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私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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偶然?

 ライルに嫁いだ私のために、用意された屋敷の部屋。


 それは……。


「まあ! これはなんというか、お嬢様にぴったりのお部屋ですね!」


 そばにいたフィオナが思わずそう言うくらい、私好みの部屋だった。

 まず、寝室に続く隣室は応接室も兼ねていた。

 ソファセットが置かれ、そのそばには暖炉がある。

 そのソファは、淡い水色と白のストライプ柄に、小花が散らされたデザインのファブリックだった。


 私は水色が好きで、服も水色のものが多かった。

 当然このデザインは、一目で好きになる。


 絨毯は紺碧色で、カーテンはオフホワイト。

 この青系統に白を組合わせるのも、私のお気に入りの配色だった。


 窓際には執務にも使われるデスクセットがあり、そちら側の壁一面は本棚になっていた。


 ズラリと並ぶ本は、王都の本屋で並ぶものと遜色ない。

 小説、学術書、図鑑、詩集、経営や統計、数学、天文学の本まで揃っている。

 有名なものから、初めて見るタイトルも並び、既に私は読みたくなっている本があった。


「寝室も素敵ですよ」


 ベルナードにそう言われ、寝室の扉を開けると――。


 天蓋付きベッドは、スノーホワイト色のベッドカーテン。ミルキーブルーの寝具には、フリルが沢山飾られ、とてもファンシー。そして私は……意外にもこの可愛らしい感じが好きだった。でもこういう可愛らしいものはユーリ専用。私はシンプルなものしかあてがわれていなかった。


 そして絨毯は深海のような深い青、カーテンは光沢のある青。

 暖炉のそばには猫足のカウチが置かれ、ちょっと昼寝をするのに快適そうだった。


 壁紙は白地に青でアラベスク文様。

 ちなみに隣室の壁紙は、白地にゴールドでリーフ模様があしらわれていた。


 そしてこの寝室、とてもいい香りがする。


「ベッドサイドテーブルに置かれている花はピオニーです。温室栽培しているもの。そのピオニーで作った香油やクリームを用意してあります。そしてそちらの香炉でピオニーのこうを焚きました。この香は舶来品を元に、(あるじ)が所有する商会で作ったものです」


 ライルは武功を上げ、褒賞を貰うと、それを元手に商会を立ち上げた。

 その商会では舶来品を自国生産できないかというチャンレジをしている。

 交易で得る商品は、価格がどんどん上がっていた。

 自国で生産できれば、より多くの人が楽しめるようになる。

 よってライルの商会には、国王陛下も一部出資しているというのだ。


「私、実はピオニーの花も香水も大好きなんです。……偶然でしょうが、嬉しいですね」


「偶然だと思いますか? 主はこの短期間で、ミルフォード伯爵令嬢について懸命に調べていましたよ」


 ベルナードはニッコリ笑い、私はただただ驚くしかない。

 ユーリと私を勘違いして、結婚を受け入れたのではないか。

 顔を合わせることがないまま、領地まで来てしまったが、本当に大丈夫なのか。

 その不安は常にあった。

 でもこの部屋を見て、ちゃんとミルフォード伯爵家のアイリを伴侶として迎えるつもりなのだと理解できた。これは大きな安堵につながった上に、先程までのライルに対する”獣のようで怖い”という思いも薄れていく。


「主が勘違いで、ミルフォード伯爵令嬢を迎えるわけではないと、ご理解いただけましたか」


「はい……。疑ってしまい、申し訳ありませんでした」


「いえいえ。それではどうぞ、入浴を進めてください。昼食の時間になりましたら、迎えに参ります。そこで主との顔合わせです」


 心臓がドキッと反応している。

 ついにライルと対面なのね……!

 あ、違う。

 初めて会うわけではない。

 兜を被り、顔が見えない状態で会っていた。


 そこでまたもべったり血がついた兜を思い出し、頬が引きつりそうになる。


「あの、主は……王都では“野獣”(ビースト)と呼ばれているのですよね?」


 ベルナードに指摘され、ビクリと体が震えてしまったと思う。


「やはり。主にとっては不本意な呼び名です。“野獣”(ビースト)などではなく、この国の“英雄”(ヒーロー)なのに。確かに戦場はまさにヘル(地獄)です。そこは命の奪い合いをする場ですから、当然ですよね? 主が命を賭して戦うことで、王都にいる皆様の生活が守られたのです。そこだけはご理解いただきたく……」


「……! その通りですね。すみません。百聞は一見に如かずと言われていますし、私は自分の目で見たことを信じます」


「良かったです。やはり主はあなたを伴侶に迎えるのが正解に思えます。あ、あとですね。主は男の私から見ても、ハンサムだと思います」


 ベルナードが少し自慢気な顔でそんなことを言うので、思わず笑ってしまう。

 男性の言うハンサムは、外見より内面重視が多い。

 きっとライルは性格や人柄が、同性から見ても好ましいものなのだろう。


 部下や同僚から慕われるライル。

 間違いなく、人徳者なんだ。


 見た目がどんなに美しくても。

 ユーリのような冷たい性格の人間もいる。

 ライルの容姿が例え“野獣”(ビースト)であっても。

 私は気にしない。

 大丈夫。

 まずは助けてくれた御礼と感謝を伝えよう。

 次に私を伴侶に迎えるため、素敵な部屋を用意してくれたこと。

 嬉しかったと伝えよう。

 そして不束者であるが、精一杯ライルと領民のために尽くしたいと伝えなきゃ。


 改めて決意を固め、ライルと会うことになるのだが――。

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