ちょっくら世界を救ってくる ②
私はクランのメンバーにニャルラトホテプと戦ってくると告げる。
単騎じゃないといけない説明をすると、アルテミスも同意していた。アルテミスもニャルラトホテプの力について考察していたらしく、他人を操作する能力があると断定していたようで、複数人で挑むと敵を増やすようなものだと告げる。
だから単騎でいくことに賛成はしたが。
「私としては反対だよ! ゼーレ一人で戦わなくたっていいじゃん! 私だって強いよ!」
「そうだねェ。理論ではなく、感情で語るとするなら一人で突撃は引き留める。私もね」
「いや、リアルで死ぬわけじゃねえんだし……」
「でもだよ! 大体ゼーレが一人で戦ってんじゃん……。ゼーレ一人が戦いを引き受けてんじゃん……。ゲームでも、リアルでも。私たちには頼らないで」
と、オイリが悲しそうな顔をしていた。
オイリはもっと頼ってほしいといってきた。
「そんなに私役立たずかな。そんなに私じゃ戦力にならないかな」
「いや、この場合は相手に戦力を増やしたくないから連れてきたくないってだけなんだけど」
「そ、そーなの?」
「お前なんだと思ってたの? 話聞いてた?」
「聞いてたよ! じゃなくて、ゼーレ、私を戦力と思ってくれてたの!?」
「思ってくれてたっていうか、常に思ってるが」
「そ、そーなんだぁー。へぇー。じゃ、じゃあいってよし!」
「変わり身が早いね。もう少しここは感動のドラマを演じるべきじゃないかい? のっかった私が言うべきじゃないだろうけどさ」
やっぱお前は演技かよ。
それにアルテミス。お前もオイリのことは全然わかってないな。オイリはそういうドラマは演じない。大体が素だからそういうの無理。馬鹿正直な女だから。
「ま、君のことだ。強いのは承知している。だがあえて言わせてもらうとするならば……敗けるなよ」
「私は負けねえっての。蒼眼の死神様は負けたことがないのが誇りだからな。ちなみに不意打ちとかで死ぬのはノーカン」
意外と緩いんです。
私はその足で王城に向かう。王城前で国民に襲われるが、私はぶん殴って気絶させ、無理やり王城の書庫に入る。
書庫に入り、私たちがあの世界に入るのに必要だった本を開くと、私は再び吸い込まれていったのだった。
私はあの混沌とした世界にいる。
前と違うのは、今度は最初からあのニャルラトホテプが目の前に立っていたことだった。
「来ると思いましたよ。世界の混沌を止めに」
「ま、いろいろルールがないと私も困るからな……。止めに来た」
「素直でよろしい。そういうの非常に好感が持てますね。ですが、世界はもう止まりません。混沌は加速するのみです。おとなしく帰ったほうが身のためだと思いますよ?」
「いやいや。この世界からの帰り方知らねーし。帰れねえの」
「教えて差し上げましょう」
と、ニャルラトホテプは私の後ろに回り込み、ナイフを振り……。




