全員が驚きの表情を作ったのだった。


本作『【連載版】無限ガチャ』を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


今日は頑張って2話をアップするので、是非チェックしてください!

19話を12時に、20話を17時にアップする予定です!(本話は19話です)


では最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想もお待ちしております。


今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!


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