138~ラーシュ物語2・「若い娘が手伝いに?」
※本日は137話と138話。2話投稿しております。
それからというものの、ハッセとハラルは度々ラーシュの家を訪れた。
漁民だと答えたハッセは、その度鮭やニシンの干物を肩にぶら下げやって来た。
『大した仲でもないのにさ、毎回毎回手土産など申し訳ないと言うか、何か企みでもあるのかい?ハハッ』
「なにもないさ。お前が独り身と聞いて苦労が絶えないだろうと思ってな」
『大丈夫さ。俺は畑も作れるし狩りだってできる』
「しかし、作物の種はどこから持って来なすった? 狩りなどと言っても銛の一つも無いのではないか?」
ラーシュは無言でまた西の方向を指差した。
『あっち』
「この家だって、、、どこで木を調達したのだ?屋根は洞になっていただろう?」
『簡単なこと。この家の横にあった小屋をぶっ潰したのさ。それを材料にあっちこっち直したのさッ』
「ほう、なるほど。それで物置小屋が無くなっていた」
『ハッセから頂いた魚もな、この辺りの土を捏ねて作った窯で焼いているよ』
「器用。 しかしなぁ、、、」
『しかし、、なんだい?』
「ラーシュさんは一人で寂しくはないかい? こんな人里離れた丘暮らし。女手のひとつでもあれば」
『いらん!いらん! 俺は気ままに好き勝手。それがいいのだ!』
「ほう。しかし女子一人の手伝いでもおれば、畑仕事ももっともっと捗るし、上手くいく。話し相手にも持って来いでありますよ」
『爺さん。バカを言ってもらっちゃ困る。こんな田舎の丘の上。誰が寄りつくと言うんですか? しかも俺はそいつに金は払えん。無い!』
「金はいらんよ。わしらがたっぷりと魚や肉を持ってきてやる。冬支度の頃にはそれを氷の下で寝かせておけばいい」
『いやに親切じゃないか? しかしその言い方、俺はそのお手伝いの婆さんとでも暮らせというのかい? 手伝いが終われば帰ればいいじゃないか? それにそんな婆さんの当てがあるのかい?』
「手伝いだけで毎日ここを往復させるなど、それこそ大変だ。それにさっきから手伝いの婆さん!婆さん!と、、、」
『若い気の効いた娘でも来てくれるというのかい? ハハハッ』
「ズバリ!!その通~り!」
『は?』
「しかもお前の目ん玉が飛び出るほどのベッピンさんじゃ。歳はぁ、、20くらいだったかな?」
『ハッセの爺さん。俺を騙すんじゃないよ。そんなウマい話があるかよ、、、』
「あるから言っておるんじゃ」
『ほほう。連れて来れるもんなら連れて来な!』
「こんなにも魚を持って来てやってるってのに、、、あそこの斜めだった柱もハラルと2人で真っすぐにしてやったじゃないか。まったくぅ、、、信用せいよッ! 信用しないなら今までの手伝い分、金払えッてんだ!」
『ハハッ!じゃ、楽しみに待っているよ!』
「ビックリして嫁にくれ!とか抜かすんじゃないよ!ハハッ」




