活動休止
ライブが終わりに近づき、私は拠点に戻ってきた。
拠点にはアイドルの二人以外そろっている。ハーレーとミナヅキはすぐに来るといっていた。
「おやおや、久しぶりだねェ。修学旅行は楽しかったかい?」
「いや?」
「まぁ、君はそういうと思ったさ」
「ゼーレ! 明日木刀渡しに行くからね!」
そういえばオイリお前木刀買ってたな。
ピーチがははっと苦笑いを浮かべている。ほかのメンバーも木刀を買うやつが本当にいたんだという目でオイリを見ていた。
「それで? 二人はまだですか?」
「そろそろ来るんじゃねえの?」
「いや、打ち上げとかあるならば今日は来ないのではないだろうか。アイドルのライブをしていたんだろう? 重大発表があるといっていたがそれはなんだったんだい?」
「知らね。発表前に帰ってきたし。中継されてんだから見てやれば?」
というので、ワグマが映像を空中に映し出し、私たち全員でそれをのぞき込む。Sky Rimのメンバーが息を切らし、マイクを持って今日はありがとうと告げていた。
そして、重大発表があるとリーダーの人が大きくしゃべる。
『この度、我々Sky Rimは……解散しま』
『しねえよ。たちの悪い冗談やめろや』
『解散はしないけど……活動休止メンバーがいるんだよねー』
活動休止メンバー?
『本田くん、菅原くんが活動を休止いたします』
『なぜかっていうとね、報道された件は関係ないんだけど、年齢が18歳。つまり高校三年生ってわけ』
『受験もあるし、勉強のほうに専念しないとってことだ。ゲームはやるけどな。むしろフレンドに勉強を教えてもらう』
『受験が終わったら活動を再開する予定なんだ。だからそれまで、アイドルとしての僕はおやすみ。ごめんね?』
『俺も高校三年生なんだけどエスカレーター式の高校だから受験なし! 楽ちんでいいね!』
『僕と津山は大学一年生だし受験は関係ありませーん』
なるほど。重大発表は活動休止のことか。
二人は活動休止らしい。
「ここにいる大体のメンバーが受験生だからねェ」
「みんな高校三年生って変な気分ー」
「受験……。嫌なことを思い出させられました……」
クライノートメンバー全員同い年なので全員が受験生だった。
年齢差にばらつきがなさすぎる。なぜ同年代で固まってるんだろうな私たちって。一人くらい年上や年下がいてもいい感じはするのだが。
「この中で大学が決まっているのは何名いるのかしら……。私は四国のほうの大学に行くわ……。ふふっ、八十八か所巡りするのよ……」
「俺も決まってるっすよー! 近場の大学っすけどね。情報科学科にいくっす」
「私ももちろん決まってますよ。阿久津家ですからね。私とゼーレは同じところに受験します」
「え、それ私聞いてないんだけど」
「阿久津家の当主様の決定ですから。行く大学は指定されてますよ」
うそでしょ?
いや、大学に行かせられるんだろうなーとは理解してたけど大学も指定されてんの? まあいいけどよ。どこ行こうか悩まなくて済むし。
「私は思い切って海外にいこうか。日本じゃ楽勝すぎてつまらないからねェ」
「アルテミスはそうだわな……」
「はいはーい! 私はですねっ! 大学じゃなくて調理師の専門学校いくです!」
「なに、デイズは調理師になんの?」
「はい! パティシエになるんです!」
パティシエに。
それぞれが行く道を上げていく中。一人だけ少し浮かない顔をしていた。
「オイリはどこいくか……」
「決まってないー---! 受験嫌なんだけどっ! 私嫌なんですけどっ!」
「いうと思った……」
「なんでみんな決まってんのさー!」
むしろ今の時期にはもうみんな行くところは固めるだろ。




