234話
「兄貴、ここが親父達の家だ」
竜牙亭。
まさかの飲食店か。
「ここに来るのも久しぶりですね」
しかも数十年前からあるらしい。
「兄貴もエチゴラのおっちゃんも入ってくれよ」
「お、おう」
結構繁盛してるみたいだな。
売りは竜が狩ってきた新鮮素材とかなのかね?
「アスクリス様、ジスジャージル様、お久しぶりですな」
「お久しぶりですメロゲさん」
「おう、久しぶりだな。メロゲのおっちゃん」
は?
「お、アスクリス様にジスジャージル様。元気でやってるか?」
「ええ、デロナネスさん。お陰さまで」
「おうよ。デロナっさん、オレはいつでも元気だぜ!」
えーと……。
「なあ、ジジ。ここにいるのって、もしかしてみんな竜族か?」
「うーん、だいたいそんな感じかな?」
「旦那さま、ここは竜族の社交場の一つなのですよ」
「クリスの口ぶりだと、かなり前からこのお店があるみたいな感じなんだが」
「そうですね、少なくとも百年以上前からはあるはずですよ」
マジかぁ。
「今までトラブルもなく、よくやってこれたな」
「ここでは基本的に荒事は禁止ですし、そもそも人化を楽しむ竜族も少数派ですから」
「それにな兄貴。ここに来る竜達は穏やかな連中ばかりなんだ」
いや、クリスとジジとダルダロシュさん、ディグラシアさんがいる時点でそれはないだろ。
「旦那さま、呼びましたか?」
「いや、呼んでないぞ。それよりもジジ、親御さんはどちらだ?」
「そういや、親父達はどこだろうな。デロナっさん、親父とお袋は?」
「二人とも裏に引っ込んでるだけじゃねーかな?」
「わかった、あんがとな」
「そんなことよりもよ、アスクリス様」
「なんでしょうか?」
「さっき旦那さまって言ってたよな? もしかしてその隣にいるのが」
「はい、私の旦那さまですよ」
なんだこの空気。
な、なんか店中の視線がこっちに。
「ダルダロシュ様が言っていたことは本当だったのか! まさか暴姫を娶る猛者が本当にいるとは」
暴姫て……。
「うちの甥は腕一本失って帰って来たのに、なんて男だ」
「俺の弟は足一本だ」
「うちの息子なんて穴蔵に閉じ籠って出てこなくなったぞ」
確かに暴姫だな。
クリスさん、なにしでかしてんだよ。
「ということはジスジャージル様の?」
「お、おう。兄貴はオレの……その……夫だ」
ジジさん、そのなんだ。
キャラクターと違う感じは、なんかこっちが恥ずかしくなるんですが。
「みとめん! 認めんぞ!」
「お、親父!?」
「俺のかわいい娘は、誰ともつがいになどならんのだ! 俺のかわいい娘をたぶらかしたやつは万死に値する!」
……。
またこの展開かよ!




