79~そこは触るな!鍵じゃない!
『出しなっ!鍵を!』
「出せるわけがないだろうっ! 両手を縛られてるんだっ!」
『あ、そうだった。けど鍵を貰わねばその紐は解けない』
「じゃ、どうしろって言うんだい?」
『どこにある?』
「どこか胸かタイツの脇のポケットにあるはずだが、、、あれば紐を外してくれるんだな?」
『ああ、もちろん。悪いが手を入れさせてもらうぞ』
「チッ、好きなようにしろっ」
ガサゴソ
『胸のポケットの中には無いな』
「左のポケットは?」
『ない』
「じゃ、タイツか」
ガサゴソ ムニュ~
『なんだ?この小っちゃくてプニュリとしたものは?』
「ばかっ!お前!何をしてるっ!そこは鍵より大事な場所だっ!触るんじゃないっ!」
『失礼。あまりに小さかったので』
「バカにするな、、、お前らが小屋の扉を開けっぱなしにしてるから寒くて縮みあがってるんだ!まったくぅ」
『しかし無い』
「小っちゃくてもあっただろうがぁ!」
『ん?鍵だよ。鍵のこと。どこにもない』
「そんなはずはない」
『セシーリア。他の2人のも触って、、、いや探してみな』
「おいおい、手荒にするな。優しくソフトにだ」
『バカか?何を期待している?』
ガサゴソ ガサゴソ
「ゲルーダさま。この2人のポケットの中にもありません」
『タイツの中は?』
「膨らんでいませんので、無いかと」
『おい、ミカル!どこに隠した!お前が城壁の扉を開けたのは間違いないのだ! 新入りを最初に城内に案内したのはお前だろ!』
「そうだ。俺が開けた」
『だったらあるはずだろう?』
ミカルの後ろで縛られていた兵が言った。
「ミカル。確か鍵は付けっぱなしじゃなかったかい? どうせラーシュを置いてすぐ出て来るんだしって」
「あ、そうだ! この辺りは誰も住んでいないからって、ドロテアさまが来るまで放っておいたんだ!」
『えっ!付けたままぁ~? セシーリア、鍵など付いていたか?』
「いいえ、付いてはおりませんでした」
「そんなはずはないよ」
『あっ! もしかしたらドロテア達は付いたままの鍵をそのまま開けて中に入った? 出るときは慌てながらも鍵だけはしっかりと閉めて行った、、、』
「もしかしたら、開けたのも閉めたのも俺の鍵?!ドロテアさまは自分の鍵は使わなかった?」
『だとしたら、鍵は2つともドロテア達が持って行ってしまった?』
「たぶん、そういうことに、、、」
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『テオドール。このお宝の中に一つジャラジャラした薄汚~いネックレスがあるんだが?』
ラーシュは13品の宝の一つを手に取った。
「どれどれ?見せてみろ」
テオドールはそれを受け取った。
「あ、これは引っ搔かって絡まっているだけだ。宝物じゃない」
ニルスが覗き込んだ。
「何かの鍵のようですね」
画・童晶




