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私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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我慢の理由

 一度抱いたら終わりにしない作戦は、まさに焦れ焦れ作戦の別バージョンに思えた。


 さらにフィオナとの会話で成功イメージもバッチリ沸いている。

 きっとうまく行く。


 そう確信したところで、ライルが入浴を終え、リビングルームへ戻って来た。


「アイリ、先にさっぱりさせていただきました。ありがとうございます」


 久々に見たお風呂上りのライル。

 ホテルの濃紺の厚手のガウンも、よく似合っていた。


「ライル、飲み物を用意しておきました。紅茶ですが……。もしお酒が必要でしたら、フィオナに言っていただければ、用意させますので」


「ありがとうございます、アイリ。明日からまた任務なので、お酒は大丈夫です」


 そう言って微笑んだライルは、白のバスローブを着ている私を抱き寄せ、「ゆっくり汗を流して来てください」と言って額へキスをする。


 フィオナがそこにいるのに、気にすることなくキスをするライルに、心臓がドキドキしてしまう。


 そのキスの後、フィオナに目配せすると「何かあれば対応するので、お任せください」のウィンクが送られる。それを見て安心した私は、バスルームへ向かう。そこには既にメイド二人が待機しており、入浴を手伝ってくれた。


 ゆったり湯船につかっている間に、メイドが二人がかりで髪を洗ってくれる。その間にライルが唇へキスをしなかった理由を、再び考えることになった。


 そこで気づいたことがある。

 キスもそうだが、ライルは私を抱きしめようとして、何度か我慢することがあった。


 白い結婚であることを思い出し、スキンシップを躊躇したのかと思ったけれど……。


 もしそれが正解ならば。


 手をつないだり、洋食屋への行き帰りの甘える大型犬モードは、どういうこと?となってしまう。白い結婚うんぬんとは別の理由で、ライルは突然、自制している気がする。


 その一方で。


 エドガーと私が会話し、ジュエリーボックスを贈られようとしている場に現れたライル。あの時は逆に怒りの感情を、思いっきり表出させていた。


 だがクールダウンし、そして私もエドガーのことを話さなかったことを謝り、お互いに許しあった時……。そう、あの時もライルは、私を抱きしめることをためらっていた。


 なぜなのかしら?


「若奥様、髪、洗い終わりました」

「ありがとう、助かるわ」


 この後は体を洗い流し、入浴は完了。

 入浴自体はこれで終わる。

 だがしかし。

 しっかり髪を乾かす必要がある。


 これはもうメイドが二人掛かりで頑張ってくれた。最終的に乾いた髪に、ピオニーの香りの香油をつけ、シルクのピンク色の寝間着、白の厚手のガウンを着て終了だった。


 リビングルームへ戻ると、ソファで寛ぐライルは書類を確認していた。

 領地から届く書簡は、このホテルの部屋に集約されており、基本、それらは報告書。ライルの決裁が必要な書類は、騎士団宿舎の方へ届けられている。


 よってライルは今、とても寛いだ様子でそれらの報告書に目を通していた。

 そして私が戻って来たと分かると……。

 透明感のある碧眼を細め、プラチナブロンドを揺らし、全力の笑顔でソファから立ち上がった。


「アイリ、飲み物は? 紅茶でいいですか」

「そうですね」


 そこでフィオナを見ると、すぐに動いてくれる。

 一方のライルは私の手を取ると、ソファへ座るよう導く。


「ガウン姿のアイリを見るのは久々です。寝顔はたっぷり眺めましたが、その時は寝間着で掛け布団もありますからね」


 そう言うとライルは早速私を抱き寄せ、額へキスをする。

 そこで私は心臓をトクトクとさせながら、ライルに尋ねることにした。


「ライルは……ここしばらく、私を抱きしめようとして、我慢していましたよね。でも私が刺繍したマントを贈ったら……抱きしめてくれました。そこからは以前と同じように私に甘え、抱きしめ、額や頬にキスをしてくれています。でも……今度は唇へのキスを我慢していませんか」


 私を抱き寄せていたライルは、そこで身を固くしたが……。


「……そうですね。アイリにはバレていないと思いましたが……そんなことは、なかったと。気付いていたわけですね」


「何か理由があるのですよね。私に何か至らない点があるなら、教えてください。改善したいんです!」


 するとライルは私から体を離し、心配そうな顔をで私を見る。


「これから話すことを聞いたら、嫌われるのではないかと不安です」

「……? どういうことですか」


 ライルは視線を落とし、ため息をつく。

 そして切なそうに言葉を紡ぐ。


「宮殿に来ていたアイリに、気付いていました」


 これにはもう、盛大に心臓がドキッと反応する。

 紅茶の入ったティーカップを用意してくれていたフィオナも、一瞬、体が揺れた。


「自分は意に添わぬ任務中でしたが、最愛を見間違えるわけがありません。執務室近くの外廊下に、フィオナと一緒にいましたよね? フィオナはいつものグレーのワンピース。アイリはターコイズブルーの鮮やかなドレス姿でした」


 その日の私のドレス。

 確かにターコイズブルーだった。

 間違いない。

 目撃……されていた。


「ドレスの色が鮮やかだったので目についた、というのもあります。それでも自分は、興味のない令嬢に視線を向けることはありません。ですがあの時は、フィオナらしき人物の姿も見え、自然と目が吸い寄せられました。そしてアイリを見つけてしまったのです」

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

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