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王宮突入



 王宮前広場は完全に制圧できたと言ってもいいだろう。

 騒ぎを聞きつけて王宮から出てくる兵士やセキュリティー関係者も居ないわけではないが、多分あまりの臭いに外に出たすぐにその場で伸びているか、行動が著しく制限されているので、脅威などない。


 俺は計画の第一段階の成功を確信した。

 次のステップに移るように指示を出そうとしていると、無線機からとんでもないものだが、前にこれも聞いた声が聞こえてきた。


『ヒャッハー! 中に突っ込むぞ~!』


 機動隊のアイス隊長が部下全員を引き連れてセキュリティー関係者が出てきた入口から中に入っていく。

 部下の中隊全員を引き連れ先頭を切って王宮内に飛び込んでいくのが見えた。


 これも、なんだか前に見たような気がするな。

 それにしても、あの様子ならば作戦終了時には機動隊員全員に精神洗浄を命じないとまずいな。


「あれ~、司令。

 あれ……」


 俺がそう考えているとマリアが俺に機動隊員の方を指さしてなにか言ってきたので、その方を見ると……。


「何だ、あれは?」


 そう、機動隊員が王宮内に突入していく後についていく数人の機動隊員が背負子のようなものを背負ってついていく。

 その背負子のは見覚えのあるドクロマークのついた箱が背負われていた。


「マリア、あれって……」


「うん、多分だけどラフレシアだよね。

 それも見たかんじ数カートン有るよね」


「あれって、あんなに常に用意しているものなのか?」


「私は知らないけど……多分基地に有る在庫を全部持ってきたような気がするな~」


 基地内に保管されていた在庫のスタングレネードを全部だと。

 それって、持っていく必要があるのかな。

 確かにさんざんそこら中に撒いた『タンポポ』の被害は建物内には全くないとは言い難いが、それでも王宮内はここほどではないだろうが、それにしたってな~……


「司令、王宮内って、ここもうちとそれほど変わりがないよね」


「どういう意味だ、マリア?」


「だから、ダイヤモンド王国の王宮には多くの女性事務官が働いているでしょ。

 あれ全部王宮内で使ったら、今保護している女性事務官のような被害が中でも起こるよね」


「あ!」


 俺は気がついた。

 いや、マリアの指摘で初めてその事実に気が付き、恐ろしくなってきた。


 俺はすぐに『シュンミン』に無線で連絡を取り、新たに女性だけで手隙のものを『シュンミン』だけでなく、広く軍からでも集めて、女性事務官の体面だけでも配慮するために準備させた。


「艦長、すぐに女性だけで、マリアのせいで伸びた女性たちを隔離するための人員を組織してくれ。

 敵とはいえ、女性としてあれは同僚の男性に見せて良いものではないだろうから、何処かに集めて、隔離させる必要がある」


『はい、確かにそうですね。

 すぐに、他の艦長や軍にも連絡を入れます……あ、もうすぐコクーンの戦隊の一つがこちらに合流できそうなので、そちらにも応援の依頼を出しておきます』


 メーリカ姉さんは俺の言う状況を理解したようだ。

 同じ女性なのにマリアやケイトは全くそんなことに頓着していないのが……いや、マリアは気がついたか。

 まあ、それよりも直ぐにアイス隊長たちを追いかけるか。


「司令、私のせいってなんですか。それちょっとひどくないですかね~」


「今はそんな余裕はない。我々だけでもすぐにアイス隊長を追うぞ」


「はい、ですが中は危険になりますので、サーダーさんの部下たちも借りましょう」


 ケイトはそう言うと、一番最初にこの場に侵入してきた、ある意味現状の原因を作った部隊に渡りをつけ一緒に王宮内に入っていく。

 

 予想はしていたが、それにしても……

 ここにも屍累々の凄惨な現場が。


「司令」


 流石にケイトも何か言いたそうにしている。


「ケイトか。

 わかっている。

 だから先程メーリカ姉さんに応援を頼んだばかりだ。

 とにかく今は女性だけでも見つけたら、誰も居ない部屋にでも放り込むしか手はないな」


「わかりました」


 ケイトは渋々だが俺の命令に従い部下たちに女性事務官だけを探させている。

 しかし、あまりゆっくりともできないので、俺達はどんどん先に進む。


 いきなり俺たちが攻め込んだからか王宮内の一般職員の数は少なそうだ。

 俺たちの強制着陸を見て避難させていたようだ。

 尤も避難で外に出ても、着陸前にばらまいたあれがあるので、避難どころか何もできずにその場で倒れるだろうとは思うが。


 なので、目の前で伸びている者たちはほとんど兵士か王宮警備の者たちばかりのようだ。

 近衛兵も簡単に伸びているとなると、やはりこういう閉鎖した空間では毒ガスは有効なのだろう。


「司令、あれ、決して毒じゃありませんよ。

 致死量なんか、どれだけ吸わせてもありませんので、非殺傷兵器の王様なんですから」


「あれ、俺声に出していたかな」


「司令は考えていることすぐに顔に出ますので、分かりますよ」


「まあいい、安全が確保できた空間に捜査員たちを入れてくれ。事務官の保護もそうだが、時間も俺たちには味方してくれないしな」


「わかりました、すぐに応援を寄越させます」


 いつの間にか俺の後ろにはサーダーさんが使っていた降下部隊が俺の警護役として待機していた。

 その降下部隊の指揮官のような人が俺の独り言のような命令を受けて無線でダミンに送っている。

 ダミンの全通甲板内ではうちの捜査員全員が出番を今か今かと待っていた。

 無線がダミンに入ると、バッカス艦長が艦内放送でGOサインを出している。


 その後すぐに一斉に全通甲板の全部ハッチから捜査員が走り出すように王宮内に突入していく。


「あれ……マークか。それに助かった」


 王宮に向け走り出している一段の先頭にマークを見つけた。

 それにマークの後ろにも力強い助っ人を見ることができた。

 ソフィアとエマまで女性修学隊員を連れて捜査員と一緒に行動をしている。

 とりあえず惨状を最低限カバーする人間が投入された。


「司令……」


 ケイトが不安そうに聞いてきたので、簡単に説明しておいた。


「ああ、ダミンから女性だけの救助要員が投入されたようだ」

 

「ソフィア少尉ですね。

 生活安全部主任ですので、現状我々の持てる勢力からは最適ですが、司令が命じていたのですか?」


「いや、艦長連中が気を利かせてくれたのだろう。

 今回は敵を治療するつもりはないので、クローさんまで投入するつもりはないけど、女性たちをあのままにはしておけないだろう。

 絶対にこの惨状は後で問題にされるだろうから、いろいろ連中がポカを出す前にさっさと仕事をして引き上げるとしよう」


「では、このままアイス隊長を追いかけますね」


 俺たちは、十分な護衛もついたのでアイス隊長を探してどんどん王宮内の深部に突入していった。


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― 新着の感想 ―
ふはは、怖かろう!(ガスマスクを被ってラフレシアを振り回しながら) ……一体どっちが悪役なのか。
マリア辺りは、『人の尊厳』を失った状態の『王族』たちを動画や画像に残しておきそうですよね~ 第三王女殿下が知ったらどんな悪巧みを企てるのでしょうね♪
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