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パッチワークソウル 第一部  作者: 津蔵坂あけび
Chapter 4. そして俺は母を知る。
42/53

毒と毒姫③


<another side>


「……、おかあ……さん……?」


 思わず口があんぐりと開いて塞がらなくなった。

 彼女、スカーレットの母親が自分の記憶する母親、木枯鏡花と瓜二つであったからだ。


「どうしたの? 知り合いでもいた?」


 スカーレットがにっこりと笑いかける。

 よくよく考えれば知り合いなどいるはずもない。スカーレットが存命していた頃といえば、それこそ七百年前になる。魔女や魔導士は長命のものもいるが、数百年の永い時を生きるような者は数えるほどしかいない。

 それに、スカーレットの血族は――


「もし、知り合いだったら相当な奇縁ね。あたしの母親は、ミラージュ・ホーエンハイム。父親はゼルディウス・ホーエンハイム。あたしは、由緒正しい魔導家ホーエンハイム家のひとり娘で、両親はどちらも王国お抱えの魔導士で、あなたが生きている現代では、伝説の人物となっているわ。あなたも魔導科の優等生ならば、耳にタコができるくらい聞いた名前でしょ?」


 そう。スカーレットの父親は、ゼルディウス。

 魔導の発展に多大なる功績を残した伝説の魔導士。とくに軍事魔法について、その功績が大きく、蓄電池のように魔力を貯める装置、プール。魔力を増幅させるアンプリファー。そしてそれらに媒体として使われる魔導植物や魔導器の開発および改良、魔方陣の設計などを行った。彼が築いたものは、今現在でもあらゆる魔法の基礎となっている。

 母親の名前は、ミラージュ。

 ゼルディウスとともに魔導の発展に多大な功績を残した魔女。そして、ゼルディウスの妻。夫とは対照的に病気やケガ、心の痛みを治癒する治療魔法および魔導薬において貢献。

 そして、この夫妻について抑えておきたいのは、魔力による人造人間、レプリカの創造。不老不死を可能にする魔法を追求し、今現在も生きているという伝説がある、「死を恐れし魔導士」の三人に数えられている。

 ゼルディウス、ミラージュ、ラグドール。

 その三人の名前は、魔導科の授業でひっきりなしに出てくる。


 頭がくらくらしてきた。

 スカーレットの記憶をもとに創ったハリボテとはいえ、今いる空間は「伝説」で塗り固められている。いや、そもそもその両親を持つ娘と実際に話しているし、スカーレットが、「毒と毒姫」の伝説にある「毒」であることも確実。


(よくよく考えたらあたし、魔導科専攻生にとってこの上なく、羨ましい状況なのでは……?)


 そう考えると自然と口角が上がってくる。


「なにをにやけているの?」


 カーテンをちょっとだけ開けて外の世界を眺めていたスカーレットが、まるで背中に目がついているかのように、風香の表情を読み取って話しかけてきた。


「えっ、い、いや……」

「変なコね。あなた、自分の状況、わかってないの?」


 今風香がいるのは、スカーレットの意識の中の世界。

 その外側では、スカーレットは自分の意思とは無関係に、風香をじわじわと苦しめ、殺そうとしている。普通に考えれば、死の恐怖におののいて、肩を震わせていてもおかしくない。


「……怖くないとは言わないけれど。あたしは、あなたに‘自分を殺そうとしている外道’と見るような態度はとりたくない」

「あたしに憐れみでも向けようって言うの?


 なかなか奇特なこと言ってくれるじゃない」


 ぞくり。

 なんだろう。スカーレットは見てくれは、いたいけな少女なのに。清らかで見とれてしまうほど美しいのに。時折、身体が凍り付いてしまいそうなほどの冷たい気配を放つ。

 毒。それは、世界を破滅させるほどの力を持つ、恐ろしい何か。

 伝説はそう謳っている。それが何なのか。その毒を目の前にしても、よく分からない。だけれど、得体の知れない、底の知れない何かに対する恐怖。スカーレットから感じる冷たい気配がそれだというなら。


「スカーレット、あまり外を覗くな。アサシンがうろついているかもしれない」


(ゼゼゼ、ゼルディウスがしゃべったぁあああああっ! どうしよう、あたし。伝説の人物の肉声を聞いちゃってる。これって、実感として湧かないかもしれないけれど、生粋の歴女が織田信長の生の声を聞いたとしたら、マジで昇天しちゃうよね。うん。これはあたしの人生の中で、もっともテンションが上がってもおかしくない瞬間だわっ! って、あたしもうすぐ死ぬんだっけ……)


「やだ。お外ぜんぜん知らないんだもん」

「お外なら、いつも遊んでるでしょ」


 肩をトントンと優しくたたいてなだめるスカーレットの母親、ミラージュ。ゼルディウスが口を開いたのを皮切りに、スカーレットまで記憶の中の役に没入したようになり、風香との会話をしなくなった。


(あーあ、あたし、もう死んじゃうのか……。木枯風香。僅か十四歳でこの世を去るなんて、あたしって世界一不幸な美少女……)


「――やしきのなかにわは、お外じゃないもん。やしきのいけがきの向こうがお外なんだもん」


「やはり政府からの要請のあった魔法を完成させないといけないか……」

「完成させれば、護衛を国がつけてくれるものね。この娘を守るためだもの。……あまり、進んでやりたくはないけれど」

「何をいまさら……。お前、スカーレットを産んでからおかしいぞ。魔法には、生き血どころか、経血、精液だって使う」

「やめてっ、子供の前よっ」


 ミラージュが強い口調で、ゼルディウスを制止した。


「――私はただ、魔法が綺麗ごとだけでできてるわけではないということを教えたかっただけだ。お前もそれくらいは分かっているだろ」

「……。だけど……」


「私は軍事魔法を開発している。お前も治療魔法とはいえ、それに使う魔導薬の中には倫理観を著しく欠いた製法の物もある。こんなことは言いたくはないが……、政府の要請に結果を出せずにいるのは、お前の迷いも大きい」

「私に黒猫を殺せと言うのっ!」


 攻められたミラージュは逆上し、大声を上げた後に自らの口を手で抑えた。言ってはいけないことを言ってしまった。思わず涙目になりながらスカーレットを見やる。

 スカーレットは目を合わせてくれない。

 やがて、似合わないくらいに低い声でこう返した。


「しってたよ」


 ミラージュは目を見開いた。


「人間が死なない魔法のために、黒猫をころすんでしょ?」

「あ、あなたっ、今開発中の魔導薬のことをスカーレットに話したのっ!?」


「ちがうっ! あたし……、内緒でミーアと遊んでいただけだったから。ミーアがいなくなって気付いた」

「ミーア……? スカーレット、屋敷の地下室には入っちゃいけないって言ったで……」


 ミラージュは途中で何も言えなくなってしまった。

 

「ごめんなさい。ちかしつからいろんな動物の鳴き声が聞こえたから、あたし、ないしょで遊んでた。黒猫は九匹いた。トカゲとか、お魚。犬に鹿、馬、豚、あとハシビロコウもいた。全然動かなかった。カピバラさんもいた。大体寝てた。


 でも……、何回か遊びに行くうちにわかったの」


 魔導薬の中には倫理観を著しく欠いた製法の物もある。

 魔法に使う薬、魔導薬には、自然界にある魔力が凝縮された物を使用する。果実や球根、花を使うようなものもあるが、動物の血肉を使ったり、経血に精液、胎児も使うものもある。生きたまま煮え湯に放り込んで煮出したり、丸ごとすり潰したものを使ったりと残酷極まりないものもある。生命が、苦しみ悶え、断末魔を上げる。それも魔力の源として欠かせない。


「……、おともだちが、いなくなっていくの」


 そんな非人道的な製法で魔導薬を作っている自分が、その魔導薬のために殺す動物を地下に保管していた自分が、地下室に黙って忍び込んでいた娘をどうやって叱ればいいのだろう。


「――ミーアって名前は、あなたが考えたの?」

「うん。他にもキャシーとか、エイミー、ナンシー、クロ、右大臣業平兼倶安孫うだいじんなりひらかねともあそん、クロ2号、クロ3号、クロとばして997号とかいたんだよ」


「……う、うん。なんか、途中にむちゃくちゃ変なこだわりの名前がいたりするのに、最終的に適当になっていく感じが、子供っぽくていいと思う」


 なにより、娘は、自分が名前など付けずに無頓着に扱っていた猫たちに、名前を付けて可愛がっていた。

 自分が娘を叱る権利があるのかどうか、分からなくなった。

 だけど、娘は自分に向かって頭を下げて、「ごめんなさい」と謝った。ミラージュは、いたたまれない気持ちを隠せず、自分の服の襟元のフリルを握りつぶした。


「スカーレット、あれはお友達なんかじゃない。魔導薬の材料だ。材料に変な感情を持つな」


 冷たい言葉を吐く夫に反論もしたい。

 だが、夫の言う通り、それは正論だ。そして、それをスカーレットを産むまでは、自身も平気で口にしていた。――そう、夫が言った通り、ミラージュは、スカーレットを産んでから、魔導の研究が手につかなくなってしまった。



「――ねえ、あたし。まほう、きらい」



 スカーレットの言葉に、ゼルディウスとミラージュは口をあんぐりと開けた。

 スカーレットは血筋から考えて、両親以上の魔導士になってもおかしくない。ふたりはスカーレットに魔導士としての英才教育を行っていた。非人道的な魔法に関しても、ゆくゆくは教えていくつもりだった。

 彼女には、由緒正しい魔導家の血筋を継いでもらうつもりだったのだ。そんな彼女が魔法を嫌いと言った。


「何を馬鹿な事言ってるんだ」

「バカじゃないもん。大マジメだもん! 知ってるもん。あたし、父さんと母さんで創ってる魔法のこと。‘命を創る魔法’、‘死を無くす魔法’」


「そうよ。あなたも、自分が可愛がっているお友達が死んじゃったら悲しいでしょ。お母さんと、お父さんはそれを無くす魔法を創ってるのよ」


 そこで納得してくれるどころか、スカーレットはまるでミラージュとゼルディウスに、半ば憐れむような視線を送ってきた。


「母さん言ったよね。あたしがお花を摘むときに」


『ちゃんといただきますって、心の中で言うのよ』

『どーして?』


 ミラージュの頭の中に、スカーレットと一緒に中庭の花を初めて摘んだ時の光景が思い浮かぶ。あのとき自分は、親として娘に『いのち』という言葉を初めて教えた。


『花にも命がある』

『いのち……?』


『そう、命はそのお花にとって、ひとつしかないものなの。だからそれをいただくときは、ちゃんといただきますって言うのよ』

『う、うん!』


 命。それは、生きているものにとってひとつしかない。

 だから、大切にして、敬意を払わなければいけない。


「もし、死がなくなったら。命はひとつだけじゃなくなる。そしたらきっと、みんなだんだん、命を大切にしなくなる……。そんなの、世界が壊れちゃうよっ」


 なにも反論できない。


 ミラージュは知っていた。

 命を創る魔法は、戦争の兵力を増やすため。死を無くす魔法は、戦争で散っていた命を呼び戻すため。完成すれば、必要な兵力を循環できる。その循環の中で、やがて兵士は物と化し、命の価値を失う。

 軍事魔法だけならば、まだ救いはある。

 だがこれを富裕層は、こぞって欲しがるだろう。民間人も例に漏れず。もし、不死の魔法が完成し、蔓延すれば――


 なにも反論できない。なによりも、今自分が行っている研究は、あのとき『いのち』の意味を娘に教えた自分と、限りなく矛盾してしまっている。


(ああ、もうすぐ死ぬんだったら。せめて、もっとお兄ちゃんに色んなことしてあげたかったなあ。お兄ちゃんのお布団の匂い嗅ぎたかったし。お兄ちゃんと一緒にお風呂に入りたかったし。お兄ちゃんと一緒にベッドで、え、そんなっ、お兄ちゃんああ見えてスケベなの、あたし知ってるんだからっ。あ、やばっ、お兄ちゃんのベッドの下にあったエッチな本。中にある妹ネタが秀逸すぎて、内緒で借りてたんだった。……ああ、どうしよう。あたしが死んだ後に、妹がお兄ちゃんのエッチな本借りてましたとか、あたし恥ずかしすぎて、死んでも死にきれないよー!)


「せっかくのシリアスな回想シーン、ぶち壊すなぁあああああっ! この変態ブラコンがぁあああっ!」


 役柄に没入していたはずのスカーレットが、いきなり風香の頬を平手で打ってぶっ飛ばした。風香は勢いに任せて、馬車の籠の壁面に額を強打する。血がだらりと垂れる。


「ちゃんと、あたしの話聞いてたの?」

「え、えっと……。猫の名前が、右大臣業平兼倶安孫うだいじんなりひらかねともあそんだっけ? なかなか個性的なセンスを」

「どうでもいいところだけ、覚えてるのね……」


「――いいわ。話を聞かないあなたでも、あたしの気持ちを分からせてあげる」


 馬車の中で繰り広げられていた記憶活劇は、停止ボタンを押したように進まなくなった。記憶活劇から抜け出した時間の流れの中で、スカーレットは白い掌を風香の額に押し当ててきた。

 まただ。あの冷たい気配を、再びスカーレットは放つ。


「耳を塞がないでね」


 彼女の艶やかな唇がそう動くと、風香の両耳に言葉の雪崩が襲い掛かってきた。


 ――なぜだ。なぜ、生き返らないっ! お前のために、何万人の処女の肉を捧げたんだぞ! 黒猫の生き血、イモリの磨り潰し。なんでもあげたっ! なのに! なのに!

 ――ちがうちがう! こんなの出来損ないだ! お前はスカーレットの声を持っていても、顔がぐちゃぐちゃじゃないか!

 ――お前には心がない。表情の変化がない。お前はスカーレットじゃないっ!

 ――新しくスカーレットを創ることは無理そうね……。

 ――なあ、心は痛むが。

 ――あなた、スカーレットの死体を実験台にする気?

 ――ああ。スカーレットの成り損ねを創るのに疲れてしまった。これ以上、スカーレットでないスカーレットを創るのに嫌気がさした。

 ――でも、それでもし、スカーレット自体が、スカーレットでない何かになってしまったら。私たち、あの娘を永久に失うことになるのよ。そんなの……、そんなの耐えられない。

 ――だったら、お前は、スカーレットの成り損ねを創っては、殺して、創っては殺してを繰り返せばいいっ! もう! もう! スカーレットが死んで、スカーレットの蘇生魔法を研究してから百年も経った! 死から逃れるために、自分自身に不死の魔法をかけ続け、ここでずっと、ずっとスカーレットの死体の前で、研究に明け暮れて、もう頭がおかしくなりそうだっ!!!

 ――スカーレット、帰って来い。

 ――スカーレット、帰って来い。お願いだ。私を独りにしないでくれ。なにだ? 何が足りないんだ。スカーレット、答えてくれよ。もっと、もっと魔力が欲しいのか。魔力が足りないのか。

 ――最高品種のユグドラシルをお前に植えた。スカーレット。これでお前に、膨大な魔力を与えることができる。あらゆる魔力は命をもとに創られる。もし、その逆方向が可能ならば、お前に与えた魔力がいつか、本当のお前を蘇らせるだろう。これ以上、偽物のお前で私を苦しめないでくれ。

 ――もう、三百年は経っただろう。もう、お前に数え切れない命を殺して与えた。なのに、お前は帰らない。スカーレット。もう私はお前の声さえ忘れてしまったよ。スカーレット、いつになったら帰ってくる。あと何年だ。あと何十年、いや何百年か。幸い、私はいつまでも待てる。いつでもいつまでも。

 ――待っているよ。スカーレット

 ――スカーレット、帰って来い。帰ってくるんだっ! スカーレット!

 ――スカーレット、お前を奪ったのは、誰でもない。お前を奪ったのは神様のいたずらか何か。お前は何も悪いことをしていない。誰の恨みを買ったわけでもない。お前は誰かに殺されたわけじゃない。ただの事故だ。くふ……ふふふ……。ふはははははっ! なんだよ! なんだよ! それ! 私からスカーレットを奪ったのが、‘ただの’事故? ただってなんだよ! ただって! そんな不条理に私は、四百年の歳月を費やしたのかっ! なんて、なんて……。この世に神も仏もないとはよく言ったものだ……。全知全能の神でもいれば、お前の死も、歴史の過ちとして修正できる。そうだ……、創ってしまえばいい。そうすれば、この世界も、歴史も、お前を殺したという神様の悪戯とかいうやつもすべて、修正できる。スカーレット、喜べ! お前には、何でもできる力を与えてやるっ! お前も不服なんだろう? この私が、伝説の魔導士であるこの私、ゼルディウスが、世界の魔導士から称えられながら、実の娘ひとりすら救えないでいる。こんな不甲斐ない世界が、満足ならないんだろ! だから、だから帰ってこないんだろ! 創ってやる。創ってやる。お前に、死を超越する力を。事実を修正する力を。時の理を乱す力を。私からお前を奪った不条理も、私からお前が奪われていた四百年も、それですべてチャラだっ! 魔法は、不可能を無くすためにあるんだ! スカーレット、お前は神になれるんだ。

 ――スカーレット。スカーレット。お前は神になれるんだっ!!


 呼吸する間もなく、悲しみに沈み、歪んでいく男の声が耳の中から前頭葉に向かって流し込まれる。


「やめてっ!」


 息を荒くしながらなんとか、スカーレットの掌を払いのけた。開けた視界の中で、スカーレットは苦しむ風香を嘲笑っていた。そこには、あのいたいけな様子は微塵も残っていない。代わりにあの、得体の知れない冷たい気配が、彼女に憑りいているようだった。


「今のが、あたしを七百年にわたって苦しめ続けてきた現実よ。あなたにはあたしの中で響き続ける声のたった、十数秒分を聞いてもらったの。あたしは、さっきの声をもう、数百年は聞いているわ」


「あ、あなた……今の顔見て見なさいよ。子供がするような顔じゃないわよ」

「あたしを子供だと思ってんじゃないわよっ! あたしはね、七百年という自分自身が生きた歳月を口実にして、自分を特別視できる。どれだけ歪んでも、あたしの苦しみは誰にも分からないと居直られるの! 永く生きれば、正しい方向に向かっていくなんて間違い。せいぜい、自分を正統化する麻薬程度にしかならないのよ! あたしが、一番苦しんでいるのは、悠久の時間ときの流れの中で、壊れざるを得ない、自分が愛していた家族と自分自身……」


 彼女は肩を震わせて、頬に涙を滝のように流し、目を血走らせ、眼球をぴくぴくと動かしながら、口角を引きつらせて、口元をひん剥いて、痙攣するように、ひっ、ひっ、ひっ、と小刻みに笑う。


「あなたが、あたしを毒というならば、あたしにとっての毒は、このあたしを苦しめる悠久の時間ときよ」


 自嘲と、憎しみと、怒りと、嫉妬、羨望、悲愴。何もかも入り混じった複雑な表情に風香は、顔をこわばらせて狭い馬車の中で後ずさりをし、籠の壁面に背中を擦りつけた。


<おまけSSその83>

~新企画:登場人物のプロフィールその5~

渦中安奈かちゅう あんな

年齢:16歳

血液型:A型

誕生日:4月7日(おひつじ座)

身長:162cm

スリーサイズ:75(C)、58、85

好きな食べ物:ステーキ

好きなお菓子:バニラアイス

好きな飲み物:いちご牛乳

好きな色:赤色

趣味:ビーズアクセサリー造り(ただし下手)

特技:だいたい不器用、ちょっとバカなので特筆すべき特技はない。

運動神経:女子の中では上位に入るくらい。

性格などの詳細:ナイトウォーカー三人組のひとり。赤髪のツインテールであり、好戦的な表情をよくする。本人はイメージカラーが赤であることを理由に、自分こそリーダーだと思っている節があるが、まったくもって認められていない。魔具としてトライデントを使い、水系の魔法と、幻覚魔法と融合させた結界魔法を駆使するなど、魔力は相当高く、技術は複雑である。その際にイメージとして海を使うが、目にしただけで触った時のぬめぬめした感触を思い出して鳥肌が立つという極度の魚嫌いであり、すぐに結界を保つ精神力がなくなってしまう。彼女とデートすることがあったら絶対に水族館に行ってはいけない。また、魚介類が苦手なのに、魔力のイメージとして海を使うことを「頭が悪い」と美月に指摘されて、逆上したことがあるとおり、かなり思考回路がズレていて、突っ走りやすい。その上、手先が不器用で、作業をさせると大体ケガをする。実はかなりの乙女志向で、魔力のイメージとして海を使うのは、彼氏と海水浴することに憧れているから(ちなみに彼氏はいない)。などなど、ナイトウォーカー三人組の全員に共通するが、木枯唯を狙うてきたいキャラなのに憎めない面を持ち合わせている。もちろん、忘れられガチかもしれないが、日光に当たることができない(ナイトウォーカーの呪い)。


<おまけSSその84>

~新企画:登場人物のプロフィールその6~

李雷雷りー らいらい

年齢:15歳

血液型:B型

誕生日:2月25日(うお座)

身長:166cm

スリーサイズ:91(G)、62、90

好きな食べ物:激辛料理

好きなお菓子:激辛キャンディ

好きな飲み物:タバスコソーダ(タバスコをソーダで割ってつくる特製ドリンク)

好きな色:黄色

趣味:料理(もちろん激辛)、いかがわしい本やビデオを見る

特技:パルクール、ブレイクダンス、ヨガ

運動神経:常人の域を超えた身体能力

性格などの詳細:同じくナイトウォーカー三人組のひとり。金髪碧眼のポニーテールでクールな表情を浮かべていることが多い。トレードマークとして棒付きキャンディを舐めており、どこかふて腐れたような印象を醸し出している。口調はどこか乱暴で、感嘆詞などは中国語が混じる。非常に発育がよく、身長も高めで凹凸の激しいグラマラスな体型をしている。それを本人も自覚しているのか、きわどいスリットの入ったチャイナ服を好んで着用している。趣味として、パルクールやブレイクダンスをしており、雑技団・スタントマン並みの身体能力を発揮する。魔具は高圧電線で、鞭のように扱いながら触れたものに高圧電流をお見舞いするだが、電撃魔法以外の魔法はさほど得意ではなく、魔法としての多様性はない分、それを体術や戦術で補う戦い方をする。

 かつては中国本土、内モンゴルの砂漠地域にて、世を忍んで暮らす遊牧民族、砂の民の一員であったが、砂の民は全員がナイトウォーカーであったため、魔力によって人造人間を作り出す魔法の標本として狙われていた。砂の民の族長は、日光にまつわる伝承を砂の民の中に流し、妄信させ、砂の民丸ごとを心中させようとした。雷雷本人は速聴と親しいが故に、この伝承を見破り、生き延びる。だが、その際に妹の砂子シャーズーの死を目の当たりにし、以来、自分より年齢が低い子供に対してトラウマを抱くようになる。ちなみに、男子も顔負けのドスケベであり、いかがわしい本やビデオを毎日のように鑑賞している。これは、砂の民の族長が筋金入りのスケベであったためである。

 また、極度の激辛マニアであり、舐めている棒付きキャンディもハバネロを水あめで固めて作った特製キャンディである。常にデスソースを携帯しており、一品に対して一瓶丸ごと以上という殺人的な量を放り込む。料理をさせてもその悪癖は相変わらずで、最後の味付けを除けば、下ごしらえから調理まで完璧にやってのけるのに、最後に盛大に香辛料をぶちまけて台無しにする。こちらも敵対キャラなのに、憎めない。そして、盛り込みすぎなキャラ造形である。

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