新たに海賊がって、これってピンチじゃね~
第二章に入りいよいよ物語は進んでいきます。
「マリア、何があったのか」
「あ、隊長、良くご無事で」
「ああ、ありがとう、それよりも何がそんなに大変なのだ」
「あ、そうでした。
これ見てください。
この船の外部監視用赤外線感知望遠モニタの映像ですが、航宙フリゲート艦クラスの船がこちらに向かって来ます。
時折艦橋付近から光がちらつきますが、そのままこちらに警戒しながらゆっくりと近づいてきております」
「敵か」
「はい、メーリカ姉さん。
私たちがこちらに乗り込む前にいた船が逃げた方向からこちらに向かってきますし、それだと思われます」
「はは~ん、読めたぞ」
「え?
隊長は何かわかったのですか」
「ああ、あいつらのやりたかったことがだ」
「隊長、もったいぶらないで教えてくださいよ」
マリアが俺に聞いてくる。
「この船に乗り込むときにあいつらこの船を残して、もう一艘離れて行っただろう。
その時に、話したかとは思うが、この船で待ち伏せするためだと」
「ああ、それは聞いたかも。」
「それでは、俺らが来る前に何故あいつらはこの船ともう一艘だけ残していなくなったか考えたことあるか」
「そんなの分かるかよ」
「これは俺の憶測だが、コーストガードの艦隊を見て、海賊たちは状況不利と判断したんだろうな。
でないと逃げたりしないから」
「それは分かる」
「その際、より安全に逃げるために何かしらの事をしたかったんだろう」
「何かとは何だよ」
「この足の遅い船を連れては逃げられないと判断されたんだろうな。
だとしたらこいつを置いて逃げればいいが、それだと、これをただで俺らに渡すことになる。
端末などに情報が残っていないとも限らない。
そうなると安全を考えるのなら、こいつの爆破だが、それもちょっともったいない。
俺なら同じ爆破するなら、敵の艦隊の中でするな。
できれば敵の旗艦を巻き込めればより良い」
「それなら分かる。
流石に私ではそこまで思いつかないが、いくつかの案を出されてどれかを選べと言われれば私でも同じ方を選ぶ」
「ああ、そこで問題が発生した」
「問題、なんだいそりゃ~?」
「コーストガードの艦隊も逃げた。」
「「「あ!」」」
「もうわかっただろう」
「この船を俺らの艦隊にぶつけるつもりだったというのは分かった。
分かったけど、うちらも逃げただろう。
なら、海賊たちも逃げればよかったのに」
「ああ、俺もそう思うよ。
でも俺らが艦長より命じられただろう。
これに乗り込めと。
うちの内火艇が見えた段階で、逃げるのをやめたんじゃないかな。
後で捕まえた海賊たちに聞いてみれば良いけど、簡単に俺らを相手できると待ち伏せしたんだろうな」
「隊長、隊長。
それより今近づいてくるのはどうします。
ていうか、何であれがこっちに来るのが分からないよ」
「え?
マリア、今までの説明聞いていた?
だから、俺らを待ち伏せするのに、海賊たちがこっちに乗り込んできただろう。
そうでないとこの船に戦闘員だけで非戦闘員がいないことが説明できないだろう。
なので、今近づいてくるのは、俺らを片付けた後の仲間を回収する為だろうな」
「え、それじゃあ、どうしましょう。
また海賊と戦うことになりませんか。
ピンチかも」
「そうだな。
マリアに聞きたいんだが、さっき使ったひまわり何とかって奴、まだ使えるか」
「ひまわり何とかじゃないもん。
『ひまわり3号』だもん」
「分かったから、そのひまわりだっけ、まだ使えるか」
「だから『ひまわり3号』だって。
隊長分かった」
「分かったから使えるのか」
「使えるけど、残りの弾は少ないよ」
「どれくらい使えそうか」
「そうですね。
当然100人は無理。
せいぜい20人てとこかな。
上手に使って弾を節約しても、あんまり変わらないと思うよ。
30人までは無理かな」
「あの船が30人という訳は無いよな」
ただ船を動かすだけならリモート操作もあるので十数人いれば何とかなるが、作戦行動を必要とした場合には絶対に最低人員と云うのがある。
どう考えても航宙フリゲート艦なら50人は要るだろう。
これはあくまでの最低限、付近の探査や警戒などをしながら航行するのに必要な人員で、戦闘もとなると100人以上いや150人以上なければできない相談だ。
そこでなのだろう、マリアが叫んでしたのは。
「絶対に無理だよ。
船を動かすだけでも50人は要るよ、多分。
あ、それじゃあ、私たちってどうなるの」
「絶対に不利じゃん」
「もしかして絶望的かも」
「「「隊長!」」」
みんな心配そうに俺を見る。
「うちらも、海賊さんの計画を真似るか」
「どういうことなの」
「まあいいから。
ところでマリア、この船を動かせるか」
「はい、大丈夫だよ」
「なら、直ぐに作戦開始だ。
この船をあの船にぶつける。
ぶつけて、あの船を動かなくすれば、うちの内火艇でも逃げられる。
多分大丈夫だよ。
ぶつけることができれば、生きて帰れるよ」
「隊長、分かったよ。
マリア、今の話聞いたな」
「はいメーリカ姉さん」
「進路、目標に設定、速度、壊れない限りで最大船速」
「何を言ってるんだか」
「え、でもこの船ではせいぜい1AUも出せれば御の字。
下手すりゃ途中で壊れそうだよ。
ほとんど整備らしいことされていないみたいだし。
むしろよくここまで連れて来れたと感心してるから」
「なら。0.5AUで前進」
艦橋でマリアやメーリカが見守る中で俺は船ごと海賊の船にぶつけることを決めた。
直ぐにマリアに命令して船を海賊船に向け発進した。
どんどん近づく2艘の軍艦。
「マリア、この船シールドは使えそうか」
「多分、使えるかと思うけど、こんな場所じゃ意味無いよ。
うちもだけど相手もレーザー兵器の類は使えないから」
「ああ、分かっているよ。
俺が聞いているのは物理的な衝撃に対するシールドだ。
これくらい古い船なら何かしらあるだろう。
光子ミサイルなどを防ぐ目的の奴」
「あ、そうだね、アッケシにもあったよね」
「電磁シールドがある筈だ。
それなら物理攻撃に対処できると聞いたことがある」
「でも師匠が言うには大した効果は期待できないと聞いたことあるよ。
無いよりはましくらいに考えておけとも聞いたけど。」
「ああ、それでいい。
それ使えるか」
「ちょっと待って、これだね。
そんなに効果は期待できないけど使えそうです」
「なら、それを艦首だけできるだけ強力に張ってくれ。
それだけでもぶつけた時の効果が違う」
「分かりました」
マリアは制御装置の前で操作していく。
海賊船が近づいてくると、先ほど発見した艦橋付近の光のちらつきが激しくなる。
大きさは明らかに相手の方が大きい。
当然まともにぶつかれば被害はこちらの方が大きいだろう。
なので、ぶつける前には彼女たちを内火艇で逃がさないといけない。
「そろそろ逃げる準備でもしようか。
艦橋には俺一人いればいいから、みんなは内火艇に乗ってこの船から離れてくれ。
ぶつける瞬間に俺は逃げ出すから、後で拾ってくれればいいよ」
「そんな訳行くか。
第一隊長のパワースーツは壊れているだろう。
宇宙空間に行けないだろうよ。
私とマリアが残るよ」
「さすがに部下を残して危険な目に遭わす訳にはいかない。
俺は許可できない」
俺とメーリカが言い合いを始めた。
ここまで私の拙い作品をお読みいただきありがとうございます。
今まで多くの方のこの作品を読んでいただき感謝しております。
自分でも信じられないことですが、月間でも週間でも日間でもSF(宇宙)のジャンルで1位になっており、正直私が驚いております。
ひとえに評価してくださる読者の方に感謝しかありません。
読者の方に飽きられないよう、また忘れ去られないように第三章の創作に頑張ります。
第二章はお約束通りに毎日更新していきますので、応援ください。




