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組閣

お待たせしました。

新たな章の始まりです。

やっと広域刑事警察機構が正式な象徴として発足したあたりからこの章が始まります。

少し短めですが、お楽しみください。

 

 新たな仲間たちを迎えて、最初にしないといけないのが組閣だ。

 とにかく俺たちが使う宇宙船は、とっくに王国軍が使わなくなった艦種である航宙駆逐艦ブルドック型を改良した軍艦だ。


 これが下手に改良をしていなければ、まずそう問題にならなかっただろうが、その改修を限られた予算と時間で命じられたもんだから、無茶苦茶好き勝手に魔改造したので、艦橋のコントロールパネルは軍艦とは思えないようになっている。

 これは艦橋だけに限った話では無く、他も推して知るべしと言った感じだ。

 その原因はなにも俺たちが趣味に走った訳では無く、予算の関係で解体中の豪華客船から借用して間に合わせたのが始まりだ。

 大切なことだからもう一度言うけど、決して乗員の趣味が高じた訳では無い。


 そういう経緯があったもので、2番艦の改修に当たる時も、これ以上の無秩序を避けるために一番艦に合わせて、民間用のコントロールパネルをわざわざ取り寄せて使っている。


 そのため、宇宙軍出身はもとより、コーストガード出身者も基本使っていた機材が宇宙軍と同じ物だったために使い慣れていないという弊害を生んでしまった。


 そのため、新たに仲間を迎えても、直ぐに2番艦を使いこなしてもらうのには無理がある。


 特に機関周りは注意が必要だ。


 あそこは特に好き者が改良、いや、魔改造と言っていいかもしれないが、俺が確認では無く監視をしていなかったことがそもそもの原因だろうが、好き勝手にされたものだから、たとえ民間出身者でも少々梃子摺る様になる代物になっている。


 なので、今回の人員配置は基本応援組を2番艦に回すようにしていくが、一番艦『シュンミン』から、ある程度の人員を回す方向で考えている。


 今、机を挟んで2人の新艦長と調整中だ。


 元々が超エリートであったカリン先輩に遠慮したのかメーリカ姉さんはカリン先輩からの要望をほとんど聞いているから、今のところ問題無く調整が進んでいく。


 メーリカ姉さんがカリン先輩からの要望を断る時はある法則があったので、カリン先輩も直ぐに納得してメーリカ姉さんからの代案を受け入れている。


 そのある法則と云うのがいわゆるマリア指数と言ったらいいのか、メーリカ姉さんはマリア度やケイト指数と呼んでいたが、要は問題の起こしやすさだ。

 問題児は慣れている姉さんが引き受ける方向で、経験が少なくとも比較的まともな…失礼、大人しめの人を回す方向で調整していた。


 ちなみにその時の会話は以下のようなやり取りがあった。


「カスミさんを頂けますか」


「あ、カスミはダメだ。

 マリア度がMAXだろう。

 代わりにアイを出そう。

 こいつは経験こそ少ないが、できるやつだし、もう十分にスキルもある。

 何より、この辺りでは一番まともだな」


「ドミニクさんなんかはどうでしょうか」


「ドミニクか~。

 マリア度はそんなに高くないがケイト指数が高めだな。

 出してもいいが、そっちよりララはどうか。

 航宙士にきちんと士官を充てるんだったら、こいつでも十分だと思う」


 こんな感じで。2人して人物評価をしながらの調整だ。

 マリアやケイトが聞いたら、自分たちはそんなに問題児では無いと抗議がきそうだが、幸い密室での話し合いであったので、問題無く本心で話し合えた。


 ここまでの経歴が全く違う2人だったが、副長と第三席の経験が生きているのか、言葉こそカリン先輩がメーリカ姉さんに敬意を示しているが、メーリカ姉さんも超エリートのカリン先輩に敬意を持っているから、2人の関係は良好だ。


 それで、やっとこさ決まったのがつい先ほどだ。


 基本応援に来た人は全て2番艦に回して、『シュンミン』からは最低限の移動で済ませた。

 それでも就学隊員のほとんどは2番艦に回して、『シュンミン』は新たに就学隊員を受け入れた。

 これは殿下が保護した子供たちから募集したら、簡単に募集定員を満たしたので、その子たちを旗艦『シュンミン』に入れた。


 それで決まった配置は以下の通りだ。


 広域刑事警察機構軍


 戦隊司令 ナオ・ブルース 少佐(宇宙軍大尉)

 司令秘書官 イレーヌ准尉

 戦隊主計官 キャリー・マークス  (シュンミン乗艦)

 主計官補 サツキ・ツルゲーネフ (バクミン乗艦)

 生活安全部長  クロー・ジャック少尉 (元医者、シュンミン乗艦)

 生活安全部主任 ソフィア少尉(ナオと同期、バクミン乗艦)


 旗艦 シュンミン

 艦長 メーリカ中尉

 副長 ケイト少尉

 第三席及び機関長 マリア少尉


 2番艦 バクミン

 艦長 カリン中尉

 副長 バッカス少尉 (コーストガードからの出向者)

 第三席及び攻撃主任 マーク少尉

 (ナオの士官学校以来の友人で、キャスベル工廠のお偉いさんの息子、ナオには『シュンミン』改修時にドックを紹介してもらった恩がある)


 以上が広域刑事警察機構軍主要メンバーになる。

 2番艦のバッカス少尉はブルース孤児院出身のコーストガード少尉で、第二機動艦隊で航法などを受け持っていたと聞いている。

 かなりの苦労人で努力家とも言われる俺やマキ姉ちゃんの先輩にあたる人だ。

 今回コーストガードは俺たちに相当気を使っているのか、現場のエース級をこちらに回してくれたと言う。


 ちなみにナオと同期のもう一人であるエマも2番艦『バクミン』の艦橋で航宙士を務める。

 以上のように配属したから、結果的に宇宙軍から俺と同期の3人は皆2番艦に乗艦となった。


 何より、この軍では特殊な軍制を引くこととした。

 特に注目するのが、艦載機運用だ。

 基本的にはカリン先輩に任せるつもりで、基本構想では『シュンミン』に2機、『バクミン』に将来的には10機を配備して、作戦行動時にはそれぞれの艦から発進させ、合流後に『バクミン』にすべての艦載機の管制を任せることとする。

 しかし、まだ我々にあるのは『シュンミン』に搭載されていた2機のみだが、その2機も今回整備員と一緒に『バクミン』に移してある。


 パイロットと整備員の確保ができればすぐにでも同型艦載機(試作機だったが軍不採用で倉庫でほこりをかぶっていたやつ)がまだうちの倉庫に4機あるので、直ぐにでも4機を搭載して6機体制で考えている。

 その場合、2機は『シュンミン』に搭載して残り4機を『バクミン』に搭載することまでは決まっている。

 最低でもパイロットをどこかから4人連れて来ればどうにかなりそうだ。

 『シュンミン』での整備については簡単なものはマリアに任せて、重整備が必要になり次第『バクミン』に送ることで話が付いている。


 同様に、乗員たちの生活安全面だ。

 これは、負傷した時の対応を主に仕事としている部署だ。


 宇宙軍でもコーストガードでも同様だが、この組織の長には医者が成るのが習わしだが、あいにく宇宙船に乗ろうかと云うような酔狂な医者などまずいない。

 宇宙軍では軍独自で育成から始めてこの難問を回避しているし、コーストガードでも奨学金などを出すことで、辛うじてこの難問に対応している。

 どちらの機関も時間を掛け医者を育て上げるという方法でしか対応しきれなかったということだ。

 翻って、我々はどうだろうか。

 はっきり言ってできたばかりの組織では金があっても時間がない。

 育成も考えないといけないが、今はそれでは間に合わない。

 コーストガードのようにテリトリーが限られていればまだ対応の方法も無きにしも非ずだが、それすら無理だ。

 我々の組織のテリトリーは国外には出て行かないが、軍とほとんど変わらない。

 軍艦には乗艦する医療関係者がどうしても必要になって来る。


 我々にとって幸運だったのが、元医者で医師免許をとある理由ではく奪された人を抱え込むことに成功したのだ。

 彼を部長に据えてこの部署を作った。

 各艦には担当者を置くが、戦隊全体を彼に見てもらうように組織化した格好が現状である。

 両艦ともクローさんに面倒を見てもらうが、基本クローさんは旗艦に乗艦してもらう。

 その代わりに2番艦『バクミン』には俺の同期のソフィアが担当する。


 事務処理関係も生活安全部署とほとんど同じ思想で、旗艦で一元的に管理するが、2番艦にも担当者を置いて、両者が協力することで特に経理面の処理を行うように考えられている。


 まあ。当分は基本的に2艦一緒に行動することで任務をこなしていくことになるから、それを考えての組閣だ。


 必要に応じて出来上がった格好だが、やはりカリン先輩の考えも大きく影響したのが、一番の特徴である艦載機の運用だろうな。


 一度母艦から放たれた艦載機は、作戦執行中全ての管理を2番艦『バクミン』が見ることになる。

 途中燃料や魚雷等の補給、緊急の整備も含めて全通格納庫を持つ『バクミン』が受け持つことにしている。

 この方法がうまく機能するかは今後の訓練にもよるが、実戦を経験してみないと分からないのが本音だ。


 心配を多く抱えながら、訓練の時間がほとんどとれずに本年度を終えた。


先日、活動報告にも報告しましたが、この作品がなろうの第9回ネット小説大賞の一次審査に通過できました。

ひとえに読者の皆様からの応援やご指摘、アイデアなどのアドバイスを頂いたおかげかと感謝いたします。

流石にこれ以上は難しいかとは思いますが、楽しみにしていてください。


 

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― 新着の感想 ―
シュンミンも艦橋の変更必須だと思うんだが、その変更である戦隊司令の座席はどこから取ってくるのかなあw 艦長の座席、戦隊司令の座席、殿下の座席と並べるとなると、レイアウトも考える必要がありそう。 医療関…
[一言] 更新ありがとうございます、読んだ感想としては組閣は違うと思いますね、組織編成なら合いますが組閣は内閣などを…と言う意味合いですので。
[一言] >組閣 組閣とは内閣総理大臣に指名された人が新たに内閣の人事を決めて組織することを意味するので、他の組織に対しては使う言葉ではありません。 なので、話タイトルと本文中で使用されている「組閣…
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