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13/1501

13~アデリーヌがいない?

 1 庭の掃き掃除。毎日欠かさず

 2 家の中をくまなく雑巾がけ 毎日欠かさず

 3 草木の手入れ 毎日欠かさず

 4 洗濯 念入りにゴシゴシと 毎日欠かさず

あとはごゆっくり。

ーーーーーーーーーー 


「なんだこれは、ゆっくりなど出来んではないか。しかも、アデリーヌの見張りとは一言も書いておらぬ、、」

 

 ドロテアはヘルゲにその書置きを残して、お気に入りのまき割りの男達と北へ向かった。



その日。

太陽が西に沈み、辺りが暗くなり始めると料理番の婆さんはそぞろに帰って行った。

「ドロテアさまがいないと料理も手が抜けますわ。ハハハ」


この地方の夜は遅い。日が沈んだといっても、かなりの夜更け。


ーーーーーーーー


 「しめしめ。今夜はアデリーヌとわしの2人だけ。見張りの当番は明日の明朝から。今夜しかないのう」


 暗くなってから数時間。ヘルゲは時を見計らって、隣の薪小屋に向かった。

右手にはき出しのロウソクのランプ。小屋のドアを左手でガラと開けた。


 「アデリーヌや。アデリーヌはおるか?」

ヘルゲはそのランプの灯りで床を照らした。

 

挿絵(By みてみん)



「おらんか?アデリーヌ? お返事はっ?」


 「ん?あれ? どこへいった? 寝ておるのか? ならば好都合」

今度は枯葉のベッドにロウソクの火を向けた。


「痛ッ」

床に転がった鉄のいかり。ヘルゲはそれに足を引っかけた。

 「そうか。ここか」

いかりから続く垂れた鎖は枯葉の中。

「おやおや。そうかい。ベッドの中かい? 恥ずかしゅうて枯葉に隠れておるのだな」


ヘルゲは他人には見せられないニタとした顔で、ゆっくりとその鎖を引っ張った。


 ズルズル ジャリン ズルズル ジャリン

枯葉の粉が舞い上がった。


「よいしょ よいしょっと。

アデリーヌや。早よ顔を出せ。へへへぇ」


ジャラリ~ン ジャラジャララ~ン

「ん?」

枯葉のベッドから出てきたのは、鎖の先だった。


「あれ?! アデリーヌがいない?! どうした? 逃げたのか? しかしこの鎖には鍵がしてあったはず。自分では容易にほどけん。どこへいった?」

 ヘルゲはランプをその場に置くと、小屋の中を隅から隅まで探し廻った。

「アデリーヌや。アデリーヌ!」


すると、ヘルゲの背中が一気にポーと明るくなった。

振り向いた。


「あ、マズい!マズい~!」

置いたランプのロウソクの火が、枯葉と薪にメラメラと燃え移った。


 慌てたヘルゲは、周りに落ちていた枯葉をはらうと、重い靴のかかとでその炎を踏み蹴散らした。

バタバタ パッパッ バタバタ パッパッ


「ヤバい!ヤバい!消えろ!消えてくれ!消えんかぁ~!」


「お、そうだ。表に井戸から汲んだ水がある」

ヘルゲは小屋の扉を開けて、水の入ったその桶を担ぐと炎にバシャリとかけた。


「ふえ~。一件落着」

床からは白い蒸気がジュ~と上がった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] うわ~っ! 火事大変! ヘルゲのイラストも素敵です! [一言] いいね押したいです~!
[良い点] ヘルゲのポンコツぶりが想像を絶していますね。とても読みやすくて楽しい場面でした。いっそ燃えてしまえば良いのに、とも思いましたが(笑) [一言] アデリーヌはどこへ行ったんでしょう。あまりに…
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