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200/1501

200~マウリッツ創成期物語8・「出揃った首長・4つの町と村」

 

挿絵(By みてみん)


ベルゲンにいた先代の王カール1世はやりたい放題に、貴族の移動を命じた。

その下での貴族達はこれに反発。

わずか半年で王の座から引き擦り落ろされた。


 って代わったローマからの王クリスチャンであったが、呼ばれたのは未亡人ドロテアの希望か、元の夫でありカール1世の先代の王クリストファー3世の城コペンハーゲン。


それを良いことに、敗れたカール王は自らがまだ王だとのたまわり、座を退かずベルゲンに居座った。




 

 クリスチャン1世とドロテア王妃の長男オラフはわずか一歳にして亡くなったと記されている。

なぜか?

生まれながらにして脳に障害を持ち、顔半分には大きな黒いあざがあった。

その醜い顔立ちと安定しない精神の子は、クリスチャンスポー城の地下の一室に幽閉され、存在を抹消された。



 専属の見張りの警備兵が、人目に触れぬよう、夜な夜な表に連れ出しては、城壁内の庭園の池で水浴びをさせ、体が固まらないようにかその芝の周りを散歩させていた。


 ベルゲンにいたカールは再奪還を狙っていたのか単なる恨みからなのか、隠れ兵3人をコペンハーゲンに向かわせるとクリスチャンスポー城に侵入させ、月明かりの散歩中のオラフを誘拐した。


 それはいとも簡単に行われた。

知るべくもない長男の存在。

ベルゲンのカールが知る旨となったのは、このクリスチャンスポー城の警備兵の密通以外には考えられない。

 


一緒に散歩していた警備兵はベルゲン兵にこう言った。

「私も一緒に連れて行ってくれ」

懇願した。


 この男。警備兵といえど階級は騎士。

地方の小さな村を治めている身だが、

王の長男オラフの身の回りのことを全てまかなっていた。


 

 名はタリエ。

長男オラフを抱え、城壁の門をくぐり抜けると、ベルゲン兵3人と城をあとにした。


ーーーーーーーーーー


 ベルゲンに着くと驚いた。

カールのもとにいた貴族達は次々と寝返り、コペンハーゲンに向かっていた。


 カール王に次ぐ侯爵や男爵の地位の者はごっぞりと抜け、王族の数人を除くと、タリエの階級は筆頭の貴族であった。


カールはこの穴埋めにと、騎士タリエの階級を6つも上げ、いきなりの侯爵につかせた。


 だが連れて来られた敵の王族の長男オラフ。

ここでも幽閉生活を強いられた。


 人質にとたくらんだカール王であったが、コペンハーゲンのクリスチャンスポー城からは何の騒ぎも聞こえて来ずじまい。



 元々が1歳で死去したという長男の行方。

クリスチャンスポー城では、捜すどころかバレないうちにいなくなって清々とした案配であった。



 結局は使えずじまいの人質。長男オラフ。

この失敗が更にカールの身の回りを追い立てる。


侯爵となったタリエは、度々王を見下すほどの精神的優位を誇り出した。


ベルゲンがタリエ家の街になる事は、さほど遠くはなかった。




 ここにスカンジナビアの4つの町。


タリエ侯爵のベルゲン


ヘルゲ男爵のトロムソ


イブレート侯爵のマウリッツ


ラーシュ公爵のトロムソ西の村


が誕生したのである。


一番上の階級は公爵という爵位のラーシュ家であったのだが。

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