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私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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私にとって……

 少年との再会は諦めた。

 でもあの洋食屋にひょっこりエドガーが現れたのだ。


 珍しい髪色。

 あの少年以外で、アイスシルバーの髪の人物と会うのは初めてだった。

 しかもエドガーは絶妙に私の話に合わせ、かつユーリからも話を聞いていたから……。


 そこで私は、ユーリとエドガーが知り合うことになったきっかけ。

 それもまたこの少年の思い出につながることを、ライルに話すことになる。


 私が少年に会いたがっていたことを、ユーリは知っていた。よってエドガーを見つけたユーリは、私より先に発見した!とばかりに彼に声を掛けた。そしてユーリもまた、エドガーがあの少年だと思い、悪巧みを思いつく。


 あの時の少年が成長し、私ではなく、ユーリに求婚したという嫌がらせを仕掛けようとしたことを。


「なるほど。ユーリという女性は、人の不幸が糧なのでしょうね。悪魔のような心を持った人間だ。アイリの大切な思い出の少年を使ってまで、嫌がらせをしようとするなんて。でも今回、彼女は第二王子に対し、とんでもない嘘をつき、騙しました。間違いなく、極刑となるでしょう」


 具体的なところまでは明かされない形で、ユーリの罪は公になると、ライルは予想している。王族を侮辱したということで、刑を科されるだろうと。両親にもまた、監督不行き届きとして、なんらかの罰が与えられるだろう。だが既に結婚し、家を出ている私にお咎めはないはずと、言ってくれている。


「アイリの気持ちをまとめると、エドガーが昔助けてくれた少年だと思ったから、食事をしたり、お茶に応じたり、舞踏会に同伴したのですね? もしあの少年ではなかったら……」


「あの日の少年ではなかったら……そうですね。深く関わることは、なかったと思います。それでも悪意はなく、純粋に舞踏会へ行きたいと言われたら……同伴はしていたかもしれませんが」


「なるほど。親切心はアイリの美徳の一つです。そこは分かっています。結局、アイリにとって幼い頃に助けたくれた少年は、何なのでしょうか」


 核心をつく質問にドキッとする。

 もう打ち明けるしかないのかな。

 うん。

 終わった恋で、今、私はライルに恋をしている。

 だから伝えよう。


「あの日の少年に私は……恋をしていたと思います。私の初恋です。ユーリや両親により、家では孤独だった。だから『会いに来る』と言ってくれた少年に、救いを求めていたのかもしれません。立派な姿で不意に目の前に現れ、私をあの屋敷から連れ出してくれる……なんて。まさにおとぎ話です」


「アイリの初恋が、その少年だったのですか……!」


「昔の話ですよ! 初恋はその少年。そしてその後、恋をすることなく、ライルに出会いました。今はライルに恋に落ちたんです。現在はライル一筋ですよ!」


 ライルが嫉妬して、しょんぼりしたらどうしよう……と思いながら、慌てて言葉を紡ぐ。

 だが。

 あの碧眼がうるうるしてしまっている。


「ライル、初恋はもう終わったのです。気にしないでください! 今はライルが大好きです。それにライルが私をあの屋敷から連れ出してくれました。初恋の少年は泡沫(うたかた)みたいなもの。でも現実ではライルが王子様です。私を救い出してくれました!」


 だがライルのうるうるは止まらない。

 どうしようと思ったら、ライルは「ちょっと待ってください」と言い、立ち上がる。


 どうしたのかと思い、ソファで待っていると……。


 ライルが何かを手に持って戻って来た。

 騎士団の紋章のついた布を持っている。


 その布をローテーブルに置くと、ライルはその布を広げていく。

 どうやら何かが包まれているようだ。


 そこに現れたのは……。


 少し黄ばんでいるが、レースの白いハンカチ。


 ライルがそれを手に取り、裏面と思われた方をこちらへ向けると……。


「え!?」


 そこには私の名前とミルフォード伯爵家の紋章が刺繍されていた。


「……ライルにハンカチを渡したこと、ありました?」


 そう質問してから思う。

 渡したとしても、こんな黄ばんだハンカチは、さすがに渡さないと思うのだ。


 だがライルは「ええ、アイリにハンカチをいただいたことがあります」と瞳をキラキラと輝かせる。


 ま、眩しい。


「そうでしたか。でもこんな黄ばんだハンカチ、すみません。それに私はもうウィンターボトム侯爵家の人間ですから、ちゃんと新しいハンカチを用意します」


 そう言ってそのハンカチを手に取ろうとすると、ライルが私の手をそっと掴む。


「このハンカチはこのままでいいんです」


「?」


「思い出のハンカチですから。ずっと大切にしてきました」


「ずっと、ですか……?」


 するとライルは私の手の甲に唇を押し当てる。


「初めて騎士見習いとして、騎士団の本部を訪れた時からずっと。従騎士になる時。騎士に叙任される時。上級指揮官に任命された時。副団長に抜擢された時。騎士団長に就任した時も。毎日の練習や訓練。戦地にも。ずっとこのハンカチを持って行きました」

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