モブNo.200∶「それでピリピリしてたわけか……お悔み申し上げるよ」
9/25発売の第五巻です。
コミカライズは…ちょっとわかりません……
右は『美女すぐる皇帝陛下』『萌え声を持つ女帝』アーミリア・フランノードル・オーヴォールス皇帝陛下
左上は無敵の受付嬢? アルフォンス・ゼイストール
左下は書籍版ヒロイン? のフィアルカ・ティウルサッド
と、なっています。
サークルース家の私兵軍から逃れた後も、目的の小規模海賊を探し続けた結果、3日後にようやく見つけだし、捕獲することができた。
情報通り小規模の海賊で、初老夫婦と中年女性の親子で、戦闘艇1機と小型貨物船一隻で仕事をしていたらしい。
なんで親子で? と、不思議だったが、既婚者だった中年女性が浮気が原因で、慰謝料の支払いを請求されたため、だそうだ。
海賊親子は現地の警察に引き渡し、機体は傭兵ギルドに買い取ってもらった。
彼等自身に掛けられた賞金60万クレジットに、彼等の使っていた戦闘艇2機が合わせて350万クレジットになったので合計410万クレジットの収入だ。
僕はそれを、惑星イッツの傭兵ギルドで、情報で受け取った。
「本当にお前は戦闘艇の買取額を下げずに仕留めるのが上手いな」
ローンズのおっちゃんが、感心しているのか呆れているのか分からない口調で話しかけてくる。
「少しでも手元に金が必要だったからね」
海賊の持っていた船や基地を買い取ってくれるという話を初めて聞いた時は、ありがたいとしか思わなかった。
それからは、海賊退治の度に試行錯誤をして、相手が逃げられない、かつ一番高く買い取ってくれたのが噴射口だと判明した訳だ。
「それで、またすぐ仕事か?」
「いや。船をオーバーホールしてもらうことにするよ。少し休みたいし」
流石に12日間捜索しっぱなしは大変だったのでしばらくはゆっくりしたい。
「そうしな。お前ワーカーホリック気味だからな」
「借金を真面目に返そうとすれば誰でもそうなるよ」
正直借金があるうちは、休んでいる時間が不安に駆られていたけれど、休まないと十分な仕事ができなくなるから取っていたようなものだった。
「そうだ! いいものがあるんだ」
そう言っておっちゃんは何かを思い出したようにデスクをあさって取り出したのは、『プラネットレースファン感謝イベント』の招待券だった。
しかも今どき珍しく、プラペーパー製の実体があるチケットだった。
「どうせ毎度毎度本ばっかりなんだろ? たまにはこういうのに参加してこい」
おっちゃんには僕の知り合いにプラネットレーサーがいるとは言ってなかったはずだから、偶然なんだろう。
イベントのホームページには、従来のファンに加え、プラネットレースがどんなものか理解してもらい新しいファンを取り込もうという催し物で、レースに使用した機体やパイロットのパイロットスーツの展示、レースの歴史やレース会場となった惑星の紹介、協賛会社の様々な販売ブース、現役レーサーとのフリートークなどかあるらしい。
開催は4日後で、会場は市民文化ホールらしい。
「まあ、時間ができたら行ってみるよ」
チケットを受け取り、船をオーバーホールするために船に乗り、『ドルグ整備工場』に向った。
ビル・ドルグさんのおやっさんのところに船を預けたあとは、次はゴンザレスのところに向った。
闇市商店街はあいかわらす賑やかだった。
因みに例の肉屋の今回のオススメは、
『白濁に溺れし黄金の玉の繭』
『煮え滾る油泥に堕ちるミノタウロスの黒血の臓物』
の2つだった。
いつも通り、それらと炭酸飲料を買って、パットソン調剤薬局に行く。
「よう」
「おう。生きてたか」
「まあね」
炭酸飲料と『白濁に溺れし黄金の玉の繭』と『煮え滾る油泥に堕ちるミノタウロスの黒血の臓物』の入った容器をカウンターに乗せると、まずは揚げたての『煮え滾る油泥に堕ちるミノタウロスの黒血の臓物』を食べることにした
自家製の特製ソース『闇汁』ももらってきたのでそれもかける。
正直これはかなり美味しかった。
とくに自家製の特製ソース『闇汁』が、甘さと塩っぱさと辛さと酸っぱさが完全に調和してて最高で、『煮え滾る油泥に堕ちるミノタウロスの黒血の臓物』は、あっという間に食べてしまった。
そうして『白濁に溺れし黄金の玉の繭』=コーンクリームコロッケと『煮え滾る油泥に堕ちるミノタウロスの黒血の臓物』=牛レバーのカツレツを食べ終わると、本題を切り出した。
「なあ、サークルース伯爵家って調べられるか?」
「ああ勿論。でも、なんで急に?」
僕が差し出した代金の封筒を受け取りながら、ゴンザレスは首の後ろにコードを挿する。
「仕事の最中に出くわして、危うく撃墜されかけた」
「良く生きて帰れたな」
「まあ、謝罪はしてくれたし、大事にするのも良くないしな」
なにしろ相手は貴族であるからして、下手に抵抗したり詮索したりするとこっちが悪者になるから、向こうが穏便に済まそうとしたなら、乗っかった方が安全だ。
ゴンザレスはそれから動かなくなり、1時間かからずに戻ってきた。
「早かったね」
「有名な家だからな。情報は多い」
ゴンザレスは首のコードを抜き、情報を話し始める。
「サークルース伯爵家は、主星である惑星ブロスラント・一大観光地であるナジナス宙域・鉱山惑星のイクスビー・活火山が多くて温泉があり、過去に皇帝が湯治に来たこともある惑星バエファを領地にもつ大貴族だ」
「それにしては爵位が低くない?」
惑星3つはともかく、宙域を所有している貴族なら侯爵の爵位があってもおかしくはないはずだ。
「その理由としては、何代も前に自分から断ったとも、色々嫌がらせがあってできなかったともいわれている。そのためか一部では、大銀河帝国では使用していないが、侯爵に匹敵する爵位である『辺境伯』なんて呼ばれているらしい。領地民からの評判は、悪い話は一切ない。領地内だけでも、教育や医療やインフラには気をかけているらしいし、変に威張りつけたりという話もない。まさに高貴なる者の義務を体現してる感じだな」
「皇帝陛下からしても頼もしい人だろうな」
こういう貴族ばっかりなら、先代の皇帝陛下が改革なんかやらなくてもよかったんだろうなと考えてしまう。
「あと最近の出来事としては、最近息子が亡くなったらしい。海賊退治中の事故だと。ずいぶん慕われていた人物らしいな」
「それでピリピリしてたわけか……お悔み申し上げるよ」
なるほど。
それなら海賊に対して過激な反応をするわけだ。
あの殺気からして相当に腹を立てていたんだろう。
こっちまで殺されそうな雰囲気だったからね。
「ともかく悪い評判はないな。気にしなくていいんじゃないか」
「そうだな」
そういうとゴンザレスは、残っていた炭酸の抜けた炭酸飲料を飲み干した。
ご指摘があり、
王階級傭兵で、別名『ワンマンフリート』『漆黒の悪魔』と言われるアルベルト・サークルートと、
サークルース伯爵家一同、
フイガス・サークルース伯爵
トーバル・サークルース子爵
タイアス・サークルース伯爵令息
の、名前が近似しているのを、今頃自覚しました。
書籍も出していて今更変えるわけにはいかないので、何代も前に名前を変えて平民になった元分家筋ぐらいにしておきます。
アルベルトはサークルース家と繋がりがあるとは思っていません。
伯爵家側も『そういえばいたかなあ』ぐらいの認識です
1回か2回出しただけだからすっかり忘れてました…
話にでてくるノブレスオブリージュの正しい訳は『高い社会的地位には義務が伴う』だそうです。
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