いざ、摩天楼へ
私たちは摩天楼ダンジョンの前に来ていた。
高くそびえたつその摩天楼。摩天楼の攻略はどれくらいかかるのだろうか。こんなばかでかい塔のダンジョンならば、階層もものすごくあるだろう。
「よし、じゃ、いくか」
「はい」
私たちは摩天楼に入っていく。
摩天楼に入ると、扉が強制的に締まり、開けようとしても開かなくなっていた。死ぬか、攻略するかでしか出られないように感じる。
もしかしてここは本来、やりこみ要素みたいなものなんだろうな。
「これで後には引けなくなりましたね」
「もともと引くつもりもねえけどな」
私は気合を入れる。
さっそく、目の前に敵が現れた。大剣を持ったスケルトンと、なんだか強そうなゾンビ。私はとりあえず一撃加えるが、一撃程度じゃ倒れない。
「一撃じゃ沈まない……? やばいなこれ」
ならばもう一撃。
私はスケルトンに二回攻撃を当てて、やっとスケルトンは倒れる。
雑魚敵でワンパンできなかったのは久しぶりだ。スキル発動はしてないにせよ、今の私の力のステータスは400近くもある。レベルはまだ51くらいだが、それでも私の力のステータスは結構あるほうなのだ。ちなみに防御はそこまでないのでそこそこの耐久高火力というのが私の持ち味。
ゾンビのほうも二回攻撃を加える。
やっぱ二回攻撃を当てる必要があるのと、一撃で倒せるのとじゃ手間がちょっと違う。一撃で倒せたほうが楽なんだが……。ここで武装とかして無駄にMPを使いたくもないしな。MPはそこまで多いというわけでもないし。
「ここの雑魚敵、思ったより強いってことはボスとかはもっと強いだろうな……」
「あっさり倒してるように見えましたが強いんですか?」
「一撃で倒せなかったから強いだろ。大体の敵、ワンパンできるぜ私は」
「……となると、やっぱここってもう少し後半に来るべきなんでしょうか」
「それか、クリア後ダンジョンだったりしてな」
「クリア後ダンジョンって……。このゲームにクリアってあるんですかね? ストーリーもなにもないですが」
「さぁ……」
このゲームにクリアなんてものがあるのかは疑問だが。
私たちは先へと進んでいく。階段をすぐに発見したが、ワグマは天貫山のダンジョンのトラウマのせいか、階段を疑ってかかっていたのだった。
あの天貫山のようなトラップは多分ない。ここは階層が長い分、だいぶ素直なダンジョンだと思うが。
「嫌な予感とかはしてませんか?」
「してねえな。普通に上っても大丈夫だろ」
「ならいいのですが……」
私たちは階段をあがっていく。
摩天楼ダンジョンの二階には、なんと庭園のような植物が生えていたのだった。
一階はどこかの建物のような感じだったのに対し、植物が生え、なにやら太陽光のような光が天井から降り注いでいる。
「んだここ。建物の中だよな?」
「え、ええ。建物ダンジョンですから……。苔とかならまだしもこんな植物は普通はでてくるはずがないです……」
摩天楼ダンジョンというのはずいぶんと不思議な場所のようだ。




