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私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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【番外編】出会い

「おい、アイツ、まだ剣の素振りの練習をしているぞ」

「本当だ。なんなんだ。体力が化け物並みだな」


 同期の騎士見習い達が、驚愕の表情をして、宿舎の部屋の窓から外を見ている。

 その視線の先にいるのは、一人の少年だ。


 まだ十二歳になったばかりで、剣をようやく持たせてもらったばかりだというのに。

 しかも今日は国王の誕生日の翌日で、騎士見習い達は、完全なる休みをもらっていたというのに。

 みんな爆睡し、目覚めたら爆食いし、昼寝をして、カードゲームをして遊んだりと、羽を伸ばしているのに。


 あの少年だけは、朝から体力づくりを一人行い、槍、弓、乗馬、そして今は剣の練習をしていた。


 国王の誕生日当日は、大忙しだった。

 日中は誕生を祝うパレード、昼食会。

 夜は晩餐会、舞踏会。

 さらに花火の打ち上げもあり、王都の警備も担う王立イーグル騎士団は、忙しさに拍車がかかっていた。


 そしてその王立イーグル騎士団の騎士見習いである自分も、忙しい一日を過ごすことになった。従騎士でもない騎士見習いがするのは、雑用ばかり。迷子の子供を保護したり、道案内をしたり……。そういう些末なことは、次から次へとやってくるから、昨日は本当に忙しかった。


 ゆえに多くの騎士見習い達が、今日は珍しく、その年齢に相応しい、怠惰な一日を過ごしていた。


 ちなみにこの国には三つの騎士団が存在している。


 王族を守る近衛騎士団、最前線へ投入される王立ソード騎士団、王都防衛の王立イーグル騎士団。

 一番人数が多いのが、王立ソード騎士団ではあるが。

 その人数は常に変動していた。

 それはザーイ帝国との戦争が続いているためだ。


 ザーイ帝国は、隣国を潰しては国土を広げ、ついに自分が暮らすカトレア王国へもその食指を伸ばしてきた。国境には多くの兵士と王立ソード騎士団の騎士が配備され、熾烈な戦いが続いている。


 王立イーグル騎士団は、王都防衛の要として誕生したため、最前線に送られることはない。

 それでいて王都を守るエリートだから、給金もよかった。

 伯爵家の三男である自分は、親から爵位を継ぐことはない。

 よって何らかの身を立てる術を得る必要があったが、二人の兄に比べ、自分は特に武器の扱いが得意だった。狩りに出れば、父親や兄達よりも、獲物を仕留めることができる。そこで騎士団に入ることを勧められたのだ。


 とはいえ。


 カトレア王国は長い期間に渡り、ザーイ帝国と戦争状態にある。

 王立ソード騎士団に入ったら最後、戦死するまで戦う日々になりそうだ。

 近衛騎士団は、王家命で忠犬として完全に飼いならされそうで、窮屈に思えた。

 ならば戦場に出ないで済み、給金もいい、王立ソード騎士団を目指すのが最善……そういう世渡り術も心得ていたのだが。


 一人朝から自主練をしている少年は、そう言った術とは無縁に思える。


 愚直な程に真っ直ぐで、真面目そうだった。


 こういう男こそ、王立ソード騎士団に入り、戦場に出れば、大活躍間違いなしに思えた。

 王命に従い、完膚なきまでに敵を叩きのめすように思えたのだ。


 白のだぼっとしたチュニックに黒のズボンという軽装のわたしは、部屋を出てその少年のところへ向かう。長袖の白シャツを腕まくりし、黒いズボン姿の少年は、こちらに背を向けたまま、素振りを続けている。


 剣の練習場に物は少ないが、休憩用の背もたれのない木製のベンチがあるので、そこに腰を下ろす。

 しばらくその姿を眺めていると、気付いた少年がこちらを見たので、声をかける。


「君は真面目だね」


「……真面目。そうかな。自分は……自分の目的のために、王立イーグル騎士団を利用している過ぎない」


 融通が利かない真面目一辺倒に見えた少年が、思いがけない答えを返すので、驚くことになる。


「利用している……そうは思えないけどな。朝からこの時間まで練習を続け、立派な騎士を目指しているじゃないか」


「自分は騎士団長になり、爵位を得る必要がある。そのために練習をしているだけだ。目的がなければ、こんな苦しいことは……しない」


 これには驚いた。いろいろな意味で。


 野心など微塵もないような顔をしているのに、騎士団長を目指し、爵位を欲しているとは!


 しかもその目的のために、ここまで自分を律し、練習を続けることができるとは!


 体力もそうだが、とんでもなく強靭な精神力の持ち主に思えた。


 それはこれまで見たことがない人種に思える。


 その容姿もそう。

 アイスシルバーの髪に、碧眼なんて、この国では見かけない。

 その上で、見た目に反する野心家な性格。


 面白いと思った。


 伯爵家の三男。

 のらりくらりと生きて行ければいいと思っていたのに。

 この男、ライルに会うことで。

 ベルナード・フィンの人生は……大きく変わることになる。


 でもこの時はまだ気付いていない。


 このライルの友になることで、とんでもない危険な橋を渡り、でもとびっきりの楽しい人生に巻き込まれることに――。

お読みいただき、ありがとうございます!

まずは幼い頃のライルとベルナードの出会い。

この後どうなるのか……?

引き続きお楽しみくださいませ☆彡


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