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私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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一度抱いたら……

「……帰りたくないです」


 ライルが乙女のようなことを言い出すので、そうなると私が男前な発言をするしかなくなる。


「ライル、それならば泊まってください。部屋にベッドは二つあります。朝一番で騎士団宿舎へ戻ればいいではないですか」


「でもいいのですか……?」


「私達は婚約中というわけではなく、結婚しています。夫婦ですから。同じ部屋で朝を迎えても、誰も文句を言いません」


 そこでハッとするライルは……。

 ピュア過ぎるというか、やはり乙女!


「では朝までアイリと」「一緒です」


 即答するとライルは、とろけそうな笑顔で私を見た。

 そして嬉々として「帰りましょう!」といきなり元気になるのだから!


 帰りの馬車の中では、再びの甘える大型犬モードで、私をぎゅっと抱きしめている。しかも行きよりその甘えぶりが加速している。というのも行きは抱きしめているだけだったのに。今は額や頬、鼻の頭にキスをしているのだから……。


 これまでは焦れ焦れ作戦を遂行していたので、キスにはストップをかけていた。


 でもそれはもはや終わっているので、こんな風にキスをされても……問題ないのよね?


 というか……。


「ライル」


 いつもの逆で、私から彼の名前を甘々で呼んでみる。

 するとライルは犬だったら「きゅう~ん」鳴きそうな顔になり……。


 唇へキスをしたいが、それを我慢した結果が、頬へのキスになっている気がした。


 なぜ唇へのキスを我慢しているのかしら?


 馬車の中だから?

 私が唇へのキスを止めたことがあったから?

 それとも唇へのキスをためらう何か別の理由がある?


 もしここで、ためいらなく唇へのキスをしようとしたら……。

 ストップをかけ、そして高級娼館の件を聞けるかもしれない……と考えたのだけど、そううまくは行かない。


 そんなことを考えているうちに、ホテルへ到着した。


 ◇


 既に入浴の準備はできていた。

 よって私がドレスを脱いでいる間に、ライルには入浴を進めてもらった。


 メイドは呼ばず、フィオナに手伝ってもらいながら、先程の馬車での様子を伝える。


「なるほど。唇へのキスを我慢されたのですね」


「そうなの。キスしようとするのを私が止めるのではなく、ライル様自身が我慢をしている。こうなると、焦れ焦れ作戦の方法は無理よね。理性が吹き飛び、違和感を無視して本音を語る状態には……」


「それは無理ですね。唇へキスをしたいのに我慢している時点で、理性が働いていますから、高級娼館の件を尋ねたら『なぜ知っているのですか?』になると思います」


 そこで私ががっかりして肩を落とすと、フィオナはこんな風に励ましてくれる。


「若旦那様は『きちんと場を整えるのでチャンスをください』と初夜のやり直しを誓ったのですよね? それはもう脱・白い結婚ですから。懸案事項のうちの一つは、解決も同然じゃないですか」


「でも……初夜のやり直しだけで、脱・白い結婚ではないかもしれないわ」


「そんなことはありませんよ。若奥様は自信を持ってください、心身共に。一度抱いたら、それで終わり……にはできないと思います」


 そこで私は「そうよ!」と思わず手を叩く。


「フィオナ、私もそれを考えていたわ。初夜のやり直しだけでは済ませない。何度でも抱きたいと思ってもらうには、どうすればいいの!?」


「それは焦れ焦れ作戦と同じですよ。一度では味わい尽くせない。もっと味わたい。もっと知りたい。そうやって気持ちが昂っている状態で、続きは明日の夜に――とすればいいのですよ」


「そんなこと、できるものなの?」


 私が首を傾げると、フィオナはニコニコと笑う。


「若旦那様は騎士団長で、“野獣”(ビースト)と言われている方です。間違いなくスタミナがある。そうなると一晩で、一度だけで終わるはずがありません。それに高級娼館で抱いていたのが、男娼であるならば。初めての女性の体に、興味が尽きないと思います」


 ライルが高級娼館で抱いていたのは男娼……。

 もはやそのイメージばかりが浮かんでしまうが、もしそれが本当なら。

 確かに男性と女性とでは、まったく体が違う。

 興味が尽きない……そうなると思えた。


「スタミナもあり、興味もある。そうなれば一度では終わらず、もう一度抱きたいとなった時に『今回は初めてで、もう今日は無理です。明日にしていただけないでしょうか……』と若奥様が懇願すれば。若旦那様は、無理強いは絶対にしないと思います!」


「なるほど……。そうなると翌日の夜にも声が掛かるというわけね」


 フィオナは頷く。


「翌日の夜も同じようにすればいいのです。やはり一度ではその欲求は終わらないでしょうが、若奥様がストップをかける。『また明日でお願いします』と」


 何度もストップをかけるのは可哀そうな気もする。

 でも……。

 そもそもの話。

 一晩に何度も抱くようなものではない――と思える。よって私自身が心から「一晩に二度なんて無理です!」となる可能性が高かった。ゆえに可哀そう……などと思っていられない気もする。必然的に「明日にしてください!」になるのでは?


 そしてその明日にしてくださいが繰り返されれば……。それはもはや初夜のやり直しには、思えなくなる。つまり脱・白い結婚だろう。


「若旦那様の満足を先延ばしにすることで、気づけば毎晩のように、若奥様のところへ足を運んでしまう……という状況を作り上げればいいのですよ。そうなったら旦那様も『白い結婚のはずなのに、自分は何を……』と気づき、でももう止められないでしょう」


 確かにフィオナの言う通りだ。初夜のやり直しをきっかけに、脱・白い結婚は成功する気がした。


 とこんな風に懸案事項の解決をフィオナと二人で語り合っていたのだけど。

 それが思いがけない形で解決することになるとは……。


 この時の私は勿論、フィオナだって気付いていなかった。

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