80~城壁の扉が開いた!
「ドロテア達が落として行ったところをみると、もしやこれは?」
「城壁の扉の鍵?」
「ニルス、やってみるか?」
興味本位。城の男たちはぞろぞろと庭に出た。
「テオドール。もしこれがその鍵だとしても外には丸太が噛んであるよ。この鍵だけあっても」
「そうだけど、扉の鍵であるのか確かめるだけでもな。奴らは落として行ったんだ。もし取り返しに戻って来ても知らぬ存ぜぬ」
「持っていればいつかチャンスがってことだね?」
「そういうことっ」
13人の男たちは城壁の前に立った。
「ニルス、鍵穴に刺してみな」
ニルスはテオドールに言われると、その鍵を扉の鍵穴に刺した。
ガチャ クルッ
「あ!廻った!手ごたえが!」
ーーーーーーーーーーー
『こいつらは鍵を持っていないということか、、、』
「しかしゲルーダ様。ドロテア達は丸太はかって行きましたが鍵を掛けて行ったかはわかりませんよ。一度丸太を外して扉を引っ張ってみては?」
『そうだな。セシーリア、やってみようか?』
「無理だ、無理だ。開きはせん。やめておけ。それよりも早く紐を解いてくれ」
ミカルが口を挟んだ。
『鍵と引き換えのはず。まだ外せない』
「チッ」
『セシーリア、皆を呼んで来てくれ。丸太を外してみよう』
鉄兜といわれる女達は、セシーリアに扉の前まで呼び出されると、皆で丸太を持ち上げた。
ドン!
「もうひとつ!」
ドン!
「あッ!!!」
ギイイィィィ バッタ~ン!
『あれ?』
目が合った。
『え!?あッ~!』
ゲルーダは目の前に現れた男たちに、声をひっくり返して驚いた。
「あ~!マズい!見つかったぁ~!」
城内から扉を開けた13人の男たちは悲鳴を上げると、ビックリしてそのまま後ろにひっくり返った。
時を同じくして、扉は両側からバタンと開いたのだ。
『開いた』
「開いたッ」
ひっくり返った男たちは、すぐに立ち上がり城に逃げ込もうと走り出したが、ラーシュだけは何事も無かったかのように汚れたタイツを叩きながらそこに居座った。
「なんだお前ら? 何の用だ? しかも女だらけでぞろぞろと」
『ほ~、その態度。逃げないところをみるとお前が新入りだね?』
「それが?」
『悪いが私たちは何もしない。逃げた男たちを呼び戻しておくれ』
「まだそこにいるじゃん。自分で呼びなよ。
しかしお前ら。顔はお綺麗。だけど体は重装備。そりゃあ皆逃げるよなッ」
『いいから呼び戻してくれ。私の声じゃあ逃げる一方だよ』
「おーい!! 皆~!このお姉さまが戻って来いってよ~!何もしないって言ってるよ~!」
それは鉄兜を被っていない女。しかし胸元の鎖帷子を見た男たちはそれが鉄兜の集団だと思った。
逃げた男たちが後ろを振り返ると、扉の前に立っていたのは金髪を靡かせた美しい女たちであった。
「あれ?誰だ?あいつら?」
「もしかして、あいつらが鉄兜?」




