表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/112

理性崩壊の危機

 同じ場所は×。つまり唇のキスはもうできないのに!

 ライルの端正な顔が近づき、私は本能で目を閉じ――。


「!」


 唇ではない。


 鼻の頭に「ちゅっ」とライルが可愛らしい音と共に、キスをしている。


 まさか鼻の頭!?


「アイリの鼻は、顔の真ん中にちょこんとあって、とても愛らしいです。本当はパクッとしたいぐらいですが、我慢します」


 またもライルの言葉にメロメロにされてしまう。

 理性崩壊の危機は、私の方にあるのでは!?


 必死に堪え、心臓は爆発しそうなのに、そんな素振りを見せずに。


「ありがとうございます、ライル。では私の番ですね」


 すっと立ち上がり、ライルのサラサラの前髪に触れる。

 プラチナブロンドの髪はシルクのような肌触り。

 その前髪をすっと持ち上げ額へキスをした。


 「ちゅっ」という可愛い音に、ライルが息を呑む様子が伝わって来る。


 そのまま閉じられている左右の瞼にもキスをすると……。


 「アイリ……」と甘々な声を出したライルが、私の背中に腕を回す。

 でもその腕をゆっくりほどくと、トンとライルの肩を押した。


 不意を突かれたライルが、そのままソファにもたれる。

 膝をソファにつき、ライルの白い寝間着のボタンをはずす。


 うるうるの瞳のライルがじっと私を見ていることに、鼓動が激しくなっているが、そんな様子はこれっぽっちも見せずに……。


 ライルのデコルテは、男性らしく引き締まり、肌がピンと張っている。

 その鎖骨にキスをして「きゅっ」とその肌を吸う。


「あっ……」


 ライルが乙女のような声を出すので、またも私は悪者気分だ。


 このままもっといろいろな場所にキスをして、ライルが悶絶する様子を見たくなるが、ルールの四回のキスは終わっている。


 ソファから膝を下ろそうとすると、ライルが背もたれから上体を起こし、私をぎゅっと抱きしめた。


 丁度私のお腹辺りに、ライルの顔が押し当てられ、もう心臓がドクドクと反応している。


 サラサラのプラチナブロンドをゆったり撫で、その体を抱きしめたくなるが……。


「ライル、私、そろそろ休むわ。月のものの時は、眠くなってしまうの」


 「えっ」という声を呑み込んだライルは名残惜しそうに、でもそこは自身を律し、ゆっくりと体を離す。


「アイリ、部屋に戻りますか?」


「いえ、この部屋はとても暖かいので、こちらで休みます」


「分かりました。これから歯を磨き、眠るための準備をされますよね」


 その通りなのでこくりと頷くと。


「寝る準備が整うまで、一緒にいてもいいですか……」


 こんな風に尋ねられ、「ダメです」なんて言えるわけがない!

 それでも現在、焦れ焦れ作戦の最中。


「私が歯磨きする姿を見ても……退屈ではありませんか?」「ありません」


 懸命な様子が堪らない程、可愛らしい!


 結果としてライルは、私のことを後ろから抱きしめ、そうしている間に歯磨きをすることになった。


 こんなに全身全霊で甘えてくれるのに。

 なぜ高級娼館に足を運んだの……?


 そこでふと気付いてしまう。

 もしかすると高級娼館に足を運ぶのは、今回が初めてではないのかもしれない。

 昔から通っている可能性は……。


 兵士にしろ騎士にしろ。

 戦場に出ることでアグレッシブになり、その熱を収めるため、女性を抱くことがある――そう聞いたことがある。


 “野獣”(ビースト)と呼ばれる程、戦場で荒々しく戦闘しているのなら。

 その熱は相当なものだろう。

 戦場から戻っても、数日はその熱が残り、その発散のために高級娼館に足を運んでいたら……。馴染みの高級娼婦がいる可能性もある。


「アイリ、大丈夫ですか? 具合が悪いのでは?」


 考え込み、歯磨きをする手が止まっていた。

 私は否定の意味を込め、首を振ると、歯磨きを続ける。


 馴染みの高級娼婦がいるなら、その体を気に入り、彼女以外は抱く気になれない。


 そんな可能性も考えられる。


 それでも結婚したのだ。


 跡継ぎのことを考えると、白い結婚を長く続けるわけにもいかないと思っているのでは? なんとか私を抱けるようになろうと、こうやってスキンシップをとり、努力をしている……とか?


 考え事をしながらなので、長々と歯磨きをしてしまったが。

 ライルは「歯磨きの時間が長いのは大歓迎です」と、私と一緒にいられる時間が少しでも長くなることに喜んでいる。


 そんな様子を見ると、ますます分からなくなってしまう。

 ともかく。

 焦れ焦れ作戦二日目。

 間違いなくライルの気持ちは高まっている。


「アイリ、歯磨きも終わったのなら、ベッドまでは自分が連れて行きます」


 そう言うとライルはひょいっと私を抱き上げる。

 そのままベッドに運ばれ、下ろされると……。


 きゅんと切ない気持ちになる。

 このベッドは夫婦のためのものなのに。

 ライルは一度もこのベッドに横になったことがない。


 この大きすぎるベッドで休むのは……今日も私一人。


「ゆっくり休んでくださいね、アイリ」


 そう言ってライルは祝福を込めた額へのキスをする。


 その瞬間。


 ライルも焦れ焦れなのだろうが、私だって焦れ焦れだ。

 そして思いがけず、この焦れ焦れ状態が長引くことになるとは……この時の私は想像もしていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ