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私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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強靭な精神力の間違った使い方?

「アイリ!」

「はい、はい。あるじ、行きますよ」

「アイリ~!」


 ライルは戦場では“野獣”(ビースト)と呼ばれ、王立イーグル騎士団の団長だった。

 王立騎士団の団長ということは、実質この国で最強の騎士ということでもある。

 そして若きウィンターボトム侯爵家の当主なのだ。

 プラチナブロンドに透明感のある碧眼の瞳。

 シャープな輪郭に血色のいい唇。肌も艶があり、とても綺麗だ。

 無駄を削ぎ落とし、よく鍛えられた体躯であることから、純白の団長専用の隊服も実によく似合っている。


 性格は実直で、誠実。

 気遣いもでき、大変優しい。


 全てにおいて完璧に思われるライルだが、私の滞在するホテルから宮殿へ出勤するとなった時。


 腰が非常に重くなってしまった。


 仕方ないので私が宮殿まで見送ると言い、馬車に乗り込むと……。

 それまでの重い腰から一転し、ライルも馬車に乗り込んだ。


 その馬車の中では、甘える大型犬モードで私に抱きつき、頭を撫で、頬に触れられることに喜んでいる。


 だが宮殿が近づくと、途端に元気がなくなり……。

 エントランスに到着し、御者が扉を開けても、降りようとしない。


 するとそこに、ベルナード他、騎士団のメンバーがやってきた。

 彼らは馬車からライルを、文字通り引きずり下ろす。


 ライルは自身の身体能力を存分に生かし、私から離れまい、馬車から降りまいと頑張るが。


 屈強な、大男のような騎士五人がかりには叶わず、遂に馬車から下された。そして担がれるようにして、宮殿へ入って行く。私はその姿を見送り、ベルナードに宥められたライルは「アイリ~!」と悲痛な叫び声を上げていたのだ。


「若旦那様は、本当に若奥様のことが大好きなんですね。それなのに初夜のやり直しまで、手を出すつもりはないなんて。既に婚姻関係を結び、我慢する必要はないのに。その強靭な精神力の使い道は、間違っているとしか思えませんが……」


 ライルの代わりに馬車へ乗り込んできたフィオナは、しみじみとそんなことを言う。これには私も苦笑するしかないが、そこを含めてのライルなのだ。


「それで若奥様、今日の予定ですが、このまま午前中は商会の事務所で商談に同席いただき、その後はランチミーティング。ランチ後は、タウンハウスに向かっていただき、お店の内装確認です」


 お店の内装確認。

 そう、そうなのだ。


 薔薇石英の宝飾品を販売するお店を、王都に作った方がいいのでは?となった結果。


 あの広大過ぎるタウンハウスを活用する案が、浮上したのだ。

 確かにタウンハウスは、元はホテル。店舗が残っている。

 そこを活用しない手はない!

 ということで元々宝飾品店があったので、そこを薔薇石英の第一号店にしようとなったのだ。さらにその隣に商会の事務所も置くことで、話はまとまっている。


 そして今日は。


 その店舗として使う予定のお店の内装を、確認することになっていた。

 つまりそのまま活用する部分、改装する部分を、チェックしていくわけだ。


 ライルは任務で忙しく、私が自由気ままな侯爵夫人だったら。

 私がライルに甘えたいモード全開だったかもしれない。

 だが幸いなことに、薔薇石英のおかげで忙しかった。

 甘えたい気持ちを喚起する暇はない。


「そういえば今晩は確か、舞踏会の予定があったわよね?」


「はい、その通りです、若奥様。若旦那様は昨日一日休みでしたので、今日の舞踏会には参加できません。ベルナード様も無理なので、お一人での参加となります」


「ダンスが目的ではないから。同伴者がいなくても問題なしよ」


 こうして今日の予定を確認しながら、まずは商会の事務所へ向かった。


 ◇


 午前中からランチタイムまで。

 怒涛の勢いで時が流れた。


 そして今。


 ライルと私の未来のタウンハウスに、馬車が到着した。


 かつての店舗が集結しているのは、一階の東側エリア。

 そこへ向け、商会のメンバーと共に、移動開始だ。


 ショッピングエリアだった東側エリアは、南の海洋都市のリゾートをイメージし、造られていた。床は石畳で、白亜の壁の建物や噴水広場まであった。手入れもきちんとされていたので、この状態を生かすことになっている。


「ここに宝飾品店と事務所を置くなら、軽食と飲み物を提供するカフェも、残してもいいかもしれないわ。来店客には、飲み物やお菓子を出すでしょう。せっかくならそのカフェの飲み物やスイーツを、活用すればいいと思うの。味も本格的になるし。それにお店を見た後、『ちょっと休憩しましょうか』に絶対になるはずよ。商機があると思うの」


 商会のメンバーにこの考えを伝えると、大いに喜ばれた。

 事務所も併設されるので、カフェがあると嬉しいというわけだ。


「宝飾品と、切っても切り離せないのは、衣装ですよね。ブティックも一軒、残してもいいかもしれません。宝飾品とドレスのトータルコーディネイトを提案できると、喜ばれると思いませんか」


 目的の店舗に向け歩いている最中、商会メンバーからも次々と案が出る。


「それはいいと思うわ。絶対にブティックも一軒、用意しましょう。そこではバッグ、日傘、扇子などの小物も扱うようにするの。その小物には、薔薇石英の宝飾品を飾れるようにしましょう。付け替え可能なチャームを用意して」


 私の案に商会メンバーは「素晴らしい! そうしましょう」と盛り上がったところで、予定している店舗に着いた。そして内装業者、家具屋と挨拶をする中に――エドガーがいた!

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