表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/425

マークたち同期との再会

 投稿の間隔があいてしまいましたが、次章の投稿を始めます。


 この章の前半では少し重たい部分があり、いつもの軽い調子でない部分がありますので、もし気に入らないようならその辺りは読み飛ばしてください。


 正直、その部分のおかげで筆が重くなっていた……

 言い訳です、気にしないでください。


 それではお楽しみください。

 

 ここで時間軸を戻して、ナオたちが2隻の航宙駆逐艦の攻略を終えたばかりのところから話を始めます。


「艦長、機動隊の皆さんがマリアたちを連れて帰還しました」


「怪我人の報告は受けているか」 

「いえ、誰からもまだです」


 ………

 ………


「たっだいま~」

 ひどく間の抜けた声で挨拶をしながらマリアが帰ってきた。


「おかえり、どうだった」


「え?

 何が」


「マリア、まず報告しろよ」


「あ、そうでした。

 あの艦、酷かったですよ。

 まあ以前のこの艦よりはましですが、まともな整備は受けていなかったでしょうね。

 機動隊が緊急停止したから、あっちこっちガタが出てました。

 とりあえず動かしましたが、いつ壊れても不思議の無いレベルですね」


 マリアの報告から、少なくともあの航宙駆逐艦は現役でどこかの軍に所属していたとは思えない整備状況のようだ。

 貴族の私設軍では、整備不良なんか割とあるそうだが、それでも貴族が直接関与したかは分からないまでも、貴族が自分の私設軍に直接海賊行為をさせる馬鹿がいるとも思えない。

 俺も貴族社会に詳しい訳じゃ無いが、もしあれが貴族の軍なら何かしらのカモフラージュくらいはするだろう。


 ひとまずは、マリアがエンジンを動かしたことで、リモートでどこでも運べる状態にはなった。


「そうか、これで敵軍艦の制圧は完了したことになるな」


「そうなりますね。

 艦長、この後は」


「それよりも、あっちのコロニーはどうなった?」


「2時間前にスペースコロニーの制圧は成功したようです。 

 今は残党狩りの最中だと軍の戦隊司令から連絡がありました」


「殿下はどうしているのかな」


「そ、それが……」


「どうした。

 何があった」


「1時間前に制圧の済んだスペースコロニーの中央制御室に入られたと、殿下から連絡がありました」


「え?

 だって、まだ残党狩りの最中だろう。

 安全の確保はどうしているんだ」


「周りに軍が少なくとも2個小隊は待機しているから大丈夫だそうです」


「そんな訳あるか。

 まあ俺の責任でどうとかなる訳じゃないし、それに俺に殿下を止められる筈も無い。

 かわいそうなのは保安室長だろうな。

 後で絶対にお叱りを受けるぞ。

 下手をすると陛下から直接な」


「そうなんですか」

「分からない。

 それより、殿下に報告だけでもして、この場を離れよう」


「え?

 何でですか」


「いやな予感がする。

 絶対に面倒ごとに巻き込まれる」


「何を言っているですか。

 面倒ごとは日常茶飯事でしょ。

 とりあえず報告だけは入れておきます」


 副長のメーリカ姉さんから中央制御室にいる殿下に報告を入れてもらった。


 直ぐに折り返しで殿下から二つの指令が入る。

 一つ目は、こちらで確保している捕虜の件だ。

 スペースコロニーで確保した捕虜と一緒に軍で管理してもらえることになったので、こちらに運んでほしいとのこと。

 二つ目に、捜査に人手が足りないから、そちらにいる機動隊員をコロニーに運んでほしいということだった。


 俺は殿下からの指令を受け鹵獲した2隻の航宙駆逐艦を引き連れて、大して広くないスペースコロニーのポートに入っていった。


 正直ここのポートはスペースコロニーとしては狭い。

 そのままでは先に入った軍の航宙フリーゲート艦が邪魔になり俺の艦を入れることができなかったので、ポート内にいる軍の艦を出してもらった。


 このスペースコロニーはポートが狭く、作業には苦労しそうだが、元々が海賊の秘密基地だ。

 この広さで問題が無かったのだろう。


 そんなことを考えながら俺は副長を伴いポートに降りた。


 ポートでは軍の士官が俺らを出迎えてくれることになっている。


 自艦からポートに出たら30人ばかりの軍の一団が俺らを待っていた。

 そのうちの一人の士官が俺の前に来て挨拶をしてくる。

 その士官が同期のマークだった。

 まさか、ここでマークに出会うとは思ってもみなかった。

 マークは敬礼をして所属を名乗る。

「第一艦隊補給艦護衛戦隊所属マークじゅ………え???

 ひょっとしてナオ……か?」


 非常に驚いた顔をして確認してくる。


 後ろにいた二人の士官もおかしな雰囲気に気が付き、確認のためこちらに近づいてきた。

 後から来た二人とも顔は知っている。

 それほど話したことは無いが、二人とも同期の連中だ。

 当然、マークでも驚いていたのだが、二人とも俺を確認すると固まった。


「やあ、マーク。

 しばらくぶりだな。

 あ、今公務中だったな、ごめん、やり直す。

 改めて言い直して挨拶するとしよう。

 広域刑事警察機構設立準備室所属、航宙駆逐艦『シュンミン』の艦長、ナオ・ブルースです。

 お出迎えありがとうございます。

 また、今回の応援の依頼を受けてもらい感謝いたします。

 殿下の指示により、軍への捕虜引き渡しの件の処理をお願いします。

 実務は副長のメーリカ少尉に任せておりますので、そちらと話し合ってください」


「こんにちは、マーク准尉。

 あの時以来ですね。

 今回はよろしくお願いします」


 後ろで固まっている二人に気付いたマークは二人を俺の前まで連れてきて、あいさつをさせた。


「え、え、ひょとしてナオ君なの」

「何を言っているの、失礼でしょ、ソフィア」

「だ、だって、しょうがないでしょエマ」


「二人とは卒業以来だな。

 久しぶり、ソフィア准尉とエマ准尉」


「し、失礼しました、艦長」

「そ、それにしてもどうして。

 艦長はその……」


 俺たちの会話が制圧したばかりの戦場というには完全に場にあっていないので、俺らの周りの雰囲気がその場にそぐわない。

 不思議に思った彼らの部下の下士官の一人がこちらに向かってきた。


 流石に、これ以上彼らを拘束するのはまずい。

「詳しい話はマークに聞いてくれ。

 マークとは卒業してからも数回会っているし、その時に説明だけはしておいたから」


「え?

 俺は聞いていないぞ。

 俺はナオが艦長代理になったことは聞いていたが、いつ代理が取れたんだ」


「まあ、今そんな話をする時間は無さそうだな。

 後で時間が取れたならゆっくりと説明するよ。

 それよりもうちもそうだが、君たちの部下がしびれを切らしそうだ」


「マーク准尉、捕虜の引き取りをお願いします」


 メーリカ姉さんが気を利かせて仕事にかかる。

 こちらに向かってきた下士官に話を聞いて捕虜の引き取りについて相談を始めた。

 蚊帳の外になった俺とマーク達士官はとりあえずその場で彼らの仕事を見守る。


 あ、もう一つの依頼を忘れていた。

「マーク准尉。

 殿下からうちの機動隊を連れてきてくれと頼まれている。

 悪いが中央制御室に案内を頼めるか」


「マーク、ここは私たちが見ているから、その……ナオ艦長をお願い」


「ああ、分かった」


 俺は無線で艦橋を呼び出してアイス隊長をこの場に呼んだ。

 ほどなくアイス隊長は一仕事を終えた機動隊員を連れてここにやってきた。


 見た感じでは誰も負傷はしていなさそうだ。

 こちらの被害は今のところ無しだということか。

 俺は一安心して、集まった機動隊員を前にアイス隊長に話した。


「アイス隊長。

 殿下からの要請は聞いているでしょう。

 お疲れのところすみませんが、これから機動隊員をコロニーの中央制御室に案内します」


「気遣いは不要です、艦長。

 幸い機動隊の被害はありませんでしたから、まだまだ殿下のお役に立てますよ」


「こちらが今回応援で来てくれた軍のマーク准尉です。

 彼が殿下の元まで案内してくれます」


「機動隊のアイスです。

 よろしくお願いします、准尉」


「こちらこそ、機動隊長殿」


「艦長。

 こちらは私で大丈夫です。

 艦長もご一緒してください」


「なんで?」


「少し気になることがあります。

 前に捕まえた船には沢山の……」


「あ、そうだな。

 その件はまだ聞いていないな。

 分かった。

 そっちは私の方で調べてみるよ」


「マーク、俺もついていくよ。

 途中、コロニーの現状について知っているだけでいいから教えてほしい」

 マークは俺の問いに真摯に答えてくれた。

 本来なら隠さないといけないことが沢山ありそうなのだが、こちらでの主導権を完全に殿下が握っているようで、マークも上から何も隠すようなことは指示されていない。


 それでも、マークが知っている情報は限られたものだ。

 しかしマークの話で、一つだけ気になったのが、保護している人たちについてだ。


 そこには数人を回して監視しているだけで、正直保護しているとは言えないようなことを言っている。


 俺はその場所だけ聞いて、そこに向かうとアイス隊長に伝えてからこの一団から離れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 1960年代からのトレッキーでもありまして、この作品は背景や主人公も良く楽しめます。応援致しておりますので、執筆活動頑張って下さい。
[一言] 待ってた。
[良い点] 待ってましたー!!これで勝つる!(錯乱)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ