灯台
処分は停学2週間という簡素なものだった。
というのも、ここまでやらかしてこそいれど、背後に阿久津家がいるためになかなか退学処分にはできないみたいで。阿久津家様様。
まぁ、茂治さんにはものすごく怒られたが。
「ゲームすっぞー!」
「停学になったからといってゲーム三昧ですか……」
「しゃあねえだろ。あれじゃ喧嘩してくださいって言わんばかりじゃねえか。それに、あの場所に行かなかったら原野っていう男がしこたまボコられてただろ」
「それもそうですが……」
いいことをしただろう。たぶん。
「んで、今日は何すんだよ。また各々探索か?」
「そうですね……。ニライカもそこそこ広いですし探索ですかね。ごたごたで私まだ探索できてませんから」
「そうか。じゃ、私は今度はあの灯台にいってみるかね」
宿から見える崖の上に灯台があった。
あそこの灯台にはきっとなにかある。私はそう確信めいた予感があった。私は宿から出て、灯台に向かう。
灯台の扉は古ぼけた木の扉で、ものすごくでかい灯台。だがしかし、使われてる形跡はない。
「お邪魔しまーすと」
「私もつれてくのよ」
「うおっ!? てめぇ背後に立ってたのかよ」
「ククク……。水臭いじゃない。私を誘わないでこの灯台に来るなんて」
「お前もここに用事が?」
「この灯台について、いろいろ調べてたの。そしたら……。アンデッド系の魔物が多く出るの……! オカルト好きとしてこないわけにはいかないの。ふふ……。いざ来てみたらあなたがいたのよ」
「偶然か」
ここに来たのは偶然らしい。
「扉を開けて頂戴……!」
「はいはい」
私は扉を開ける。
中は薄暗かった。窓は木で打ち付けられており、木の隙間から太陽の光が差し込んでくる程度。私は扉を閉じて、先に進んでいくのだった。
このおどろおどろしい雰囲気、すげえな。
「敵がいたわ」
「骸骨……? 海賊の服着てるな」
海賊のようなどくろマークの付いたバンダナをつけ、青いストライプ模様のシャツを着たスケルトンが剣を持って立っていた。
私は右腕を黄金で武装し、ぶん殴る。この黄金、隠し効果のようなものでアンデッドにも有効みたいだからな。
海賊スケルトンはばらばらに砕け散り消えていく。
「ここは宝を海賊に目をつけられて廃れたらしいわ。ただ、ここの灯台守もものすごく強かったらしくて海賊は返り討ちにされて全員死亡……。そして、宝を求めて侵入した奴らも死亡して……その無念が集まってここはアンデッドの巣窟になっているらしいの」
「ここはアンデッドのダンジョンのようなものかよ」
「そうね……」
ホラーが得意だからまぁいいけど、ここはホラー苦手な人はとことん嫌だろうな。
スケルトンなんかはもろに骸骨だし。夜見たら絶対怖いと思う。
私たちは先へと進んでいく。
海賊スケルトンやゾンビ、魂系の魔物が多く、私たちの邪魔をする。が、宝なんて一切見受けられなかった。
宝箱があってもいいとは思うんだが……。
「宝ねえじゃん」
「灯台守の部屋にあるらしいわ」
「じゃあ、登らねえといけねえのか。階段を探さないとな」
「階段を探すのだったらキーモンスターを倒す必要があるのよ」
「キーモンスター?」
「そのモンスターが二階に続く階段を不思議な力で隠しているの。そいつを倒さないと先へは進めないわ」
そういうシステムか。
「ならそのキーモンスター探そうぜ!」
「場所はすでに視ているわ……。こっちよ」
と、ラプラスが案内してくれたのだった。




