40話 とある女王の災難
「貴国との戦争に参りました」
この男、我を見てもきおいがないな。
いや、気にしていないといったところか。
豪気なのか阿呆なのか。
いきなり我の前で他の女にプロポーズ。
たぶん阿呆なのだろう。
だがしかしあれはあれでなかなか羨ましい。
しかも五人のうち一人は、我が軍の兵士か。
なかなか面白い男をみつけたな。
大衆の前で、大々的に求婚とはな。
はてさてどんな気分なのか。
「戦争とは穏やかではないな。理由を聞いても?」
「女王さま、理由等簡単ですよ。御宅の軍がこちらに喧嘩を売ってきた。だから売られた喧嘩を買いに来た。それだけですよ」
「こちらが問題をおこしたと?」
「ほらよ。そいつに見覚えは?」
魔動機兵の右腕か。
どこから出した?
上着のポケットか?
腕一本が入る容量の収用の魔方具か。
はっ、目の色を変える阿呆の多いこと。
「ふむ、魔動機兵の腕のようだな」
「その肩についてる紋章は御宅の国の紋章だろ?」
確かに我が国の紋章だ。
「確かに、我が国の紋章だが。これだけで戦争といわれてもな」
「はあ、そういう駆け引きは面倒なんだよ」
なにもない空間に穴?
拘束された魔動機兵が出てきただと!?
あれは紛れもなく我が国のものだな。
「おい、もう一度聞く。お前は俺らに宣戦布告するんだよな?」
「は、なんども言わせるな。我が国相手にやれるものならやってみるがいい」
「ということだ、女王さま」
最悪だな。
どこの愚か者だ。
ふん、青くなっている豚がいるな。
やつは軍務大臣の犬だったか。
「陛下だと? なぜここに陛下が? 貴様、どんな手をつかった? 私を誑かすつもりか!」
「お前の出番は終わったよ。お疲れさん」
「な」
拳の一撃で魔動機兵に大穴か。
なかなかの一撃だ。
「さて、そういうことで戦争に来たんだよ、女王さま」
「無駄かと思うが一応尋ねよう。この国で我に仕えるつもりはないか?」
「嫌だ」
惜しいな、この力。
しかも女ではなく男でこの強さ。
使い道も多岐にわたる。
場合によっては我が夫として迎え入れてもよいほどだが。
あの愚か者のせいでそれは難しいか。
「そうか、残念だ」
壁に隠しておいた12機の魔動機兵。
さてどう対処してみせる?
「そうだよな、さっきから準備していたしな」
ほう、こちらの動きに気づいていたか。
ますますもって惜しいな。
「陛下、お急ぎ下さい」
切りかかった剣ごと腕を吹き飛ばすか。
魔動機兵一機では止められる相手ではないな。
ふん、阿呆ども。
呆気にとられている場合ではないわ!
戦場で動きを止めるなど。
その隙は致命傷だな。
一瞬で三機か。
胸部に大穴、獲物もなしの拳一つでよくやるな。
また一機おちたか。
やつらでは時間稼ぎにもならんな。
ふう、あの愚か者のお陰でとんだ災難だ。
だがしかし、あの愚か者のおかげで暴れられそうだ。
あの強さ、相手は一人だが久しぶりの大戦だ。
我が愛機カシュタンテ、久しぶりだな。
ああ、そうだ。
全力を出させてくれる相手だと嬉しいな。
「おい、女王さま」
奴の後ろに12の残骸。
こいつは想像以上だ。
喜べカシュタンテ、あの男の強さは本物だ。
手加減なしの全力でいくぞ!




