12話
鳥ちゃんは居心地ら悪いのか私の胸元に顔を埋めてしまい、ベスさんはうーんとうなり声をあげた。
「鳥ちゃんにも家が必要だねぇ」
「お、なら俺すぐ作ってやるよ。すぐすぐ! ちょっと待ってな!」
「あ、手伝うよぉ」
「私も!」
三人は意気揚々と、作業台の方へと行くと、魔術具を利用してガチャガチャと鳥ちゃんの家を作り出し、アスラン様は肩をすくめると言った。
「すぐに出来るさ。それと、シェリー。その……胸元に入れるのはやめないか?」
「え?」
真面目にそういわれ、私は確かに生き物を洋服の中に入れるのは、生き物にとって危ないなと思いうなずいた。
「わかりました。そうですよね。生き物をこんな狭い所に入れたら危ないですよね」
「う……うむ。そうだな」
さすがはアスラン様だ。
私はもっと自分も色々と考えながら行動しなくてはいけないなと反省して鳥ちゃんを机の上へと乗せると、鳥ちゃんがアスラン様の方を見て、ぎろりと目を輝かせる。
そしてアスラン様は視線が合うと、お互いに睨みつけ合っており、なんだろうかと私は小首を傾げた。
「鳥ちゃん?」
「ピヨぉ~?」
私の方を向くと、可愛らしく私と同じように首を傾げて見せる。
睨み合っていると思ったのは私の気のせいだったのかもしれない。
しばらくすると、三人は意気揚々とした表情で鳥ちゃんの家を机の上へと置いた。
最初はどんなものを作っているのだろうかと思っていたけれど、それは純銀製の美しい鳥かごであった。
鳥かごの上部には、特殊魔法石を加工した物が取り付けられており、揺れるとそれが光に反射してきらめく。
可愛いなぁと思っていると、鳥ちゃんがいきようようと鳥かごの中へと入った。
止まり木の他に、ビーズのようなおもちゃ。そして寝床もついており、至れり尽くせりの鳥かごだなと思っていると、三人が意気揚々と説明を始めた。
「この上部に付けた特殊魔石によって、室内温度は鳥の最適な温度に保たれるの!」
「それだけじゃないぜ! この水入れは魔法具を改良して水を循環させ、常に綺麗な水が保たれる仕組みだ! エサ入れも全自動だぜ!」
「さらにねぇ! 常に鳥かごの中を清潔に保てるように! 鳥の羽や排せつ物なども自動的に処理してくれるように仕組まれているのだぁ!」
楽しそうに声を上げる三人に、私はパチパチと拍手を送る。
これだけの設備があれば、鳥ちゃんもきっと心地よく過ごせることだろう。
鳥ちゃんは鳥かごの中で少し瞼を閉じて、うとうととし始めている。
「そりゃあ疲れたよねぇ」
私がそう呟くと、ベスさんが鳥かごの入り口についているボタンを押した。すると、うっすらと鳥ちゃんのかごの周りにベールが覆う。
「静かに、明るさが調節できるようにしてあるの。ふふふ。至れり尽くせり!」
これは快適だろうなぁと思っていると、鳥ちゃんは瞼を閉じてすぴすぴと眠り始めた。
私達はそれを見つめながらほうと息をつく。
「可愛い」
「ふわふわのもこもこだな」
「癒しだねぇ」
しばらくの間、私達はそれを見守っていたのだけれど、ベスさんがハッとしたように口を開いた。
「そうだ! 魔法具色々と渡していたけれど、試して使う機会あった? 改良点を見つけたいから、使用していたら教えてほしいな」
その言葉に私はうなずく。
「とても役に立ちました! すごく使いやすかったです」
「それなら良かったわ。じゃあ、具体的にどういうふうに使ったか、それと所感を教えて」
私はうなずくと、使用した魔術具を机の上に並べながら、ベスさんたちに話をしていったのであった。
魔術具の話が終わった後、三人はなるほどとそれをまとめていきながらうなずき、一度私が使用した魔術具を回収し、メンテナンスを始めたのであった。
その間、アスラン様は机の上で何やら別の魔術具を作り始めており、私は魔術塔の皆は仕事熱心だなぁと思ったのであった。
アスラン様は私達が話が終わるのを見ると立ち上がり、作っていた魔術具をもってこちらへとやって来た。
「何を作っていたのですか?」
「これだ。ほら、鳥が空を飛んでいて迷子になったら大変だからな。鳥がいなくなった時に捜索できるように、魔法具の足輪を作った。自動的に足の大きさに合わせて変形するようにしてある」
「なら、鳥ちゃんがもし大きくなっても大丈夫ですね」
「あぁ……だが、この鳥の正体について、もっと正確に把握したいものだな。後で私は図書館に調べに行こうと思う」
「あ、私も行きます!」
「一緒に行こう」
私達は微笑み合い、鳥ちゃんについて少しでも情報を得られないか調べに向かったのであった。
読んでくださる皆様に感謝です(´∀`*)ウフフ
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