表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書き出し祭り・感想  作者: 遊月奈喩多
第24回書き出し祭り分
90/103

24-2-4『百合の嵐〜王太子と王太子妃が仮面夫婦だから離婚させてわたしが主役になります』本文感想

 皆様こんにちはこんばんは、遊月奈喩多と申すものでございます!

 このお話はあれですね、ノンケお姉さまを落としてやるぜ!と意気込んでいる女の子の気配がむんむんに漂う、百合っぽいタイあらで全米を魅了していたお話でしたね。

 さてさて、どんなお話なのか……!

 それは、百合と呼ぶにはあまりに無垢な親愛。

 そう、愛とは愛欲と別の何かだったのかも知れない。

 読み終わった瞬間、会社の休憩所でそんなことを思った遊月奈喩多なのであった────。


 ということで、性を貪る男たちの園で気高く咲こうとする一輪の薔薇、そしてそんな薔薇の美しさを守るために自らの身を捧げた一輪の百合が織り成す、それぞれの形での自己犠牲を描いた退廃(デカダンス)物語(Roman)でしたね。

 誰ですか、『好きな女が他所に嫁いだから身体を使って引き離して、それから本懐を遂げようという、わりと前向きな情動の窺える百合ですね。遊月知ってるんだ!』なんて言ったのは。そうです、筆者ですね。


 この痛ましさ、いいですよね。

 そう、読み終えた瞬間に訪れる、この胸の痛み。

 我々人類は、この胸の痛みを後生大事に抱えて生きていける生き物なのです。実際相当胸にくるお話じゃないですか。相手の幸せのためならその相手から疎まれても構わないという、尊く、しかしあまりにも独りよがりな献身。

 そう、こういう胸の痛みを味わえるのが小説の醍醐味なんですよね。筆者自身の初期衝動を思い出すことのできた、とても胸の痛む、素晴らしい書き出しでした。

 前書きに引き続き、遊月です。

 いやぁ……壮絶な書き出しでしたね。なんというか、ヒロインたちそれぞれの“自己犠牲”の他に、それらが『犠牲』などではなく当たり前のこととして、彼女らの心情などおよそ省みることすらなく回っている作中世界に対する何かしらの怒りのようなものすら感じる筆致に、筆者思わずスタンディングオベーションしてしまいました(当たり前ですが下ネタではないですよ)。

 正直筆者、この書き出しを読んだ直後には「ローズ嬢も何やかんやでリスグラシュー嬢の気持ちに気付いて、終盤辺りに訪れるであろう戦火に紛れて行方を眩まし、最後にはふたりが幸せに暮らしているらしいことが示唆される(明示されるのでは風情がないので示唆程度でいいと思う)終わりになるのかな」なんていう期待……いや、妄想をしてしまいました。


 けれど、こんな心の震える悲劇(書き出し)を書ける方が、そんな甘っちょろい話でお茶を濁すような真似をするはずがないんですよね。だって書き出しの時点でここまでローズ嬢とリスグラシュー嬢の生きづらさや苦しみ、怒りを濃密に書ける方が、そんな下手を打つとは思えないのです。恐らくこの物語は、誰ひとり救われることのない結末を迎えるはずです。そう覚悟せずにはいられない、迫力満点の書き出しでございました。

 これはタイあらに騙されましたね。きっとこれは百合だイヤッホーゥなどと騒いでいた自分を恥じますし、やはりね……こういうタイあらで騙してくるタイプのお話って、やられてみると非常に気持ちがいいです。トリックアートを見て『えっ!?』と驚いた後のような、そんな心地よさすら感じてしまう。やっぱり、こういう驚きが大事ですよね、エンタメってね。


 ということで、やっぱり悲劇っていいよねという言葉を添えて、『百合の嵐〜王太子と王太子妃が仮面夫婦だから離婚させてわたしが主役になります』の感想とさせていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ