グラマラスなわがままボディ
ゲームの中でも嗅覚があるというのは不思議な感じだ。
潮の匂いが鼻孔をくすぐる。目の前には透き通るような青々しい海、そして、船で漁に向かう漁師。
「海だぁーーー!」
「ふむ、予想以上に綺麗な海だね。グレートバリアリーフみたいだ」
「すげ、ここ撮影に使えたらすげえ映えるよな」
「そうだね。ま、結果論になるけど来てよかったか」
海に来て他のみんなも満足していたようだ。一人以外は。
「なぜ海なの……!」
「ラプラスお前な……」
「海は嫌なの! どうせ貧相な体を馬鹿にされるのよ!」
「お前割と悲観的だよな。未来見ろよ。罵倒してないだろ」
「……そうだけれども! 嫌なの。コンプレックスなの! なぜこのゲームはバストとかいじれないのよ!」
「胸なんてどうでもいいじゃないか」
「どうでもいい? あんたこの胸でッ!」
と、ラプラスがアルテミスの胸に手を伸ばす。
アルテミスはおっぱいがデカく、たぷんたぷんと揺らされている。
「やめたまえよ。私は元よりいらないんだ。こんな重いもの。合う下着を探すのも一苦労なんだ」
「……喧嘩売ってるのかしら。胸が小さいからなくてもいいんじゃない? って言われてる私に……。何が絶壁よ。何が貧乳よ……。クソ、クソ!」
荒れている。
確かにこのクランはスタイルがいいやつばかりだからな。ワグマもそれなりにはあるし、私もそれなりにはある。
オイリは……。
「貧乳サイコーだよ?」
「うるさいっ!」
オイリはまぁ、胸がない。が、本人は気にしていない。
「ささ、これに着替えて! ビーチに来たんだからさ、これに!」
と、手渡されて装備したのは水着だった。
私は紺の普通のビキニ。動きやすくていいな。ワグマはセパレートビキニ。赤い情熱の色。似合ってる。
アルテミスも普通にビキニだった。暴力のような胸が強調されている。
そして、男たちも女たちも水着に着替え、ラプラスのは。
「スク水……」
「もーいやよ!」
「お前ラプラス馬鹿にしてんだろ……。これトドメじゃねえかよ」
「えげつないですね」
「流石にこればかりは可哀想だねぇ」
「え!? スク水可愛いじゃん!」
「スク水って子供の女の子が着るやつだろ。お前暗に子供みたいな体型って言ってるようなもんだぜ……」
コイツは時々やらかす。これは本当にえげつねぇ。さっきまでコンプレックスを慰めていた相手からの突然の不意打ち。ラプラスは。
「ひぐっ……ひぐっ……」
「あーあ、泣かせた」
「よしよし、私の胸で泣くといい」
「誰が泣くかァ!」
バチコーンとアルテミスのおっぱいを叩くラプラス。
「……ねー、モンキッキが強制ログアウトなったったよ!?」
「……エロ猿」
「エロ猿ですね」
「え、どゆこと?」
「強制ログアウトってのは身体に異常があった場合も起きるんだよ。お前らのグラマラスなボディみて興奮したんだろ」
「俺も……やっぱこの空間いづれぇ」
「僕たちもログアウトする?」
「女の空間って怖えな……」
男二人もこの女の子の雰囲気にあてられているようで、ログアウトするかと相談していた。
まぁわかる。おっぱいとか思春期のうぶな男は恥ずかしいよな。私は女だから耐えられてるが……。
「とりあえず着替えろ。とくにアルテミス。その胸は暴力でしかねぇ」
「了解したよ。男たちの熱視線も飽きたことだしね」
「むきーーーー!!!」
本当に可哀想なラプラス。
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