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44/1501

44~ヘルゲ男爵が来ちゃった!

 『裸だ!裸だ!アデリーヌが裸でどこかをうろついているぅ!捜さねばっ!捜さねばっ!』

「ヘルゲ殿!井戸はどうするのですか?!直して置かないとまたドロテアさまがお怒りになられますよ!」


 『ペトラ、、、料理番の身分で何を言っておる。原因は氷だ。もう少し日が照って来ればそのうち融けるっ!』

「この底の魔女の服は?」

 『置いとけ、置いとけ!そのまま井戸の中に。そうすればアデリーヌは裸のまんまだっ。ハハッ』


(バカな男だ。なぜこんな奴が男爵なのだ、、、まっ父親も爵位を持っていたし仕方ないけどさっ)

「お昼のお食事はどうされるんですっ?」


 『いらん!いらん! それより素っ裸のアデリーヌちゃんだ!』



ーーーーーーーー


 ヘルゲは港に近い石畳。ドロテア通りまで走って下った。

耳には帆船のうねる音がバタバタ、ザブザブと聞こえていた。

 『どこに消えたんだろうか? キルケとイワンもどこを捜しておるんだか?』


ヘルゲがキョロキョロとしながら、ヨーセスの店の前に来た時だった。


 ガタッ

店の扉が開いた。

 『ん?ヨーセスはおらんはずだが?』


ヒョイと顔を出したのはトールであった。

 (あ、ヘルゲッ!マズい!)


 『あれ?トールじゃないか? お前、ヨーセスの店で何をしている? ここはドロテアの店でもあるのだぞ』


「あ、あッ。そのぅ、つまりぃ。ヨーセスに店番を頼まれましてぇ」

 『お前に?』

「私では力不足でしょうか?」

 『普通ならキルケに頼むであろう? なぜお前如きに?』

「いえいえ、頼まれたのはキルケです。けど今朝は、、、そうそうヘルゲ殿の館に行かねばならないからと」


 『、、、あ、そうか。うちに来たんだった』

「ねッ」

 

 『しかし、店番て言っても、店を開けてないじゃないか?』

「あ、今からです」


 『そんなことより、お前アデリーヌを見かけんかったか?』

「はて?アデリーヌとは?」


 『魔女だ。可愛い~魔女のアデリーヌちゃんだ。しかも裸』


「いえ、全く。全然。知らない」

(確かに裸同然で店の地下にいるけどさッ、、、)


 

 『ちょっとばかり走って来たので、喉が渇いた。お茶でもあるか?』

「あ、あ、あ~、中にお入りになるということですか?」

 

 『当たり前じゃないかっ。ここはヨーセスの店。金を出してるのはドロテア。ドロテアが出しているという事は、その旦那。つまりわしの店でもある。入れろ』


(回りくど~い!)

「しかしここには湯もありませんし、茶の葉もございませんよ。私は店番を頼まれただけで勝手がわからないですぅ」


 『なら仕方ないな。 お、そうだそうだ。キルケとイワンを見かけなかったか? 奴らにもアデリーヌを捜すように頼んだんだが』

「全く。全然。知らない」


 『店番を頼まれたのがキルケなら、時機にここに戻ってくるであろう? わしは疲れたから、少し店の奥で休ませてくれ。な~に茶はいらんよ。いらん』

そう言うと、ヘルゲは勝手に店の扉を大きく開けた。

※またまた、絵を載せました。

22~夜霧のマウリッツ城。

今回は色付け無しの鉛筆のみ。拙い絵ですが宜しかったら是非。

いつも後載せでごめんなさ~い。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 物事の巡り合せがアデリーヌにとって、よろしくないようで、どうなるのか目が離せませんね。そして、蒸気船がこちらではもう存在しているのですね。いつもながら調べがしっかりされていて、素晴らしいと…
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