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私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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甲斐甲斐しい

 翌日。


 ライルとの焦れ焦れ三日目を迎えると思ったが、月のものが重く、夫婦の寝室へ向かわず休むことになった。明日からは王都へ向け、出発となる。ゆえに無理をする必要もないと言われ、夕食の後は、拭き洗いで体を清め、早々に休むことになった。


 そして迎えた王都への出発日。


 前日、早めに休んだこともあり、この日は痛みも治まっていた。

 ウールの厚手のペールブルーのドレスを着て、タイツもしっかり履いている。

 体を冷やさないよう気を付けての出発となった。


 エントランスには義母が見送りに来てくれている。


「アイリさん、ライルのことを頼みますね。春になったら丁度タウンハウスに住めるようになるわ。そうしたら私も王都へ行くから。それまでに完全に体力を回復しておくわ」


「ええ、お義母様、ぜひ王都で会いましょう! それまでにタウンハウス、きちんと整えておきますね」


 ロイヤルパープルのドレス姿の義母と抱き合い、そしてライルのエスコートで馬車へと向かう。


 今回、フィオナなどの使用人は別の馬車で、私はライルと二人で馬車に乗ることになっていた。


 御者とライルに手伝ってもらい、馬車の席に腰を下ろしたが……。


 ふかふかで驚く程快適!


 長旅と私が月のものであることから、座席には毛皮が敷かれているが、これがふかふかでとても温かい。元々座席もクッションを効かせ、お尻が痛くならない設計にしていると聞いていた。そこにこのもふもふ。これなら間違いなく、快適な旅ができそうだった。


 さらに。


 私の後に乗り込んできたライルは、これまた毛皮で出来た、膝掛けを用意してくれている。


 これだけしてくれれば、体が冷えることもない。


「アイリ、寒くはないですか? 痛み止めの薬も用意してあります。それに」


「ライル、落ち着いてください。大丈夫ですよ。痛み止めは朝食の後に飲んだので、次は夜寝る前に飲みます。今は気分も良く、問題ありません」


「そうですか。それならば良かったです。このタイミングで王都出発になり、本当に申し訳なく……。本当は自分だけ先に出発し、アイリは後から来るのでも良かったのですが……。ですが行きの盗賊の件もあります。自分が一緒であれば、この身に代えてもアイリを守れるので……」


 勿論、そうなのだろうということは、私も分かっていた。

 間違いなくライルと一緒が一番安全だ。

 何しろ、思いっきりライルがいるということをアピールして進むし、同行しているのはライルの側近のベルナードなどの精鋭ばかり。


 森にいるならず者は息を潜めて隠れ、ライルが通り過ぎることを心底願うと思う。


 こうしてローズロック領を朝に出発した私達は、日中、例の危険な森を通過した。


 あの盗賊に襲撃された場所。

 覚えているかと思ったが、ちゃんと分かるようになっていた。

 ライルの采配で石碑が作られていたのだ。

 その石碑には花が手向けられており、いつの間にか旅の安全を願う石碑のようになっているという。


「実は花束を用意しています。皆で祈りを捧げましょう」


 ライルの完璧な配慮に感動しながら、フィオナを始めとした使用人達と共に、石碑に祈りを捧げた。亡くなった従者と御者の冥福を祈り、旅の安全を祈願する。


 最初は惨劇の場を通過することが、怖いと思ってしまうのではと感じていた。

 だが石碑とそこに沢山手向けられた花。さらにはあの時と違い、夜ではなく、日中だった。その結果、恐怖よりも、祈りを捧げたいという気持ちが勝ってくれたのだ。


 そんな一幕もあったが、無事、森を抜けることができた。

 途中、ならず者が登場することもない。

 やはりライルがいるだけで、旅はぐんと安全になったと思う。


 こうして森を抜け、この日泊まる予定の旅宿に到着できた。


 ちなみにこの旅宿を丸ごと一つ貸し切っても、部屋数は足りない。ゆえに近くの宿に分散して兵士達は泊まることになったのだけど……。私がローズロック領へ向かった時を思えば、随分と大所帯だった。


「アイリの部屋はこちらです。鍵はフィオナに渡しておきます」


 ライルは鍵を開けると私に中へ入るよう促し、フィオナに鍵を渡している。


 ライルと私は夫婦であり、本来であれば同室で案内される。だが私が月のものであることを考慮し、部屋を別々にしてくれていた。


「アイリ、今日は夕食を摂ったら、早めに休んでください」


 その言葉に従い、宿の一階の食堂で、皆と夕食を摂った後。

 早々に拭き洗いで体を清潔にして、休むつもりでいたが……。


 カモミールティーをライルが届けてくれて、そして――。


「馬車で座っている時間も長かったので、血流が悪くなっていると思います。足をマッサージしましょう」


 なんと手ずからで私の足をマッサージしてくれたのだ!


「騎士団長であり、侯爵であるライルにマッサージをしていただくなんて……」


「騎士団長であり、侯爵ですが、自分はアイリの夫です。遠慮はしないでください」


 この言葉と甲斐甲斐しさに、やはり私はメロメロになっている。

 しかも焦れ焦れ度はマックスだろうに、脚のマッサージを終えると、爽やかな笑顔でライルは退出するのだから……。


 ライルの心が読めない!

 でもこのマッサージにより、私の焦れ焦れ度は確実に上がっている。


 できれば脱・白い結婚を……そう願わずには、いられなくなっていた。

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