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私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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【番外編】変わり者はどっちだ!?

「…… カトレア王国の勝利に、この名をかける。我に続け、数多の精鋭たちよ」


 ライルが最期の進軍の声を上げた。


 帝国軍の騎士・兵士は半笑いでこちらを見ている。

 たかが二名で何をするつもりなのかと。


 唾をはいた兵士もいる。

 わざわざ履いていた靴を脱いで、投げた奴もいる。

 手始めはあの靴男を叩こう。


 まさにときの声をあげ、ライルの合図に応えようとした時。


 角笛の音が響き渡る。


 ハッとして帝国軍が辺りを見渡す。


 この場所は盆地になっていた。

 そして洞窟を取り囲むにように広がる崖の上には――。


 まず、旗が見えた。


 カトレア王国旗、二つの騎士団旗、兵団旗。


 続いてソード騎士団の団長、副団長、指揮官、イーグル騎士団の副団長、上級指揮官、兵隊長、憲兵……そして彼らに続くように、騎士と兵士が姿を現わす。


 さらに。


 ローク、シダル、レニーまでいるではないか!


「団長、ありがとうございます! 母ちゃん、山場を越えたと、伝書鳩が知らせてくれました。団長のおかげです」


 この言葉で全てを悟る。


 ライルは三兄弟を信じた。

 自身が囮になり、三人を救った時。

 これ幸いと即、王都へ向かうのではなく、彼らが陣営に戻ることを。そしてライルは……先回りして三兄弟の母親の容態を確認していたんだ。


 陣営に戻った三人は、そこで母親の容態を知ることが出来た。そしてライルの作戦を聞き、天候の急変を受け、皆を説得してくれたのだろう。


「このままでは吊り橋は落ちる。団長は逃げ道を失い、追い込まれてしまう。頼む。団長を助けてくれ」と。


「始まるぞ、ベルナード」


 ライルの言葉と同時に、皆が一斉に唱和する。


「「「我らはカトレア王国に、ライル・ウィンターボトム団長に、命を捧げた者なり。勝利のために、団長に続け――」」」


 数多の精鋭たちの声が重なり、それは鳥肌ものだ。

 帝国軍は一様に青ざめているが、後の祭り。


 こうしてこの日、わたしとライルを取り囲んだ帝国軍は壊滅した。


 ◇


 この囮作戦を境に、帝国軍は総崩れになっていく。


 とはいえ、勝利までは一筋縄ではいかない。


 帝国もその威信をかけ、近衛騎士団まで投入してきたのだ。


 戦闘は壮絶さを極める。

 もはや戦闘があった場所には虫一匹残らず……という状態。


 そこで繰り広げられた戦いは……小説一冊分になるだろう。さしもの吟遊詩人も、全ては覚えきれないかもしれない。


 だがその激闘を経て、カトレア王国は勝利を手に入れたのだ。


「ライル、団長さん! 今日の主役が何をやっているんだよ!」


 明日は王都へと戻る前日の夜。

 大宴会が行われていた。

 日没前から飲み始めて、かれこれ五時間か。

 もうどれだけ飲んだか覚えていない。


 そしてライルもとうに二十歳になっており、酒が飲めた。


 しかもライルは相当飲める!

 飲める上に、飲んでも顔色が変わらない。

 呂律もきちんと回るし、足がふらつくこともなかった。

 そして今も。

 一人宴の輪を離れ、何をしているのかと思ったら。

 上級指揮官を集め、ブリーフィングを行うスペースにいた。そこに置かれた長椅子に座り、月の光を浴びている。


 澄ました顔をして、お酒を飲んだ余韻など、どこにもない。


「なんだ、なんだ、ライル。日光浴ならぬ、月光浴でもしているのか?」


「違う。……知らせが来た」


「王都からか?」


 ドカッとライルの隣に腰を下ろすと「酒臭いぞ、ベルナード」と言われる。「それはライルも同じだろう!」と鼻を近づけるが……。


 清潔感のある石鹸の香りがする。


「母上の容態がよくないらしい」


 よく見るとライルは手紙を持っている。

 どうやら早馬が着ていたようだ。


「そうなのか。それは心配だな。……じゃあ王都に戻ったらすぐ、領地へ行くのか?」


「そのつもりだ。だが国王陛下には、報告をしなければならない。……それに自分自身、陛下に願い出たいこともあるからな」


 陛下に願い出たいこと……。

 既に目標としていた騎士団長になり、爵位を得ている。


 一体何を願うのだろうか……。


「ベルナード、君はどうするつもりなんだ?」


「どうするって?」


「今回の勝利、君の活躍は従騎士の域を超えている。上級指揮官に戻るのが、妥当と思うが」


「あーそれな。ライルの目から見ても、上級指揮官止まりだろう?」


 ライルは片眉をくいっとあげ、こちらの真意を測ろうとする。


「このままイーグル騎士団にいても、上級指揮官止まり。それならライル、お前の従騎士でいる方が、ずっと楽しそうだ。それに王都に戻ったら、国王陛下は大喜びだろう。褒賞金はたんまりだ。そうしたらライル様は懐も温かくなる。給金は、はずんでくれよ」


「……ベルナード。ザーイ帝国との戦は終わった。これからは王都の防衛という本来の役目に戻る。王都防衛という役目であれば、君はその次に進むことも夢ではない。それだけの実力はある」


「いいって、いいって。お前という変わり者に、心底惚れたんだよ。ついて行きますよ、ライル団長!」


「ベルナード、君の方が変わり者だ。自分に惚れるなんて」


 ライルは真剣な顔でそんなことを言うが。

 間違いなく、ライルの方が変わり者。

 勿論、いい意味で。


 何よりも。


 武官としてのトップを極め、爵位を得たライルが次に何を望むのか。知りたかったし、望むものが手に入るように応援したい――そんな気持ちになっていた。


 だがまさか次に望むものが、自身の伴侶だったとは。


 ライルは先が読めない。


 だからやっぱりコイツとは……離れがたいと思ってしまうんだ。

お読みいただき、ありがとうございます~

ライルとベルナードの友情編、お楽しみいただけたでしょうか!

ベルナード、脇役ですが、いい奴……と思っていただけたら嬉しいです☆彡

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