満たされぬ
翌日、私は学校をサボって街を歩いていた。
街は私のように学校をサボったであろう中学生、高校生もいるのを見かける。
「クソ……」
ムカつく。
こんなことしたって無意味なのはわかってる。だがしかし……。私はゲーセンに向かい、パンチングマシンに百円入れる。
グローブをはめ、思い切りぶん殴った。
画面には316kgと表示されていた。殴っても、スッキリしない。
私はもう一度プレイしようとして、入れようとすると。
「おい、女どけよ。そこ俺らの陣地だぜ」
「…………」
「聞いてんの?」
と、中学生くらいの男が肩を掴んでくる。
「うるせえ」
「は? なめてんの?」
「うるせえんだよ」
私は首根っこを片手で掴み持ち上げる。
めんどくせえ。なにもかもめんどくせえ。私は阿久津家……月能にとって一体なんなんだ。
クソ……。イライラする。
「た、助け……ぐるじ……」
「……チッ」
私は男を解放した。
だがしかし、これはちょっとだけスッキリした。私はやはり、望まれないので、こういうことで心を満たしていたんだ。
ならば、私の心を満たすしかない。
ここら辺にたしか半グレたちが集まってるアジトがあったよな。そこに乗り込むか。
乗り込んで……私の心を満たすしかない。
「よし」
「よしやあらへん」
と、目の前には赤い髪の男と月能たちが立っている。月能は私を心配するかのように見ていた。
私は、なんだよと冷たく告げる。
「かのちん……。話は聞いた! 大丈夫! だからなんかやらかすのやめて?」
「……はァ?」
「ひっ……」
邪魔しないでほしいものだ。
月能たちにはもちろん感謝している。こんな私と仲良くしてくれてること。自分の立場とか考えずに仲良くしてくれていることは。
でも、やっぱ昨日の話は受け入れることは出来なかった。ならば私がやることは一つ。喧嘩しかない。
阿久津家からも見放されて、私は孤独になる。
茂治さんは厳しいからな……。私が同じ立場ならすぐに私という存在を隠すか、人知れず始末する。
「……迂闊でした。花音、あなたは強いようで」
「…………」
「とりあえず私が許可します。源太郎! やってください!」
「むぅ。なんか嫌なんやけど……。ま、しゃあない。死なない程度には痛めつけるで!」
と、殴りかかってきた。
私はかわし、顔面に一撃。源太郎と呼ばれる赤い髪の男は一発で伸びる。
「うそ……」
「おい、マジか……」
「うるさいんだよ……」
「しょうがないですね。プランB!」
その時だった。
私の足に何かが刺さる。麻酔……? 私はそっちの方を見ると銃を構えた女の人がいた。
麻酔を引っこ抜き、ぶん投げる。眠気が襲ってきた。私は、根性で抑え込む。
「強力な麻酔だぞ!? すぐに昏倒するはず……」
「花音すごい!」
「ありがとよ……。てめえ、鎮めるために麻酔まで使うか普通……」
「正気に戻りましたか?」
「戻りたくねえよボケ! クソ……。こうなったら」
私は近くのガラスに思い切り頭をぶつける。
ガラスは割れ、破片が私の頭に突き刺さった。血が出てくるが、眠気がどこかに飛んでいく。
「なんと……」
「邪魔すんな……! てかまだ何もしてねえのに……」
「何もしてない? そこの男子中学生は?」
「喧嘩ふっかけてきたから受けてやっただけだ! 私は悪く、ねぇ!」
「麻酔で錯乱してます?」
「して、ねぇ! クソ……。意識が……」
私はそのまま、意識を手放したのだった。
私はやっぱ殺されるのか? 麻酔まで使って……。それはないと思いたいが。
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