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おまけ:2番艦『バクミン』笑誕1

2番艦のお話です。

少し短めで4話続きます。

 

 KSS9999航宙駆逐艦『シュンミン』は、現在広域刑事警察機構唯一の軍艦であり、第三王女殿下の座乗艦でもある。


 王族を御乗せするのに礼を失することのないくらいに装備などが整った王国では唯一の小型軍艦で、この宇宙全体を見ても非常に珍しい優れた艦と言える。


 だが、この軍艦は王国がその威信をかけ、国が持てる技術、予算等を惜しげも無く投入して作られた新造艦では無く、その来歴は全く逆の、ほとんど予算もかけられず、また、国からの援助と言えるものが全く無い状態で生まれたいわゆる鬼子のような存在だ。


 この航宙駆逐艦は新造艦では無く、軍では10年以上前に退役して、本来ならばとっくに解体されていたはずのブルドック型22番艦ハウンドドックというものだった。


 このブルドック型航宙駆逐艦は航宙駆逐艦が現役だった当時の後期に開発された艦で、最も成功した航宙駆逐艦と言われるくらい高性能で、宇宙軍では最盛期で30隻も就航させていた。


 『シュンミン』はどういう経歴を経たのかは不明だが、宇宙一番の海賊の手に渡っていた物を、当時コーストガードに出向中のナオによって拿捕されて、これまた、王国上層部の大人の事情という奴で、ナオに改装が命じられたものだった。


 しかも、その改装に際して許された費用はほとんど無い状態で、しかも、改装に際してのドックも自分で探せと命じられて生まれた艦だ。


 予算も無いので、まともな軍人や役人ならば絶対に無理な改装命令だったが、ナオの持つ人脈と、彼の抱えた部下の異常性、それに改装依頼先のこれまた異常なまでの……


 そんなこんなでコーストガードではとっくに使われなくなっていた航宙駆逐艦ハウンドドックが、改装により、王国一の高性能艦『シュンミン』として就航するはずだった。


 だが、これまた王国上層部のいろんな事情により第三王女殿下率いる広域刑事警察機構へとナオを含む乗員もろとも移籍となり大活躍をすることとなる。


 その活躍の中で、海賊討伐に際して、更にブルドック型航宙駆逐艦2隻を鹵獲して、広域刑事警察機構管理下に置くこととなった。


 暫くして、ナオたちの活躍により広域刑事警察機構の活躍する場が広がり、1隻では足りなくなり、今度はしっかりとした予算を付けて、鹵獲している航宙駆逐艦の内1隻を改装することに決まった。


 改装に際して、一番艦『シュンミン』の改装はあまりにも異常であったため、同じ改装は二度とできない。


 それならばと、『シュンミン』と艦隊行動がとれることを唯一の条件として、好きなように改装することが組織内部で決まった。


 この決定を受け、実際に2番艦も管理することとなる『シュンミン』の乗員を中心として2番艦の改装諸元を検討することとなり、時間を取りながら、色々と検討を始めた。


 ちょうど、シシリーファミリーの討伐が一段落して、現在はトムソン捜査室長の発案で殿下が始めた王国全ての警察に対して海賊事件捜査の手伝いのための輸送業務しか行っていない。


 なので、それまでよりは地上勤務が多くなる。

 この地上勤務時間を利用してメーリカ姉さんやカリン先輩、それにマリアとカスミが中心となって諸元を検討している。


 艦長であるナオは、一応の責任者となり、上がって来る資料には目を通してはいるが、とてもじゃないがそれどころではない。


 宇宙に出ても、地上勤務でも変わらず襲ってくる書類お化けを相手に格闘中だ。


 それでも昔に比べてナオには味方が増えたこともあり、多少は楽になった。

 まだ、味方が仕事に慣れていないこともあるが、近い将来、仕事に慣れて来れば格段に状況が改善することは約束されていることが唯一の救いとばかりに書類と格闘する日々を繰り返している。



 ちょうど、初めてのお客さんを運んだ頃だ。

 地元警察の職務質問により密輸船摘発に協力して、ニホニウムに戻ってきた頃の話から始まる。


「艦長。

 乗員からの要望をまとめたものができました」

 そう言って、事務所にイレーヌさんが入ってきた。


「2番艦の諸元を決める資料だっけか」

 と言って、資料を受け取り、目を通す。

 思わず手に持った資料を、そのままゴミ箱に投げ込もうかという衝動にかられた。


「何だよ、この内容は」


「え、至極真っ当なものかと思いますよ。

 私も同じように感じますから」


 ~2番艦改修に当たり、『シュンミン』での不満や要望について~

 ・豪華な部屋要らない

 ・個室が落ち着かないので、ほとんど部屋を使っていません

 ・艦内が余分に豪華な造り、作業に邪魔

 ・わけわかんない

 ・一人部屋って嫌、友達と相部屋にしてほしい


 等々


「ああ、それは俺も思ったよ。

 その最たるものが俺の部屋だな。 

 だが、俺は使わない訳にはいかないから我慢して使っているが」


「え、そうなんですか。

 てっきり……」


「てっきり?」


「いえ、失礼しました」


 医務室の時にも思ったが、マリアが気分で作ったようなものだしな。

 それでいて、あいつはさっさと飽きているから本当に手に負えないよ。


「それで、改修案は決まりそうか?」


「先ほどカリン少尉にも確認しましたが、それぞれの担当によって希望する物が違い過ぎてなかなか決まりそうにないかと」


 それを聞きながら俺は先の資料をめくり、次の項目を読んだ。


 ~2番艦に欲しい機能、性能~

 ・艦全体を取り巻くように多数のレールガンの設置 

 ・空母機能

 ・医療艦として都市部災害に派遣できるような充実した医療体制

 ・100AUや異次元航行レベル20を出せる高速性

 ・ラグジュアリー空間


 もう最後の方は本当に訳わからん。

 2番艦の速度は旗艦となる『シュンミン』と同程度は必須条件だが、より高速が出せればそれに越したことは無い。

 だが、それにより通常時の燃費が悪くなると本末転倒だ。

 それに何より、この要望内容は絶対に無理だ。

 いったいこれを書いた奴は何を考えているのか。

 遊びじゃ無いんだよ、遊びじゃ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 豪華な部屋はいらないとか言っておきながら、ラグジュアリー空間を求めてるのなんなんだよw
[良い点] クローさん、元気にやってるようで良かった。
[一言] 100AUとか子供が考えた超強い宇宙戦艦見たいなことかくやんww
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