184~ヘルゲとドロテア・秘密の話2
「若い娘? 可愛かったか?」
「お前!食いつくところが違うであろうがッ! あ~!可愛かったさッ! 子供のように可愛かったさ」
「なんだい、、、ガキか」
「そんな連中のことなど知るか! 要はな、そのサヒーヤだ!」
「サ・ファ・イ・ア。訛りおって」
「私の物だ。私が見つけた。今思い出してもゾクゾクするわ。きっと一国は買えるぞ」
「バカな。お前のお爺様は骨にされてこの街に運ばれて来たんだろ? その時点で無いではないか。あったとしてもとっくにそいつらに奪われているさ」
「だから、それを探しているのさ。ベルゲンのタリエ侯爵をそそのかして彼の地までを領土としたのは誰のおかげだ? 私が嫁に来るまではマウリッツの城には入ることさえ出来なかった。あんな極寒の古びた町。だ~れも興味など示さなかった」
「城といいサファイアといい、欲の皮の突っ張った女だ。今の暮らしで充分であろうが?」
「蟹に髪の毛を切り裂かれる暮らしがか? ま~、代々男爵家の小せがれとして生まれて来たボンボンにはわかるまいな」
「そう言えば、お前。なぜあの城に入れたのだ? 中には入れなかったはずだ。それはタリエ侯爵様も御存知だったはず。だから城ごと好きにしろと言ってくれたんじゃないのか?」
「だから、うちに来た奴らのことだ。奴らはあのマウリッツの浜の先をうろうろしていた。マウリッツの民とも懇意にしていたのだ。エスキモーと言う名のマウリッツ人。奴らが父上にこう言っていた。マウリッツの民は生きていると。しかも近くのマーゲロイという島で暮らしている」
「ほう。ペトラがいたとこか。で鍵は? そこにあったということかい?」
「マーゲロイも私らの統治下だ!城の鍵を持っている者がおったら渡せ!とな。その島の首長と取り巻きを集めて聞いたのさ。自分達がマウリッツの末裔などと知っている者はこの世にいないと信じていた奴らは、ひっくり返って驚いたのさ」
「おいおい、お前いつの間にマーゲロイ島に行っておったんじゃ?」
「浜小屋を借りて泊まり込みでな。お前にはマウリッツの実家に戻るといったが。ハハハっ」
「チッ!」
「で、すったもんだの挙句、皆シラを切った。 がだ、その夜その中の一人が小屋に夜這いに来よった」
「お、お色気話か?」
「鍵を持っていると。但し渡すには2つ条件があると」
「なんだ?2つって?2回抱かせろ?か?」
「バカか! 1つはマーゲロイの者がマウリッツの民の末裔というのは二度と口にしないでくれということ。伏せてくれということだ。して、そいつの息子が18になったらヘルゲの街に連れて行ってくれの2つだ」
「ん?息子? そいつはもうこの街に?」
「お前もよく知っているさ。ヨーセスだ。ついでに召使に丁度いいと思ってな、ペトラも連れてきたのさ」
「わしらは互いがなにをしておるのか全く知らぬ同士だな、、、」
「ああ、お前にはまったく興味がないのでな」
「しかし、よくすんなりと鍵を渡したものだ。なにか企み でもあるんじゃないか?」
※第19話「アグニアは海賊?」
に挿絵を掲載。 ただ網の上で焼かれたニシンの絵ですが、、、




