表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

134/1501

134~ヤンは勝利の子

「その粉薬が入っていたイルカの皮袋。粉にまぎれて入っていたのが、この城の図であります。故意に入れた物か、たまたまなのかはわかりませんが、先祖の言い伝えにてございます」


 「しかし爺様はなぜ事もあろうに、敵であるラーシュ家の末裔にアデリーヌを嫁に?」


「その前に。ヨーセス殿はなぜアデリーヌをお捜しに? こんな遠くまで。他に宛てはあったでございましょうに」


 「途中ペトラに会ったのさ。アデリーヌだけではないよ。ヘルゲとドロテアも捜していたのさ。どこに逃げたのかと。そのペトラがこの一本道を2人が逃げたと言っていたから、それで」

「ほう。なぜヘルゲとドロテアは逃げているのです?」


 「海賊が街に火を着けて、館に攻めて来ると脅したのさ。で、火を着けたのはアデリーヌ。着けろと言ったのが俺」


「ハハッ!ヨーセス殿。あなた様は結局なにをなさりたいのですか?」


 「マウリッツの復興さ。皆、待ち望んでいるのさ」

「皆?と言いますと?」


 「マーゲロイの島の者たちだ」

「それはそれは、とてつもなく無理なこと。ヘルゲやドロテアの上には、最大の領主タリエ侯爵が付いておいでになる。とてもとても」


 「爺様はこのままでいいのかい? この片田舎の農夫のままで」

「まあ、それはそれ。バルウ家としてはすでにかたきを打ったも同然」


 「仇? いつ? 誰も殺られてはいないし、ドロテアも意気揚々と男を食い漁ってる。マウリッツも未だヘルゲとドロテアの支配下だ。戦争も小競り合いも起きてはいないよ?」


「戦うだけがかたき討ちではございません。血で戦ったのでありますよ」

 「血?だから闘いだろ?」


「血です」


 「?」


「アデリーヌには子が産まれました」

 「知っている!ヤンであろ?」


「ほ~ぅ! よくご存じでっ! そこまでお知りになるとはっ!」

 「マウリッツの城でラーシュとドロテアがいたす間、子守を頼まれて」

「あれ?いたした?」

 「いたす前に、イブレートの亡霊が出た。逃げた。俺も」


「ハハッ! イブレート・ヨーセスさまがイブレート様の亡霊に逃げなすったとわ!」

 「先祖であってもお化けは怖いんだよっ!」


「しかし、ヤンをお抱きくださった? ヨーセス様に包まれるとは誠にありがたい。やはりヤンはヤンであった」

 「意味がわからないが」



「よろしいですか? わたし達バルウ家は戦わずして勝ったのです」

 「?」


「ラーシュ家の血を取り込んだのでございます。アデリーヌはその血と子種を体内に宿し身籠った。そしてバルウ家という母体から産み落とした。つまり、ラーシュの血はバルウ家の支配下。ヤンは勝利の子であります」

 「爺様、、、恐ろしや、、、」


「しかも偶然にもその子をイブレート様のご子孫様が抱き上げた」


 「?たまたまドロテアが、今日はいたすところをヴィーゴに見せたいと、、、」


「その偶然が必然だったということでありましょう。こういう勝ち方もあるのです」

 

 「ではこの結婚は?!」

※本日、134話「ヤンは勝利の子」

    135話「一角獣ヤン?」

 2話投稿致しております。


いつもお読み頂き誠にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ